早いもので、九州ブルトレが全廃してから1年近くが経とうとしております。
今さらな話ではありますが、廃止に際しての駆け込み的な商法で「完全保存版〜」やら「〜の軌跡」などと言った数多くの書籍・雑誌が出版されましたが、その中の1冊。
旧日本交通公社パブリッシングから出された広田尚敬氏撮影による写真集です。
広田氏については、鉄道写真家の第一人者であり、この趣味をかじる者なら知らない者はいないと言っても過言ではないでしょうから、今さらこの場で述べる必要もないでしょう。
自分も最も好きな写真家は?と問われると、迷わず広田氏の名前を挙げるほど氏の作品には傾倒していますし、実際ヲタク部屋にも写真集が何冊か積んであります。
ところでこの写真集ですが、こう言っては失礼なのですが、至っておとなしい列車写真ばかり。他の同じような冊子と違い、もっと運行に携わる人や利用する人、沿線の人々などといった人や風景と絡めたような作品集を期待していたので、書店で最初にパラパラっと見た時には買うつもりはありませんでした。
ところが後日、時間つぶしに入った書店で改めて目を通した時にふと気付きました。その中の何枚か遠い昔に見た覚えがある…。
約30年ほど前の話。
かつて、ブルートレインブームの頃、ロッ●からブルトレのカードがおまけに付いたガムが販売されていたのをご存知でしょうか?
『おまけ』と言っても御多分にもれず、ガムの方がおまけと言った感じで、今風に言えばトレーディングカードが5枚組で入っていました。確か1パック50円だったと記憶しています。
カードは全部で80種類。ガキの頃からこういったものには直ぐに嵌る性格だったので、小遣いの大半をつぎ込んで全種類揃えました。ブラインド方式のパッケージなので、全て揃った頃には大方2セットが揃ってました(笑)。
せっかく苦労して全種類揃えたのですが、数年後に実家が引っ越した時でしょうか、いつの間にか無くなってしまいました。
話は戻ります。
その写真集、何点かの写真がそのカードで見たものと同じではないか?
気になるとしょうがないですねぇ。1冊をつかんでレジへ直行。買って帰り、ネットでカードの事を調べてみると、やっぱり同じ写真がありました!
そうなると次の段階へ。
…はい、カードの入手です。
いやぁ、しかし良い時代になったもんです。かれこれ30年ほど前の菓子のおまけが、ネットオークションでいとも簡単に手に入るんですから!
さすがに80枚コンプリートのものは無かったのですが、上手くヤフオク2口で揃えることが出来ました。しかも、ガキの頃つぎ込んだ金額と同程度で!
こまめにチェックしていたのですが、たいてい数枚単位でしか出品されていないので、これは非常に運が良かったと自分では思っています。
カードの裏面は各列車の運行区間や編成、車両等についての解説が記されています。
まずはここから「入門」し、やがてコロ●ン文庫やケイブ▲シャなどの『〜全百科』などで知識を深めていったわけです。
写真集のものと比べてみました。
ほらね…。
よく見ればシャッターを切るタイミングが異なってはいますが、明らかに同じ時に撮影されたものですね。
小学生の頃には氏の名前なんぞ知る由も無し。それでも「カッチョエェ」と子ども心を惹きつける写真を撮るところはさすがです。
そして、自分が鉄の世界に踏み込むきっかけとなったこのカードが、実は氏の作品だったと、約30年も経ってから気づいたことにチョイと感動…。
きっとこうして知らぬ間に慣れ親しんできたからこそ、氏の作品に対して自然に感銘を受けるようになったのかもしれません。
ところで、今年は広田氏が鉄道写真歴60周年を迎えるということで、続々と記念の写真集が出版されています。ちょうどカードのポイントが溜まっていたこともあり、第1弾となる『Fの時代』を買ってみました。
もう圧巻です。外箱のC62の写真からして圧倒、最後のページをめくるまで無言でした…。
今後複数の出版社からさまざまなテーマで写真集が刊行されるとのこと。欲を言えば全て欲しくもあるのですが、さすがに経済的に無理…。良いお値段がするだけに、それぞれが価値あるものが刊行されると期待しているのですが、それゆえにチョイスするのも頭を抱えることになりそうです。

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