歓声の中へ
野球、サッカー等を中心にした総合スポーツコラムです。
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2007/10/31
「お知らせ」
球技
3年目のbjリーグが開幕しました。
このリーグおよびライジング福岡について書いた記事がOhMyNewsに掲載されました。
http://www.ohmynews.co.jp/news/20071030/16732
バスケ
bj
ライジング
投稿者: 生田正博
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2007/10/25
「【大学野球】キャプテン」
野球
この春東都リーグ1部で最下位となり2部に降格した専修大学野球部は、二部でも惨憺たる状況に陥っていた。
開幕戦で「負けるはずのない」国士舘相手に連敗、ライバルの日大・中大にも成す所なく連敗し、6節を終えて勝ち点はわずかに1。それを奪った相手が同率最下位の拓殖のみというのだから、もはや「名門の逆襲」どころではなく「名門の沈没」ともいえる状況だったのである。
その拓大が第7節で国士舘相手に1勝2敗。専修は最終節の対農大戦でこれを上回るパフォーマンスが求められた。東都リーグの場合、最下位になれば下部リーグ1位との入替戦を戦わねばならない。そしてその入替戦では、往々にして下部校が上部校をうっちゃるのだ。だから最下位だけは何としても避けねばならないのである。
ところが1勝2敗と言うのは簡単だが、それ以上の2勝となると、それは勝ち点奪取を意味する。どん底のチーム状態でそれを成し遂げるのは、簡単ではなかった。たった勝ち点1を、しかも2部で取るのに四苦八苦しなければならない状況――それが栄光ある東都の初代チャンピオン・優勝回数No.1(31回)の名門の、紛れもない今日の落ちぶれた姿なのである。情けないと言えば、これくらい情けない話はない。だが今は、そんなことは言っていられない。「落ちぶれさせたのは誰か」という話も(答は明白なのだが)あえてやめておこう。とにかく勝って、最下位を脱出するしかない。
そもそもこのチーム、秋は春に投壊した投手陣が立ち直り、四球病もとりあえずは小康状態を保っていた。投手陣は春の悔しさを胸に、夏によほど走りこんだに違いない。加えて3年生投手長谷川俊(高陽東)の復調が大きく、防御率トップの0.96で戻ってきた。エース土本(土岐商)も相変わらずコントロールに苦しみながら完投している。だが、今度は打線が打てないのだ。出塁できない、してもつながらない。拙攻・凡打の連続。走者が出たら打者が何番だろうと必ず送りバントという、選手の個性もプライドも無視した長谷高監督の幼稚園児並みの稚拙な「作戦」も相俟って、まったく攻撃が機能しないのである。機動力野球や相手を攪乱させる戦法など微塵もなく、イマジネーションは皆無だった。その典型が、まさかゴルフ場(第二球場)で見ることになるとは思いもしなかった、伝統の専中戦である。第1戦、無得点で1失点完投の長谷川を見殺し。第2戦、同じく無得点で同じく1失点完投の土本を見殺し。先発・中継ぎが踏ん張ってリリーフエースの美馬(藤代)につなぐという中大の完璧な投手リレーを褒めるべきかもしれないが、それにしても第2戦の9安打無得点はどういうマジックなのか。絶対に負けてはならないカードで、この失態。勝利への意欲さえ疑われるような状態で、最終節を迎えたのである。
かくして、蓋を開けてみると、今期の流れそのものの不甲斐ない試合運びだった。第1戦、2回に今や主砲に成長した久保田(明徳義塾)の3塁打をきっかけに1点先行したものの、5回にヒット4本を集中されて4点を奪われ長谷川KO。やはり今日もダメかと思われたその矢先、さすがに専修は粘りを見せた。6回に1点ずつを取り合い、3点差で迎えた9回、山田(金沢)の3ランHRで同点に追いついたのである! 結局その裏に農大・土岐(農大一)のサヨナラヒットで5−6で負けたのではあるが、いわゆる「明日につながる試合」にはなった。
