2016/11/30  22:01

刻字第十弾!  刻字

クリックすると元のサイズで表示します
「幽寂」静かで奥深い様子の意(25×65)桧板目、丸彫り。

刻字には陰刻と陽刻(凹彫りと凸彫り)がありますが、さらに陰刻には様々な彫り方があります。
文字の底の部分がV字の(薬研彫り)や平らな(平彫り、箱彫り)、W字になる(山彫り)やU字の(丸彫り)と。この作品はこの丸彫りで刻しました。
刻字としては一番手間と時間と神経を使う、非常に技倆の要る刻法です。
大鑿は最初に薬研のように捨て彫りするときだけ使い、あとはひたすら丸鑿と丸彫刻刀で底を丸く浚い彫りします。やってみれば解りますが、木目によってはいくら丸く浚おうとしても彫れば彫るほど毛羽立ち、綺麗になってくれない箇所もたくさん出てきます。そこを最小限に押し止めてひたすらに…
太い筆画であればあるほど深く多数の鑿入れをせねばならず、次第に疲労も濃くなり嫌になってきたりもしますw

しかし、そこまでしてでもこの丸彫りには他の刻法にはない魅力があるのです。

それは影です。

彫りが深ければ深いほど線に陰影がつき、立体的に浮き上がり美しく見えてくるのです。U字に彫るために円筆、直筆、蔵鋒が際立ち、立体的な棒状の線が立ち上がります。人の顔でも彫りが深いほうが陰影のコントラストが明瞭になり、カッコよく見えたりするのと一緒です。

しかし線質を立体的に際立たせるためには筆の先がどこを通ったのか、その軌跡を確実に書から読み取り、鋒先の通り道を表現しながら刻さなくてはなりません。これは書が分からなくては、出来ない作業です。筆圧、筆の先や腹がどんなスピードでどこを通ったかを刻によって追体験させる。まさに書刻一致です。
私は刻字の醍醐味がこんなところにあるなどとは想像だにしておりませんでした。

クリックすると元のサイズで表示します
この書は、どうしても丸彫りで刻したかったために、潤筆多く側筆はなるべく使わずゆっくりとたっぷり目に書きました。

クリックすると元のサイズで表示します
クリックすると元のサイズで表示します
光の射し方や見る角度によって全く違った線の表情を醸します。下の画像などは見ようによっては影によりエンボス加工したように線が丸く太く盛り上がって見えます。
第一画目の収筆の表現停止気味の(微妙に抜いて止めない)部分などの線の内側に表れる鋒の開き具合、二画目の跳ね上げの内側の一筋の尾根、三画目の揺らぐ鋒先の軌跡、筆圧による深さの違い等等微妙な部分がご覧いただけるでしようか。。

クリックすると元のサイズで表示します
光と影で非常に複雑な軌跡を描きます。刻字恐るべし。

クリックすると元のサイズで表示します
色は影がより顕著に見えるように敢て白を入れます。そして磨いたりせずに極力艶消しのフラットな質感が基本です。デッサンのための石膏像はみな艶消しですよね。影を顕著に出すために余計な乱反射を避ける理屈と同じです。これは我が刻字の師、金子玄石氏の教えです。

クリックすると元のサイズで表示します
さてこちらも丸彫りの小品で「刻鬼」これは私の書ではなく、我が恩師、新潟大学名誉教授、野中吟雪先生の書。
先般書状を拝受し、宛名に刻鬼希夷斎殿とあり、その刻鬼という言葉の克己とも重なる心地よい響きと、何よりもその書の尋常ならざる圧倒的な精彩とあまりのカッコよさに、制作意欲が沸々と湧き始め、無断で作品にしてしまいましたw
事後承諾で許していただくつもりですが、「許さん!」と言われてもこんなカッコイイ書を書く方が悪いですね(-。-)y-゜゜゜

