カップ戦の準々決勝――競技を問わず、どんな大会でも一番面白いと言われているのがこれだ。理由は、このあたりから強豪同士の激突が見られること、および大会を通じて勢いをつけてきたチームが優勝候補と当たったりすることなどだが、30日の米独戦は、今大会の今のところのベストゲームと言って差し支えあるまい。何しろスター軍団のアメリカとノビツキー率いるこれも優勝候補のドイツが、ベスト4を賭けて戦うのだ。敗者には優勝はもちろん、メダルもない。もったいないと思う人もいるだろうが、それがクォーター・ファイナルというものだ。
「今までのどのドリームチームよりもスピードがある」「DFが堅い、まず守りから入るチーム」――アメリカのシャシェフスキー監督(愛称コーチK)は、今大会の自軍をそのように表している。確かにその通りだが、それだけでは単なる「守って速攻」のチームと誤解されそうだ。忘れてはいけない。彼のチームの名はUSAなのだ。世界最高の技術水準を持っているのである。それを生かし、この日も開始から3Pあり、切れ込んでのダンクありとスーパープレイの連続。一方のドイツはやたらとノビツキーばかりがクローズアップされているが、これも彼一人のチームと誤解されそうだ。フットボールでもそうだが、ドイッチェランドと名のつくチームは、常に組織的で手堅いのである。言うなれば「常に一番いい位置に味方がいる」ような動きとパスワーク。この両チームが激突したのだから、開始からまったく目の離せない、ものすごい試合になった。
1Q、23−21。2Q、17−18。わずかにアメリカが1ポイントのリードを保ったまま、ハーフタイムを迎えたのである。
後半、両者の差は、まず守備に現れた。前半から、アメリカは今大会を通じて威力を発揮している激しいプレスとノビツキーの徹底マーク、一方でドイツはがっちりしたゾーンプレスと、両者とも持ち味を発揮した守備をしていたのだが、ドイツは肝心のノビツキーが、執拗なマークを受けて、思うように動けなくなってきたのである。「ファウル、ノビツキー」というコールが、この日ほど目立った試合はなかったのではないか。結局ドイツはターンオーバーを連発して献上し、自らリズムを崩す。
一方アメリカは、カーメロ・アンソニーとレブロン・ジェームスが大活躍。この2人を中心にルーズボールをことごとく奪い、速攻からジャンプシュート、ダンク、3Pと連発。それが27−13という3Qの得点差につながった。この3Qが、すべてだった。ファイナルスコアは85−65。だが結果はともかく、14000の観客はこの素晴らしい試合を心行くまで堪能したに違いない。
アメリカの準決勝の相手は、このドイツを高さで上回るヨーロッパ・チャンピオンのギリシャだ。またまたすごい試合になりそうである。もう1試合はオリンピック・アテネ大会優勝のアルゼンチン対無敵艦隊スペイン。この準決勝に、私は都合で行くことができない。開幕戦に続いて、何という不運。さらにこのドイツと私のお気に入りのフランスが、順位決定予備戦などという本来なら誰も行かないような試合で当たることになってしまったため、今日も行か【なければならなく】なってしまった。さらに不運(笑)世界選手権は麻薬、という他はない。