そして実際、この試合は翌日につながった。第2戦、専修は1回にヒット3本を集めて3点を先制。結局これが効き、土本も完投して4−2で勝ったのである。この時点で最悪第3戦で負けても5・6位決定戦に持ち込める。だが言うまでもなく、この勢いで最終戦も勝ちたいところだ。
そして第3戦。先発は第1戦と同じ専大・長谷川と農大・藤井(PL学園)の対決である。だがこの日は、藤井が良かった。専修は8回までわずかにヒット2本! 3塁すら踏めない状態で、とてもじゃないが勝利はおぼつかなかった。一方長谷川はぱっとせず、初回に四球→バント→タイムリーで1点を奪われ、2回1/3で早くも降板。普通ならここで湯本(藤代)がコールされるところだろうが、湯本は不調なのか、対拓大2回戦以来出番がない。このシビアな状況で登場したのが、1年生投手の太田(金沢桜ヶ丘)である。
背番号19。いい番号だ。この数字に、期待の大きさが込められているように思う。実際、ボールはなかなかいい。速球・変化球共に切れがあり、マウンドさばきも堂々たるものだ(この投手は、大切に育ててもらいたい。特に専修の場合、去年あれだけ活躍した湯本・山田章(佐久長聖)が今年不調なだけに、不安で仕方がないのだけれど……)この太田は、農大打線を完全に沈黙させた。2回から7回まで0行進。だが8回、ついにつかまってしまう。四球→バント→内野安打→フィルダース・チョイス。2つめの失点。この日は好守備を見せていた専修守備陣の、一瞬の隙。専修にとって、2点のビハインドは限りなく重いように思えた。最終回の攻撃もポンポンと2アウト。だが、実は試合は、ここからだったのである――。
9回表2死走者なし。ここで、この日ここまでわずか2本のヒットのうちの1本を放っている5番河野上(高陽東)がレフト前ヒットで出塁した。続いて途中出場の6番馬場(東邦)が四球を選ぶ。さらに7番飯倉(高陽東)にもフォアボール! 満塁となって、ここで8番吉成(文星芸大附)が、執念の内野安打! 3塁から代走北田(酒田南)が還り、1−2としてなおも2死満塁! そして、ここで登場したのが、キャプテンの松林である。
松林康徳・常総学院出身・右投右打・外野手。この名前にピンと来なくても「木内監督最後の甲子園優勝当時のキャプテン」と言えば「ああ、あの時の」と思い出す人も多いのではなかろうか。大学の先輩・Sさんが紹介してくれた当時の新聞記事には「涙があふれた。常総学院の松林主将は『3年間みんなとやってこられて本当によかった』と声を震わせた。けがに苦しんだ3年間だった。それを『こんなに努力したのは仁志(巨人)か松林』(木内監督)と言わしめるほどの練習で補ってきた」とある。専大入学後は早くから先発や代打で出場してきたが、4年になって主将を任された。昨年の主将・松本(現・読売ジャイアンツ)は抜群のキャプテンシーと俊足好打で自らチームの核弾頭となり、全員をぐいぐい引っ張って1部まで持ち上げてくれた男だが、松林は自ら圧倒的な練習量をこなすことでチームを引っ張ってきたのだろう。72人の部員(しかも全員が野球エリート)の信任を得たのだから、統率力もあるに違いない。「松林に指揮をとってもらいたい」と言うファンもいるくらいである。
だが今年のチームは、上述したようにガタガタの状態。単に戦力的に劣るだけではなく、選手と監督の関係、上級生と下級生の関係も良くないという話も伝わってくる。松林の苦労は相当なものがあったはずだ。だがその中で彼は「4年生が頑張らなければならない」「ショート石倉(藤代)を中心に守り勝つ野球を」とチームメイトに最大限の配慮を見せつつ、落ち目の名門を必死に支えてきた。4年生になって激しいポジション争いにより出場機会は激減したものの、それでもベンチ前では先頭にたって選手を送り迎えし、激励に余念がない。そして、卒業後は選手を引退して高校野球の指導者を目指すという松林の、これは最後の打席なのだ。それが、最高の場面で巡ってきた。9回表2死満塁得点1−2!
