2008/7/18
昨日の作業で、大感激してしまった作業。
それは何かと言うと「穴あけ」の事なんです。
へ?穴あけ?
何でそんな作業が、木工を始めて以来、うまくいかなかった懸案事項だったの?
そうお思いの方もいらっしゃるでしょう。
でも、僕にとって、木工の「穴あけ」という作業は、なんともうまくいかず、木工作業の中でも、もっともストレスのたまる作業の一つだったんです。
木工の穴あけ作業で、ストレスがたまるその理由とは、ズバリ、「ドリルの逃げ」です。
無垢の木とは、ミクロレベルでその表面、材質を観察すると、木目の通り方や、年輪の密度、繊維の構成は、全て異なり、「均質」という事はありえません。
その為、ドリルを使って穴あけをしようとした場合は、ドリルの回転が木の繊維に取られてしまい、本来穴をあけたい位置からずれてしまう事が多分にあるのです。
これを、本来の穴あけ位置から、ドリルが離れていってしまうその様から「ドリルの逃げ」と呼んでいるんです。
多少、位置ズレしても、設計上問題が無い箇所なら良いのですが。
実際には、そうそうファジイに済ませられない場合も多いのです。
このような「ドリルの逃げ」が起きた場合は、その板を手直しをして、使えるよう追加工をする場合もありますが、大抵は、使い物にならない〜と、板を廃棄するコトになるのです。
僕はそう、この「キリの逃げ」を無くしたくて、それこそもう、木工を勉強し始めた駆け出しの頃から、あの手この手でいろいろと試して来たのですが…
これこそは!と言えるような解決策は、見つかっていなかったんです。
例えば。
穴あけの位置をずらさないためには、あらかじめ、穴をあける位置に、ピンポイントでとがった針を打ち込み、その凹みを、ドリルで穴あけをする際の「ガイド」にするのが一般的です。
また、雑に勢いよくボール盤のレバーを引いて穴あけをすると、これまたドリルは逃げやすくなるので、ゆっくりとドリルを下ろしていくのも、位置ズレを防ぐ有効な手段です。
使用するドリルビットも、先端が細くとがった、木工用の「ブラッドポイントタイプ」を使うのも有効的な方法でしょう。
他にもいくつか方法はあるけれど、全部あげていたら長くなるので、とりあえず実例はこの程度で。
しかし、けれども、なれども!!
これらの方法だけでは、ドリルの逃げを完璧に防ぐ事はできないんです。
小径のドリルビットであれば、平気で1o弱は右へ左へ不規則に位置がズレます。
僕の工房で多用する6oのドリルビットであっても、ひどい時は0.5o前後の位置ズレは起きるのです。
これは、位置のズレ幅で言えば、左右で最大1o以上、位置が異なる事になります。
特に精度が求められる穴あけ位置で、しかも100、200といった数モノを作る場合、この位置ズレは、どうしょうも無く厄介だったんです。
材も結構これで無駄にしていますしね…
以前、産業用の機械設計をしている先輩に、どうしたら「ドリルの逃げ」を出さずに、正確な位置で穴をあけることができるのか、聞いてみたんです。
結局の所、穴径が小さくなれば、それは「無理」との事でした。
最大限、位置を正確に穴をあけようとするのであれば、穴をあける板の前、後の両方に位置決めを行い、半分ずつ掘り進め、その上で、穴の側面を削って仕上げ、貫通穴を作る〜という話です。
ぶっちゃけ、数モノ作り、木工作業では、そこまで1つの穴に手間はかけられません。
残念ながら参考にはなりませんでした。
もう、いったいどうしたら良いんでしょうかね?
僕はこの「穴あけ」で、木工をはじめた時以来、ずーっと悩み続けて来たんですが。
他の人は、いったいどうしているんだろう?
みんな、穴のズレなんか気にしていないのかな?
それとも、スゴイ高剛性のドリルビットとか、位置ズレしないドリルとかを持っているんでしょうか?
まだたくみ塾で、木馬やイスなどを作っていた頃、当時のスタッフさんに
「どうしても位置がズレてしまうんですが…」
と、相談したコトがあったんですが。
「そんなコトは無い!それはセット(機械のセッティング)が悪いんだ!」
と言われて、どうしてもズレる穴あけを泣き泣き調節しながら、それでも直らず、だましだましで穴あけしていたのも、今でもトラウマのように記憶に残っています(しかも1度や2度じゃないんですね…)。
あの時、自分だけで頑張らず、
「どうしてもできないんです!見本を見せて下さい!!」
と言えなかったコトが悔やまれます。
聞くは一時の恥、聞かぬはは一生の恥を地で行っていますね。
そういうトコロで要らんプライドが邪魔をしてしまうのが、当時まだ二十歳そこらの若気のいたりなんでしょうが…今もあまり変わっていないかな…?
まあ、これは余談。
とまあ、そのようにして、僕は木工を始めた頃から、ずーっと「穴あけ」で出てくる「ドリルの逃げ」に苦しんできたのですが(前置きが長くてスミマセン)。
今回、ついに、この「ドリルの逃げ」を解決できたんです。
そのセッティングがこれ。
ちょっと見づらいですが。
中央で回転しているのがドリルビット。
加工材は下(赤矢印)の手で押さえている方の板です。
このセッティングでは、加工材から、約5ミリほど浮いた所に、ドリル位置を固定するために「ドリルガイド板」を置いたのがポイントです。
ドリルガイド板には、使用するドリルビットと同径の穴が開いており、上下するドリルビットが左右に逃げるのを防止しています。
このセッティングで500個弱のパーツ、計2000箇所ほどの穴あけをしましたが。
穴の位置ズレは、誤差、なんとコンマ1o以下!!
このコンマ1oの位置ズレが出るのも、20〜30個をチェックして1つ有るか無いかのズレです。
以前なら、まったくセンターに位置が取れているのを探す方が困難だったのに!
この程度なら、ズレは無いに等しいです!
まさに我が世の春だ!!(←?)
穴あけは木口にも行ったのですが、こちらも位置ズレはコンマ1o以下の、限りなく0に近いズレです。
ついに問題解決です!!
このセッティングは、ドリルガイド用の板にあけた、ドリルと同径サイズの穴のタイトさが、もっとも重要になってきます。
ドリルが回転すると、ガイド板とドリルが、摩擦で熱を持ったり、キュルキュルと音鳴りを始めるのですが、これはガイド穴にシリコンスプレーを吹き付けるコトで解決しました。
これだけのセッティングの改善で、ズレは限りなくゼロです!
もちろん、今回の加工で廃棄に回された板もゼロです!!
今回は6oのブラッドポイントタイプの木工用ドリルビットを使用しました。
このドリルビットは、過去にコンマ5程度のズレを頻繁に発生させていたビットです。
今回のこの穴あけの方法、よりビットの剛性が劣る6o未満の小径ビットを使ったり、先のとがっていない、金属加工用のビットを使った場合に同じ結果が得られるとは限りません。
また、穴数も500を超えると、若干ガイド穴にもガタがきて、位置ズレが出やすくなるようでした。
このよう、まだ改善の余地はありますが、今回のこの穴あけの方法はかなり使えます!!
あまり、穴あけの位置ズレに困っている…という話は他では聞きませんが。
僕と同様、穴あけでお悩みの方は、1度試してみる価値有りですので、この方法、よろしければお試し下さい。
僕は小物作りで、穴あけは多用しますし、位置決め精度も多分に求めるモノ作りをしていますので、今回のこの発見は、とても嬉しかったのでした♪
(他所ではよく知られた方法なんですかね?見た事は無いんですが)
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