雨があがって陽がでる。冬の午後は暖かくなる。村のなかにナンテンの紅い実が鮮やかに続く。お正月に寒さが厳しくなり一段と紅い実がさえてきた。新しい年の紅い実の風情は格別である。鳥たちが食べたとしても、緑の葉に紅い実は新鮮である。一茶の句に”日当たりや雨天の実のかん袋”がある。ナンテンの実を大切に保護したてきた人の心は優しい。そこへヒヨドリが来て、隣のたわわにみのる実をついばむ動作はお見事。静かな庭を羽音で賑やかにする。お正月の飾りにナンテンの実はよくもちいられる。葉牡丹とナンテンを鉢植えに飾る家が多い。昔から縁起の良い植物として生活文化のなかに使われてきた。 ”難を転じる”に通じるため、多くの家に植えられる庭木。だが細くても、大地にどっしりと植えられているのが良い。邪鬼を防ぎ火災を避けるために庭木として植えられている。ナンテンは、葉の質が堅く切っても切っても、みずみずしさを失わない。食べ物の上に葉を置く風習が今でもある。葉や実が祝いの場に生かされる。赤飯を配るとき三枚の葉を選んで祝い事に使う。また食器に盛った魚の下に五枚の葉を敷くこともあって、殺菌作用にもなり、何よりも美しく見える。このナンテンを掻敷き(かいしき)というのだと京の料亭で教えてもらった。南天の箸で食べると元気がでるという人もいる。かつて焼失した金閣寺の茶室・月桂亭には径20cmの“南天の柱”があった。現在では10cmの柱も見ることはない。太いナンテンはほとんど見当たらない。雪国の子どもたちの遊びに雪兔がある。子どもの作る兎の目にナンテンの紅い実を入れ、耳にユズリハのみどりの葉を置いた。自然を生かした美的な色彩感覚がおもしろい。山口県ではナンテンを天然記念物にしている。紅い実は可愛がられる。

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