藤井は、明らかに動揺していた。「緩急をつけたピッチング」をモットーとする男だが、とてもそんな余裕は感じられない。ボールが先行。そして甘く入った球を、松林は見逃さなかった。フルスイング。打球は大きく伸びて3塁線にはずんだ。フェア! 3塁から馬場が、そして2塁から代走伊丹がホームへ走りこむ。伊丹はブロックをかいくぐり、思い切り手を伸ばした。セーフ! 専修大学3−2逆転! この打席に、この一打に、松林はどんな思いを込めたのだろう。4年間のすべてが詰まったような打球が、彼のチームを絶体絶命のピンチから救ったのだ。速報用電子掲示板を見ていた全国の専修ファンが、彼の思いを推し量り、この1本のヒットに感動したに違いない。そして、劇的な走塁を見せてくれた伊丹もまた、4年生なのだ。
その裏、太田は農大にヒット1本を許したものの、最後は代打・高橋(聖望学園)をスイングアウト! 去り行く4年生の熱い思いを、気鋭のルーキーが受け継いだ。素晴らしい試合。明らかに今年私が生観戦したプロアマ計数十試合の中でのベスト・ゲームだ。
整列してスタンドに挨拶する選手たちの中で、松林は泣き崩れていた。胸に様々なものが去来したのだろう。1学年で1人だけ、しかも1度だけできるキャプテンという仕事。この仕事の、そしてこの試合の経験は彼を成長させ、素晴らしい指導者にするに違いない。そしてできれば、いつかはこのチームの指導者として、専修に戻ってきてほしいと思う。
最低と思われた年の最後に、最高の試合。この松林や伊丹の気持ちは、きっと後輩たちに受け継がれるに違いない。積み重ねてきた歴史に、また新たなページが書き加えられた。それこそが名門であることの、真の意味なのではないだろうか。
東都
専修
投稿者: 生田正博
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2007/10/23
「【プロ野球】おお! 野球天国――(3)」
野球
21日は、朝から野球漬けだった。
まずは、神宮の法明戦。法政にとって優勝はなくなったものの、このカードだけは負けられない。事実、平野が好投し、打線が爆発した法政が9−1で大勝した。とりわけ6回は、伊藤、谷中のタイムリー等で一挙5点。先日の日ハムの集中打を彷彿とさせる試合運びだった。
試合後、すぐに神宮第二へ移動。高校野球東京都秋季大会の準々決勝。早実−帝京という好カードだ。夏と違って「東西対決」が見れるのが春・秋のいい所。しかも早実・中野、帝京・高島の豪快きわまる速球対決。試合は7回にその高島を打ち崩した早実が一挙に5点を奪い逆転。7−4で準決勝に進出した。集中打によるビッグイニングは野球の醍醐味の1つだが、それをわずか半日に2回。この時点で、もはや天国だ。
そして、夜はもちろん東京ドーム。セ・リーグのプレイオフ2回戦第3試合。すでに中日が巨人に対して2連勝しており、今夜勝てば初代のクライマックス・シリーズ・ウィナーである。
「ご無沙汰してます」と、今日上京してきた中日ファンのKさん。去年、彼と中日の優勝をこのドームで見てから1年と少し。今年は、どうなるのだろうか。
「今日は山井ですか」
「うーん、中田かもわかりませんよ」
果たして先発は、その中田であった。さすがだ。対する巨人は、高橋尚成。
「中田は、球はいいんですが、無駄なボールが多いんですよ。中日では20番がエースナンバーなんですが、彼は最初からそれをもらった期待の投手です」とKさん。思い出した。彼は北九州市立大学の出身で、無名の北九大をインカレに導き、快投を披露して学生JAPANにも選ばれた男だ。同じ20番の先輩・星野仙一と同じく「行く先は球に聞け」というタイプということか。それに対して高橋はいつもの堅実投球。調子はいい。3回までパーフェクト・ペースだ。そしてその間、2回に伏兵・二岡がセンターへソロホームラン。「今日は巨人が勝つのではないか」という予感がしてきた。
こんな状況を打開しようと思ったら、まずランナーを貯めることだ。果たして4回表。中日は1死後、今期成長著しく、気がついたら3番を任されていた森野がセンターにクリーンヒット! そしてここで、去年も優勝を決める一打を放っているタイロン・ウッズだ。ここでこの主砲に一発が出れば最高というのは、隣にいた幼稚園児にもわかる図式だ。ところが、あろうことか、事実はその図式とおりに運んだのである。
