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「もしもし、今日、休むわ。それから、ちょっと電話番号調べてくれん?」
花曇りの空の下、僕は会社に電話を入れていた。
近所の車屋を探して電話番号を教えてくれと会社の女の子?に頼んだのだ。
少し離れたところには、父親に添われて佇む女性。まだ、初心者マークを貼っている新米ドライバーだ。瞳が大きく少しぽちゃっとしたこの女性の天地をひっくり返したような顔をつい20分程前に僕は見た。しかし、ガツンという衝撃の直後、彼女の顔はみるみる真っ白な蒸気でかき消され、僕は車のエンジンを切った。ラジエータが逝った。接触事故だ。
通勤に使ういつものT字路。左側は雑貨店、右側はブロック塀で前が見にくい。停止線で止まるべくブレーキをかけながらT字路に入ろうとした時、えらい勢いで左側から車が飛び込んで来た。僕は、ブレーキペダルを強く踏んで止まった。しかし、彼女は止まる事ができなかった。
車から降りて愛する我がスターレットのフロントを見た。ボンネットが折れ曲がり、ラジエータからクーラントが漏れていた。彼女は「すみませーん」と言った。
意外に元気に飛び出て来た彼女を見て、「駄目だなあ、もっと大回りして進入しないと」と嗜めながら、それでもすぐには平常心にもどれなかった僕は、どこかに連絡しないといけないと・・・頭ではわかっていたが、(??1?ん?)そうなのだ、110番が思い出せなかった。
これが動転してるということなのだろう。
どこも怪我がないことをお互い確認して、僕は警察を呼んだ。うちが近所だという彼女は、うちに戻って父親を呼んだ。10分で警察はやってきた。現場検証は5分で終わった。
「じゃあ、後はお互いの保険会社でやってもらって。ああ、あんたの車、邪魔だから、ちょっと広いところに異動して。じゃあ」
あっけなく警察は帰って行った。僕は車を異動させた。意外に普通に走った。助手席に置いてあったiPod Shuffle不良交換君の初乗りだったが、ブレーキの時に床に落ちてしまったようだ。Shuffleにとっては飛んだ災難だ。
僕の車は、ラジエータがいかれてしまったので、長距離を走る事は不可能と思えた。JAFは入っていない。タダでレッカーを呼べないのだ。天を仰いだ。曇っていた。
(今日は会社は行けないな)
僕は、腹をくくった。休みを取ると会社に電話しよう。
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(最初に戻る)(永遠に繰り返す)

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