次期日銀総裁候補の武藤氏が参議院で不同意となり、総裁不在が現実化してきました
小生は、この迷走は茶番劇ではないかと感じていました
今回はメルマガニュース風にその背景を解説します
▼ 武藤総裁不同意は筋書き通り
次期日銀総裁候補として、財務省出身の武藤氏の名前が以前より取りざたされていたが、同時に財金分離の原則から根強い反対意見もあったのは事実である.
人事案を国会で承認する手続きの際に、政府はあえて反対されることを見据えて武藤総裁案を提出し、予想通り参議院で不同意となった.
つまり政府は参議院で不同意になることを狙って武藤総裁案を提出したのである.その背後には何らかの意図があるはずだ
▼ 強まる利下げへの圧力
米国のサブプライム問題は日増しに深刻化し、ついに本格的な景気後退に突入した模様である.株価暴落、ドルの他通貨に対する全面安、失業率の上昇など具体的な数字として実感されるようになった.
FRBが金利をドンドン下げ、通貨供給を増やすためにドルが大増刷されると、ドルを基軸通貨としている世界経済がひどいインフレになるのは当然だし、ドルの価値が下がるのも当然である.ダメ押しは世界の資金が米国から逃避し始めたことである.ドルが単なる紙切れに近づいているのだから、投資家たちが安全な通貨に逃避するのは当然のことである.一部は円にも流れてきているのであろう.
当然ながら米国は、各国に圧力をかけてこの事態を回避したいはずである.FRBが利下げを繰り返したことにより、各国との金利の差が縮小してしまい、米国金融市場の優位性が崩れたことが一因であるので、米国当局としては各国も金利を下げて資金の逃避を最小限にすることを望んでいる.
当然ながら、日銀に利下げの圧力がかかっているはずである.
NET EYE プロの視点より抜粋
「利下げ」「保有株売却の凍結」など選択肢に
日銀は政策金利は0.5%と低く、利下げしても効果は薄いと予防線を張り始めているが、そんなことはない。利下げは日米金利差の急縮小を防ぎ、急な円高を防ぐ効果が見込める。また、貸し出しには短期プライムレートに連動するものも少なくないため、一定の景気下支え効果も見込める。
もう一つは日銀の保有株売却の凍結である。日銀は信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題が深刻化する2007年10月から、保有株式の売却処分を始めるとしていた。日銀保有株は07年9月末の時価で3兆円を上回り、その売却が株式市場の重しになっている。
もともと日銀の株式保有は2000年8月のゼロ金利政策解除で日本の景気が悪化。その責任をとらされる形で金融機関保有株を買い入れた経緯がある。2007年2月の利上げで再び金融政策を失敗したのだから、その責任を明確にする意味で売却を数年凍結することも選択肢だ。
日銀は金融機関の保有株買い入れを金融政策とは別枠で実施している。日銀法3条で規定された独立性とは関係しないので、政府、国会も含めて売却を続けさせるべきかどうか検討すべきだろう。
G7議長国として国際的視野で行動を
2月9日東京で開いた七カ国財務相・中央銀行総裁会議は声明で景気の減速にそれぞれの国が成長力を高めるための努力を強化するとしている。ただ、日本はG7のなかで最も財政状況が悪く、財政面での追加刺激はできない。
日本の事情にあったG7の趣旨に即した施策は金融面での景気刺激しかない。都合のいいときだけ国際化を叫ぶのではなく、危機の時に国際的な視野で行動する必要がある。利下げは議長国としての責務でもある。
▼ 日銀を冬眠させて外圧を回避
日本の本音としては、利下げをしたくないはずである.
最近、消費者物価指数の上昇が発表され、食料品や石油製品の値上げが家計を直撃している.この状況で利下げすると、インフレを悪化させる懸念があり、格差社会を助長し、低所得者にますます厳しい事態となる懸念がある.日本は低金利による過剰流動性でバブルを発生させ、その後遺症で苦しんだ経験があり、不用意な利下げに対する警戒感は依然として強い.
もう一つは封印していた為替介入の解禁と米国債買い支えの問題である
政府日銀は平成16年3月以来、為替介入をしていない.日本の対米依存度は年々減少し、たとえ円高になってもデメリットは少なく、むしろ原材料の輸入の観点から、メリットの方が大きいとの意見もある.つまり為替介入も本音ではやりたくないのである.
この難題を解決するキーワードが衆参ねじれ現象である.
参議院が否決して不同意となる総裁候補をあえて提出することで、日銀総裁選定を混迷させて、日銀が機能不全になるような状況を作り出し、利下げや為替介入、米国債購入ができない状況を意図的に演出しているわけである.
福田総理は参議院で武藤総裁案が不同意となった直後のインタビューで「困った、本当に困った」と連発していたが、私はあの映像を見て笑いが止まらなかった.あれは「日銀総裁を早急に決めて米国の希望に沿いたいけれど、参議院が反対するのでご希望に沿えず困ったよ」というメッセージを米国に発したわけである.その演技が売れない大根役者のようで笑えるのである.
▼ 対外政策に衆参ねじれを利用したのは2回目
実は、日本は以前にも衆参ねじれを対外政策に利用している.インド洋の護衛艦給油法案が期限切れとなり、数カ月の空白の末に衆議院で再可決したのは、米国の対北政策を変更させるための裏ワザであった.
http://green.ap.teacup.com/kyusiro/320.html
〜抜粋〜
米国の非情な裏切りに対して、日本は捨て身の反撃をしています.その第1段が安倍内閣の倒壊です.「米国が安倍(日本)を裏切るから、内閣が倒れて給油継続も米国サポートも困難になったんですよ」と主張できるわけです.第2段が民主党の躍進と傲慢です.メディアをうまく利用して民主党が参議院選挙で大勝するように仕向けたことで、「参議院で野党が過半数を制しているから、法案を通すことができない」と米国に言い訳することができます.民主党も事情を理解していて、譲歩せずに強硬姿勢を貫いています.このように、議会でねじれ現象を意図的に作ることで、刻々と変化する情勢に対応したり、それを対外カードの1つとして利用しているわけです.
おそらく、日銀総裁選定はしばらく迷走を続けるだろう.日銀は組織として機能しているので、総裁が不在でも日本経済に実害はない.しかし、米国に対して「総裁が不在であり、為替介入や利下げができない」と言い訳するには好都合である.
時間稼ぎのうちにドルは暴落し、日銀にお呼びがかからなくなったときに総裁が決まる筋書きなのであろう