ど真ん中に入ったストレート。これをT砲が見逃すわけがない。「ミスショットだった」と本人は振り返ったが、それを持っていく所がこの男のパワーだ。打球は、ライトへ、逆転の2ランホームラン! 「うおおおおおっ」という叫びが、遠い夜空にこだまする。狂喜乱舞する3塁側。誰彼構わずハイタッチ――。
だがもちろん、巨人も黙ってはいない。その裏、谷が出塁すると、ここで中田がワイルドピッチ! 「中田病が出ました」とKさん。巨人は労せずして無死2塁のチャンスだ。しかも打席はいぶし銀の打撃職人・小笠原だ。フルスイングからはじき出された打球は、ライトフェンス直撃! 谷は悠々と生還。これだから短期決戦では、ミスが恐ろしいのだ。しかも巨人打線は6番の阿部まで一発がある上に、7番には巧打の脇谷、そして8番には助っ人のホリンズである。底知れぬ恐ろしさが存在するのだ。
しかしそれでも、試合の流れを自分の方に引き寄せられるチームこそ、真の王者となるにふさわしい。そしてそれには、試合を決めるヒーローが必要だ。ラッキーボーイも悪くはないが、やはりここは誰もが納得する選手がいいだろう。7回だった。
「追加点が欲しいですね」とKさん。
「この回は下位打線なので、次じゃないですか?」と私。
「いえわかりませんよ。1人でも出れば、中田に代打を出せばいいわけですから――」
確かに中田はそろそろ限界だろう。「そうですね。まあ別に一発でも悪くはないですが」と私が冗談半分に言った、その時だった。8番の谷繁が高橋のスライダーをはじき返したのである。打球はレフトへ、満員の中日サポーターのど真ん中へ、ソロホームラン! 再び湧き上がる3塁側。打つべき時に、打つべき人が打った!
こうなると、チームはもー止まらない。そして8回、中田が2死12塁とされた所で、満を持して岩瀬の登場である。この最強ストッパーは、阿部を注文通りにスイングアウト!
「岩瀬、おまえがMVPだ!」――Kさんも興奮を抑えきれない。
だが9回、巨人も粘る。代打大道が執念のレフト前ヒット。そして続くホリンズも、レフトにヒット性の打球! だがこれを守備固めに入っていた上田が好捕。飛び出していた代走の古城は帰れない。一気に2アウトだ! 後は打席の木村をしとめるだけだ。そして、またしても岩瀬は木村をスイングアウト! 中日が、球団史上初の、2年連続の日本シリーズ出場決定!
もちろんスタンド熱狂は最高潮。だがそれに反してグラウンド上の中日の選手たちは、どこか落ち着いているように見えた。胴上げもない。これはあくまでもシリーズへの過程にすぎないと見ているのだろうか。そう、彼らには、果たさねばならない使命があるのだ。言うまでもなく53年ぶりの日本一である。相手はあの日本ハムファイターズ、そして私が直に経験してきた、あの札幌の4万サポーター! 開幕のアウェイでの連戦を少なくとも1勝1敗で乗り切ることができるかどうか、それがシリーズの行方を占うカギになるだろう。
「アジアシリーズで会いましょう」――夜行で帰るため祝勝会もそこそこに引き上げたKさんを見送りつつ、私はしばらく余韻に浸っていた。本当に天国気分だ。ビールとベースボールと仲間。それ以上のものが、たとえ本当の天国に行ったとしても、果たして存在するのだろうか。
クライマックス・シリーズ
巨人
中日
投稿者: 生田正博
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2007/10/20
「【プロ野球】おお! 野球天国――(2)」
野球
