みどりの山の上に、今日も快晴で白い雲が広がる。セミしぐれの雑木林の道を歩く。ススキの群れは新鮮。もう尾花が咲きだしたかと赤みを帯びた穂を見る。花穂が動物のしっぽのような尾花は風にゆっくりとそよぐ。初秋の風物詩。足もとに虫たちの声が鳴きつづける。山地の日当りの良い場に普通に見られるススキ。イネ科の多年草。大きな株をつくって群生している。ススキはすくすく立つ背の高い草を意味する。漢字では、芒、薄、など使われ、茅(カヤ)は、この葉で屋根をふくことから刈屋根の意味。秋の七草のひとつ。高さ2mほどで葉は細長い茎とともに硬質で線形。淵はざらつき葉裏が粉白色を帯びる。葉鞘は長く茎を包み、茎の節よりも長い。花穂は長さ30cmで、中軸から多数の枝を広げ、2ケずつ対となった白い毛におおわれ芒(ノギ)のある小穂を密につける。雄しべの葯(ヤク)は白色または黄褐色、時には紫色を帯びる。細葉のそよぎと銀色の花穂のなびきは人々の喜びである。すくすくと立ち伸びた茎からおおらかな曲線を描いて葉先を垂れさせる。群生したススキの花穂が風に吹かれてゆれる姿に初秋の美がある。古くからなじみ深い花穂を尾花と呼び、生花などにも、よくもちいられる。ススキの別名は、秋知る草、露やぐさ。万葉集には、ススキが17首、尾花が風にひらめき雄々しく見えて19首、カヤは生活文化から象徴美の確かさで10首と計49が歌に詠まれているからおどろきである。昨夜,満まるいお月さんのきれいなのを見る。戦後だった、小学校の高学年のころ、お月見で縁側に、この尾花を飾って十五夜のお月さんを見たものである。農作物を大事にし、豊作を祈願した農耕文化の伝承であった。“山は暮れて野はたそがれの芒かな”(蕪村)の句がある。


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