見えにくいですが、線が併走して重なって一体化している部分も丸彫りの内側に筆の軌跡を彫り込みますので、陰によって臨場感立体感が増します。楕円の印は勝手に捏造して捺してしまいましたwwこれはさすがにまずいので先生のお手元になければなりませぬ故、不躾ながら勝手に送り着けてしまいました。つくづくド厚かましい教え子ですねw
材は木目の大変美しい拭き漆仕上げの桜材で、こちらは当工房に泥懇頂いているお客さまより、刻字にお試しくださいとわざわざお贈り頂いた逸品です。ありがたやm(__)m

クリックすると元のサイズで表示します

この「刻鬼」は今後わたくし希夷斎のトレードマークとしていろいろなシーンに登場いたします。これは印にさせていただき名刺に。滅茶苦茶カッコイイでしょ?
いいですか皆さん?ますます鬼のように刻しますよ、私は。
4
タグ: 刻字 丸彫り

2016/11/26  22:24

最新作up!  篆刻

久々の最新作upです。半年以上掲載を怠りましたw
説明は付けませんがご高覧頂ければ幸いです。
クリックすると元のサイズで表示します
クリックすると元のサイズで表示します
クリックすると元のサイズで表示します
クリックすると元のサイズで表示します
クリックすると元のサイズで表示します
クリックすると元のサイズで表示します
クリックすると元のサイズで表示します
クリックすると元のサイズで表示します
クリックすると元のサイズで表示します
クリックすると元のサイズで表示します
クリックすると元のサイズで表示します
クリックすると元のサイズで表示します
クリックすると元のサイズで表示します
クリックすると元のサイズで表示します
クリックすると元のサイズで表示します
クリックすると元のサイズで表示します
6
タグ: 篆刻 雅印 落款印

2016/11/16  12:10

刻字作品 第九作  刻字

最近はなぜか初世・二世中村蘭臺の先達に心を奪われています。
佳いものを見るとどうしても、真似て試たくなります。
「こんなものを作ってみたい!」という欲求が抑えられませんw
今回は特に、緑青を使った金石雅趣のあるものにしたいと半月ほどかけて制作しました。
畳篆にて「楽未央」。
陽刻17×35cm。枠取をし柾目なので1cmの深さでほとんど垂直に近く掘り込みました。
凹部全体、線の分間など同じ深さで浚うのに大変根気と時間を要しました。
刻了後、柿渋を三度重ね塗りし、枠をうずくりで磨き、凹部に着色。
色は緑青、硫酸銅、胡粉を混ぜ、それぞれ割合を違えたバリエーション数タイプを用意し、
わざと斑を作るよう、またざらつきや凸凹が出るように塗布して、
青銅の錆た感じを表現しています。

随所に膠液をぬり鉄錆を蒔いてウェザリングも施し経年の汚れに見立てました。
また枠も、篆刻のようにところどころわざと欠いて経年による劣化を表現してみました。
凸部には銀箔をカシュー貼りしました。
金箔と違い、銀箔は酸化してほどなく黒ずんできますが、それが却って古味を出しますので、
その効果を期待しての銀箔です。

クリックすると元のサイズで表示します
畳篆にて「楽未央」

クリックすると元のサイズで表示します
まだ銀箔は新しいので眩いばかりに光を反射しています。
今後の酸化による古味の表出に期待。

クリックすると元のサイズで表示します
出来るだけ筆勢を加えたくカスレや飛びも入れました。

クリックすると元のサイズで表示します
胡粉の割合を多くするよりも、真っ青な硫酸銅を乳鉢で磨り細かく磨り、それを多く混ぜたほうが、白く発色することが分かりました。
この色と質感はアクリル絵の具や油性のペイントではなかなか出せるものではないです。

クリックすると元のサイズで表示します
左右対称というバランスもあり、今回は印を入れるつもりがなかったのですが、
落款の一部の「希」に正方形の台座を作り、朱を入れることにより、落款印という意味を持たせました。
やはり赤が一点入るとアクセントになります。

それにしても、
好きな作品を好きなだけ、好きなように作れるこの幸せは何にも代えがたく、
また、楽しくて仕方ありませんw
5
タグ: 刻字 初世蘭臺 緑青



teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