「北海道気をつけて行ってきてください。ドームの近くにあるツキサップジンギスカンクラブのジンギスカンは、最高においしかったです」――千葉のH君からメールが入った。ファイターズとロッテが1勝1敗で迎えたクライマックス・シリーズ。15日、第3・4戦を観戦するために、北海道に飛ぼうとしていた朝だったいつもそうだが、地方に観戦に行く時は、試合と共に食の楽しみも欠かせない。短い時間でその土地のことを知ろうと思えば、街歩きをして、博物館を見て、郷土料理で地酒を飲むのがベストというのが私の持論である。だからJリーグの場合は、土曜日の朝に出て、昼頃着き、午後の試合を見て、夜はローカルな居酒屋で飲む(そんな店のカウンターで頬杖をついて地酒を飲んでいる自分が、実はたまらなく好きだったりする)(笑)翌日は街歩きをして、夜の便で帰るというのが私の最もゴージャスな週末なのだ。こんなことばかりしているから、いつまでたっても結婚できない(自爆笑)――いや、話がそれた。私にとって、8度目の北海道である。
北海道と言っても、今や安い航空券を使えば片道1万5千円以下、時間にして90分である。今回も11時の飛行機に乗って、昼過ぎにはもう新千歳に降りていた。だが感覚的には「近い」とは言っても、そこは北緯43度。空気は清涼で、明らかに晩秋の趣だった。お気に入りのツイードのジャケットにフラノのズボン、ウールのネクタイ――冬支度をしてきてよかった。エアポート快速の車窓から見る山々も、すっかり紅葉している。ここは亜寒帯なのだ。
札幌駅近くのホテルに荷物を降ろし、少し駅前を歩いて、さっそく福住へ。ツキサップジンギスカンクラブは、そこからタクシーで5分である。
「ジンギスカンを食べてから観戦ですか? いいですねえ。あそこは本当においしいですよ」――とはタクシーの運転手。車のドアには「北海道に第3のプロ球団誕生!」とレラカムイ(バスケットボール)のステッカー。うれしくなってくる。
「今日は何とかしてもらわないとねえ。昨日は武田があれだけ打たれるとは思わなかった。やはりバレンタインは、研究してるんだねえ」
地元の人は、やはりほとんどの人がファイターズ(Fs)を応援しているらしい。そういえば空港からここまで、数え切れないほどのポスターや幟を見てきた。3年目にして、完全に地元密着に成功しているのだ。
ジンギスカンクラブについてみて驚いた。「店」というより、完全に「キャンプ場」の趣なのである。白樺林のある広いガーデン。こんなロケーションは、北海道ならではだろう。客はそこで、屋外で食べるか、室内で食べるかを選択できるのだ。快晴だったが少し寒かったので、私は室内を選んだ。
まだ夕方の4時過ぎ。明るい庭を見ながら楽しむジンギスカンとサッポロ・ビールは、やはり最高にうまい! ここからドームまでは、歩いて20分。アメリカ人がフットボールの試合前に楽しむテール・ゲート・パーティを1人でやってる気分になる。もー最高だ。やはり試合を見る時は、これくらい余裕を持って観戦したい。何と言ってもスタジアム周辺は野球天国なのだから。
十分楽しんだところでドームへ。札幌ドームの素晴らしい所は、スタンドのほぼ全員が「サポーター」であることだろう。おとなしく見ている「客」などほとんどいない。皆ミニバットを持ち、歌い、叫ぶ。4万人がそれをやるものだから、一人一人の声は小さくても、結果的には大音量となる。そしてチャンスに稲葉が登場すると、皆が跳ねるものだから、ドームが大きく揺れる。日本のスタジアムでこんな状態になるのは、ここだけだ。1週間前に同じような大声援でホークスを葬ったロッテサポーターも、ここではライトスタンドの一角で(札幌と宮城は、なぜかホームが3塁側)小さくなっていなければならないように見える(だがそんな中で戦う彼らもまた、偉大な存在なのだ)。
その大声援を受け、Fsはロッテの先発渡辺を攻める。4回に1点を先制すると、7回には何と2死から6点をもぎ取った! スタンドは、もちろん大熱狂である。
結局7−0でファイターズの勝利。2年連続のシリーズ進出に王手をかけた。
「2死ランナーなしからの6点は鮮やかでしたね。見事にやられたロッテが明日どのように挑むか、楽しみですね」――中日ファンのKさんからメールが入った。日本中がこの戦いに注目している。それを生観戦できる私は、やはり天国にいるらしい。もはやベースボールがあれば、何もいらない。試合後ホテル近くで食べた味噌バターコーンラーメンがやはり最高にうまかったことなど、もはやおまけと言うべきだろうか。
