野球、サッカー等を中心にした総合スポーツコラムです。
一切の無断転載を固くお断りいたします。
2007/7/27
悪い予感はしていた。試合開始直後からここぞという時に鋭い動きを見せるサウジ、それに対して準々決勝の日豪戦の動きを80とすれば(あれとて国内での試合に比べれば100ではない)60にも達しない日本。ボールだけは圧倒的に支配するも、20分過ぎから鋭い攻撃を繰り返される――こんなことをしていれば、はっきり言って時間の問題なのだ。案の定35分、サウジにFKからA・カハタニ→ジャシムとつながれ、最後はY・カタハニに鋭いボレーで決められてしまった。1−0。
すかさずCKから追いつく日本。だが後半開始直後、今度はマレクに決められる。1−2。それでも日本は、またもCKから追いついた。だが直後に、またしてもマレクに決められる。2−3。 そして、今度は追いつけなかった――。ボール支配率は何と66:34! しかしシュート数は10−15と打ち負けた。前代未聞!
かくして、アジア杯3連覇を狙った日本は、準決勝で敗退することになった。09年コンフェデへの出場権を失っただけでなく、3位決定戦の日韓戦に負けるならば、次大会は予選から出なければならない。
だが、はっきり言ってこの際そんなことはどうでもいい。気になるのはこの大会、「暑い国のアウェイゲーム」で、まるで本来のサッカーができなかったということだ。W杯予選では、必ずこうした試合を戦わねばならない。その時に日本は、どうするのか。
かつて日本はこの大会を軽視し、B代表を派遣したり、棄権したりしていた。初めて本気で戦ったのは、92年の地元広島大会。そのとき日本はカズ、ラモスらの活躍で一気に初優勝した。以来、96年を除き、00年・04年共に優勝(ちなみに日本が準々決勝で敗れた96年大会を獲ったのが、今回の相手サウジアラビアである)。今回は3大会ぶりに涙を呑んだ形だ。
もちろんこの大会以外にも、日本は今までアジアのステージで嫌というほど公式戦を戦ってはきている。だがかつてアマチュア時代にやたらとささやかれた「アジア軽視」が、こんなところにツケを回していはしまいか。強化試合と言えば決まって欧州か米大陸、アジアの国の代表と試合をするのは、公式戦以外皆無である。かつてはそれで、オリンピックやW杯予選の一番肝心な所で煮え湯を飲まされ続けてきたのではなかったか。
そんな不安がよぎる中、オリンピック最終予選が、8月にスタートする。相手は今回敗れたサウジ、同じく躍進したベトナム、96年に敗れた(そして今回引き分けた)相手カタールである、もちろんA代表とU−22では違うものの、この4ヶ国の中で1ヶ国しか北京に行けないという、W杯予選よりも厳しい条件だ。対戦方式はH&A今回同様、相手国の圧倒的な雰囲気と過酷な気候に苦しめられるアウェイゲームが3試合もある。対してホームゲームは、入場券が大量に売れ残っている状態だ。誰もが4大会連続出場を信じて疑わない今、果たしてそれは本当に安心できる話なのか。今回はこのまま望むしかないが、次回に向けて、もはや死語となった「アジア軽視」について、再考することがあっていいようにも思う。
2007/7/21
猛暑が予想されながら一転して冷夏のここ最近、しかしサッカーの世界は今、最高に熱い。コパ・アメリカとU−20W杯が終わり、いまアジア杯の真っ最中だ。そもそもコパ・アメリカとアジア杯は今までEURO同様、W杯の中間年、つまりオリンピックの年=オリンピアードの1年目に行われていたのだが、今年から4年目に変更になった。従って今までこの年はラグビーのW杯とオリンピック予選くらいしかビッグイベントがなかったのだが(それだけあれば十分だが)一気に大会ラッシュになったというわけだ。
そのU−20W杯、うれしい出来事があった。わがユース代表が、実にいいサッカーを見せてくれたのである。1日の対スコットランド戦、開始直後から日本は見事なパスワークを展開してくれた。若さゆえの運動量とスピード、さらに高い技術にモノを言わせ、選手が次から次へとパスコースに走りこみ、速いパスが絵に描いたようにつながっていくサッカー。もちろん少しはミスも出るが、これもスピードあふれるタックルでターンオーバーし、またつなぐ。
