理系白書 この国を静かに支える人たち
毎日新聞社科学環境部
講談社
毎日新聞夕刊で連載されている理系白書をまとめたもの.
「理系人への応援歌」とされているけど,まさにその通りである.
科学立国と呼ばれているこの国の実状は,実は文系立国であることが如実にわかる.
研究所に勤める身としては,周りはそれこそ理系人ばかりなので気づかなかったが
一般社会では理系と文系との間に,出世・生涯賃金などにおいてかなりの格差があることを知った.
今までの生活の中で,理系は肩身が狭いことをなんとなく感じていたが
データとして出されると,その差に驚いてしまう.
(データをみるまで実感しないのが,まさに理系人?)
別に生涯賃金が低いことを嘆いているのではない.
なぜ,これほどまでに日本では理系の肩身が狭いのか...
そもそも,子供の時は自然科学に興味をもつ人の比率は高いのではないのだろうか.
しかし,現状の詰め込み型の受験社会の中では,その興味を捨てざるを得ない状況になっている.
そして,文系が社会の決定権を握るようになり,あらゆるシステムが文系中心に作られていく.
悪循環である.
生涯賃金は理系の方が少ないのに対して,仕事に対するやりがいや充実感は
理系の方が感じているというデータもある.
大学の時,私自身体育会系の部活をしていたのだが,体育会系の部員の8割方は理系学部だった.
朝1時限目から夜までびっしり講義・実習があり,バイトもし,部活もする.
この違いはなんなんだろう,とよく友人と話していた.
結局,教育システムの中で興味や夢を捨てなかった人,苦労することを苦に思わない人が
文系科目を選ばずに理系に留まってきたのではないだろうか.
いや,もちろん,そんな単純化できる話ではないが...
いずれにせよ,理系の人がこの本を読んでも
「そうそう,そうだよね」
って思うだけで,あまり意味がない?
文系の人にこそ読んでもらいたい.
理系的(つまり論理的,自然科学的)発想の重要性は社会を形成していく上で必要なはずだ.
【読書期間 2007.4.19〜23 約4時間 読書場所:移動中】

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