翌16日。昼間はゆっくりと街歩きを楽しんだ。北大の総合博物館を見て(予断だが、私のように東京の私大のせせこましいキャンパスで学生時代を過ごした者からすれば、帝国大学の広大なキャンパスは、やはり羨ましい)道庁旧館、大通公園と歩く。そして再び福住へ――。
ファイターズという球団は、演出もまた一流だ。MLBの演出をよく研究し、それに近い雰囲気を作るのに成功している。だから楽しい。楽しいからますます盛り上がる。選手の入場テーマにド演歌を流すような、どこかの今期全然惜しくなかった球団とはエラい違いだ。
この日のロッテの先発は、予想された成瀬ではなく、何と小野。Kさんはこれについて、
「ロッテは連勝しないと意味がない。今日勝ってもダルビッシュに負けたのでは……それで、あえてダルビッシュに成瀬をぶつける――ロッテの投手陣を知らないのですが、こんな憶測をしてみました。さて真意はどうでしょうか? 短期決戦の面白さかもしれませんね」
とメールしてきた。なるほど、さすがだ。それに、小野はシーズン中Fsに1勝2敗と負け越しているものの、プレイオフ初登板。秘密兵器といえるかもしれない。
ふたを開けてみると、バレンタインの狙いは的中したようだ。小野はヒットを打たれながらも、のらりくらりとかわして行く。4回などは1死満塁のピンチを招いたものの、小谷野を併殺打にしとめて無失点。
だが、その均衡も、破れるときが来た。
「田中賢介の応援よろしくです。ウチの石井のラストマウンド、すべてストレートを投げたのに対して三球三振という天晴れぶりを見せてくれたんですよ」――今度は全然惜しくなかった某球団ファンのM君からメールが入った。そしてその田中が5回に犠牲フライを打ち、Fsがついに1点先制したのである。
だがFsに田中がいれば、マリーンズにはこの人がいた。里崎である。6回、無死1塁からFsの2番手武田の132km/hをフルスイング! 打球は一気にレフトスタンドへ飛び、逆転2ランホームラン! 2−1!
こうなると、ロッテ投手陣の独壇場だ。小野から川崎、そして薮田。その投手陣に、打線も応える。9回、早川・福浦・サブロー・里崎・オーティスと5連打で3点! 5−1! そして最後はもちろん守護神小林。バレンタインのマジックが炸裂、ロッテは2勝2敗のタイに持ち込んだ。
「最終戦でダルビッシュ対成瀬を実現させたバレンタインはハリウッド級の演出家ですよ!」――M君も興奮気味だ。
試合後、私はススキノで、好ゲームに1人で祝杯を上げていた。新鮮な刺し盛がとろけるようにうまい。ツボ鯛の焼き魚も、東京では珍しいだろう。酒は増毛の「北海鬼ころし」。何もかもが最高な、札幌の2日間だった。野球と酒とご当地グルメ、これだけあれば、後は何もいらない。
その最終戦、Fsはそれまで不調だったセギノールが成瀬から3ランを放つなどしてロッテ投手陣を粉砕し、6−2で2年連続のシリーズ進出を決めた。この試合が生観戦できなかったのは少し(いや「かなり」かな)悔しいが、野球天国はまだ終わったわけではない。そう、セ・リーグのクライマックス・シリーズが佳境を迎えているのである。第2ステージは中日が2連勝。そして今日、Kさんが上京してくる。
「まさか王手をかけて試合が見れるとは。楽しみにしています」
彼と中日の優勝を見届けたのは、ちょうど1年前。その再現となるのだろうか。しかし一方で巨人ファンの神奈川のH君は「今日からのチケットはすべて確保しました。後は胴上げを見るだけです!」と意気込む。日本中が興奮状態。日本一は、すぐそこにある。
クライマックスシリーズ
日本ハム
ロッテ
投稿者: 生田正博
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2007/10/13
「お知らせ」
スポーツ
少し遅くなってしまいましたが、時津風部屋の殺人事件についてのコラムです。
数日前に書いたのに、編集部の処理遅すぎです( ̄ε ̄)
http://www.ohmynews.co.jp/news/20071010/15937
大相撲
時津風
投稿者: 生田正博
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