こんなサッカーは、私の知る限り、世界のどこにもない。イングランド、ドイツ、オランダすべて違う。スペインやアルゼンチンとも違う。北米でも中米でもアフリカでもなく、ましてイタリアやブラジルにはほど遠い。オシムの影響があることは間違いないのだが、そのオシムのA代表とも違うのだ。「追い越す動き」が中心のオシム戦術に対し、吉田戦術は左右のゆさぶりが中心であり、その分、陣地を稼ぐペースは遅くなるものの、堅実だ。要するにオシムが言うところの「日本独自のサッカー」の萌芽が、ここにあるのではないだろうか。試合は3−0の完勝。解説の風間八宏は「すばらしい攻撃」と繰り返し、川淵会長は「オリンピック代表はこの日のU−20を見習え」とまで言い切った。誰の目から見ても「速くて強くて面白い」チームが仕上がったのである。
続く第2戦は、我慢の我慢の展開となった。コスタリカからボールが奪えず、得意のパスがつながらないのだ。だが今回の日本チームは、守備でも優れていた。攻撃で見せた運動量を生かし、個々の選手が、よく動いてコスタリカの選手をフリーにしない。仮に抜かれてもカバーリングが速い。逆に後半、徐々にパスがつながりだした日本は、積極的に攻めた。そして後半22分、森島からのパスを受けた梅崎が、左サイドからクロスボールを上げ、走り込んだ田中が、ダイレクトボレーでゴール! 結局これが決勝点となり、日本は決勝トーナメント進出を決めた。だが1点を先制した後、受身に回ってしまったのは課題だった。
ところが、日本が良かったのはここまでである。消化試合となった第3戦の対ナイジェリア戦は、メンバーをほぼ全員入れ替えたこともあってか、一転して「高校サッカー」になってしまったのである。パワーもスピードも十分、だが細かく多彩なパスをつなぐことを忘れ、ボカーンと蹴るロングボールが目についた。高校選手権でも、古臭くて使えない戦術だ。この「B」は仮想スコットランド・コスタリカとして訓練されたチームかと思ったほどである。
結果は0−0で無事に首位で1次リーグ通過。だがこれでリズムが狂ったのか、決勝トーナメント1回戦の対チェコ戦では、最初に見せたような華麗なパスワークは、ついに戻らなかった。大きなチェコの選手にがっちりマークされていたせいもあろう。だがそれで自分たちのサッカーができなくなるということは、まだチームとして未完成だということだ。彼らには、ぜひオリンピック代表に入ってもらいたい。そして北京で暴れてほしいものである。同時に吉田監督には、ぜひJの監督になってもらいたい。このサッカーを日常的に見たいものだ。
さて、アジア杯を戦っている兄貴分の日本代表は、残念ながら決していいサッカーをしてきたとは言えないようだ。まるでジーコ時代に戻ったかのようなゆっくりとしたボールキープ。これがブラジルなら敵陣に入った時点で速くなるが、日本はここでもスピードが足りないのだ。これでは勝てない。カタールにかろうじて引分け、UAEには高原や中村の個人技で勝ち、そして地元のベトナムは自力で圧倒したものの「オシムのサッカー」ができていないという意味では、決してほめられたものではないのである。
だがそれは、仕方なかったのかもしれない。そもそもブラジルがどうしてそういうサッカーをするのかというと、暑いからだ。ブラジルというのは広大な国だが、基本的には緯度が低い地域が多い。そんな場所でプレミアみたいなサッカーをしていれば、誰だって体力的にもたないだろう。今回のベトナムも同様である。川口は「力を入れるところと抜くところの緩急の組み合わせがうまくできていた」と語った。そうなのだ。体力の消耗を最小限に抑えるため、運動量をできるだけ少なくし、肝心な所で速い攻撃をする省エネ型のサッカー――こういう地域ではこういうことができるような使い分けも、これからは必要かもしれない。W杯予選では、そこでのアウェイゲームの必要になるのだから。
そして今日の順々決勝、日本は気候にも慣れてきたのか、かなり「オシムのサッカー」を取り戻してきた。まだスピードには欠けるものの、リズミカルなパスワークが復活したのである。結果は最大の強敵オーストラリアに対して惜しくもドロー! PK船でようやく勝利を収めたものの、90分で勝ちたかった。だがこういうサッカーができていれば、日本はそう簡単に負けることはない。サウジでも韓国でもかかって来い!
ローマも代表チームも、1日にして成るものではない。良かったり悪かったり、その中で成長すればいいのである。最大の課題は来年の北京、そして2010年の南アなのだから。そこで最高のパフォーマンスができるよう、各世代で連携しつつ、力をつけてほしい。
2007/7/18
アメフトの決勝のゲームレポートです。
一部下の記事とかぶりますが、ぜひご覧ください。
http://www.ohmynews.co.jp/news/20070717/13228
高校野球の記事もどうぞ。
http://www.ohmynews.co.jp/news/20070718/13263
最近「あちら」ばかりですみません(汗)
塾の仕事が最も忙しい時期に突入しました。
でもまだまだ見たい試合・書きたいことはありますので、懲りずにご閲覧くださいm(_ _)m
2007/7/14
U−20日本代表の第2戦、対コスタリカ戦についての記事が【ようやく】オーマイニュースに掲載されました。
それにしても、試合の翌日投稿したのに、処理遅すぎです>オーマイニュース
ま、見てやってください。
http://www.ohmynews.co.jp/news/20070709/12948
2007/7/8
「フットボール」――このシンプルな名前が、この競技の正式名称である。アメリカ人の開発した、世界でもっとも合理的な、そして面白いといわれる球技と言われるが、その割には世界では人気がない。いわゆるアメリカの4大スポーツの中で、バスケとアイスホッケーは世界中に広まっているが(もっとも、アイホの期限は欧州に求めることができる)野球とアメフト(以下「フットボール」)は、特にヨーロッパ人が好まないようだ。野球がオリンピックからはずされるのも、12年の開催地がロンドンであることと無縁ではあるまい。NFLヨーロッパは、廃止が決定した。
しかしそんなフットボールだが、関係者は努力している。初めて世界選手権(=W杯)が開かれたのが99年。場所はイタリアのパレルモで、6ヶ国が参加。さらに03年にはフランクフルトで第2回大会が開催された。いずれも日本が優勝。本場アメリカがいない中では、日本のフットボールの歴史や選手層の厚さはずば抜けている。34年に米国人ポール・ラッシュらが中心となって早大・明大・立大による「東京学生米式蹴球競技連盟」を設立して以来、フットボールは主に関東と関西の大学を中心に発展してきた。今日では社会人のXリーグ、関東・関西の学生リーグを筆頭に、全国で試合が行われている。そして今年、いよいよ第3回W杯が川崎で開幕したのだ。参加は日本、フランス、スウェーデン、アメリカ、ドイツ、韓国の6ヶ国。サッカーの32ヶ国には遠く及ばないが、それでも世界選手権の重要性は変わらない。この6ヶ国が3ヶ国ずつ2組に分かれて1次リーグを戦い、1位同士で決勝、2位同士で3位決定戦、3位同士で5−6位決定戦を行う。注目はやはりアメリカだ。だがアメリカもこれらの国が相手では、やはりまともなチームを派遣する気にはならなかったらしい。学生選抜、しかもNCAA−1Aの選抜ではなく、D3まで含めたチームだ。今年のチャンピオンシップに出場したフロリダとオハイオはもちろん、4大ボウルに出場した大学を見てもわずかにローズ・ボウルに出たミシガンから2人のみ。「代表」の名に値しないチームではあるが、逆に日本にとってはチャンスである。どんなチームであってもアメリカを倒して優勝したとなれば意味はあるし、次はもっと「本気」にさせることもできるだろう。逆に負けたとなれば、日本のフットボールもまだその程度ということになる。いずれにせよ、絶対に負けられない。何より中身はどうあれ、これは正真正銘の世界選手権なのだ。
しかしその「中身」は、残念ながらやはり、お世辞にも素晴らしいと言えるものではなかった。開幕戦の日本対フランス。フランスの選手は、基本すらできていないのだ。ボールの受け渡しからポジショニング、戦術にいたるまで、すべてが未熟。反則数12(中にはフィールド上の選手の人数を間違えたことも)、ファンブル5。追い込まれて簡単にセーフティに逃げること2回。これではXリーグ、いや高校生のクリスマスボウルでも見ていた方がましだ。対する日本はやりたい放題。ラン獲得116yds(フランスは6yds)パス成功率55.2%・獲得255yds(フランスは同35.7%・53yds)その他フィールドゴールあり、2点コンヴァージョンありと、およそあらゆる攻撃のパターンを試し、今後に備えることができた。結局終わってみれば、48−0。大勝は結構だが、はっきり言って金を取るに値する試合ではない。
エンタテイメントも内容は薄い。試合前の開会式にしてもハーフタイムショーにしても、いかにもお役所仕事という感じで盛り上がりに欠けた。サッカーW杯やオリンピックの開会式はもちろん、LAで見たNCAAの試合にすら遠く及ばない。あのバレーボールでは過剰とも言える演出でも持ってくれば、まだアメフトらしいとも言えるのに。
自由席3000円、立見席1500円の入場料も世界大会としては妥当だろうが、SS8000円は高すぎる。さらに事情を知らない人たちが1人4000円も払ってA席を埋めていた(完売!)のには、同情を禁じえない。等々力のバックロアーは、およそフットボールと名のつくものを見る席ではないというのに。
だがそれでも、この大会を日本で開いたことには、意味がある。今までフットボールを見たことがない人たちに、フットボールなルールは難解でわからないと思い込んでいる人たちに、本格的な試合(それはたぶん決勝戦だけだろうが)を見てもらおう。そしてXリーグやライスボウルに足を運んでもらおう。それがいずれ、本当にアメリカに勝つための足がかりになるのだから。
