昨日、伊藤長崎市長は、長崎市が作成している国民保護計画について、核攻撃からの対処の記述を削減するという意向を示した。削減の姿勢を示したのは全国の自治体で長崎市が初めてだそうだ。
長崎新聞の28日の記事によると『市によると、政府側は「被爆地である長崎の事情や市民感情は理解できる」としたが、核攻撃への対処を示した国の基本指針の記述は「核攻撃そのものへの対処を示したものではなく、二次被害の拡大を防ぐためのもの」と説明。被害想定の公表や対応策の見直しには具体的に言及しなかった』ということである。
国の基本指針を見てみよう。
以下、国の「国民の保護に関する基本指針」より抜粋したものである。
1 核兵器等
○核兵器を用いた攻撃(以下「核攻撃」という。)による被害は、当初は主に核爆発に伴う熱線、爆風及び初期核放射線によって、その後は放射性降下物や中性子誘導放射能(物質に中性子線が放射されることによって、その物質そのものが持つようになる放射能)による残留放射線によって生ずる。核爆発によって@熱線、爆風及び初期核放射線が発生し、物質の燃焼、建造物の破壊、放射能汚染の被害を短時間にもたらす。残留放射線は、A爆発時に生じた放射能をもった灰(放射性降下物)からの放射線と、B初期核放射線を吸収した建築物や土壌から発する放射線に区分される。このうち@及びBは、爆心地周辺において被害をもたらすが、Aの灰(放射性降下物)は、爆心地付近から降下し始め、逐次風下方向に拡散、降下して被害範囲を拡大させる。このため、熱線による熱傷や放射線障害等、核兵器特有の傷病に対する医療が必要となる。
○放射性降下物は、放射能をもった灰であり、爆発による上昇気流によって上空に吸い上げられ、拡散、降下するため、放射性降下物による被害は、一般的には熱線や爆風による被害よりも広範囲の地域に拡大することが想定される。放射性降下物が皮膚に付着することによる外部被ばくにより、あるいはこれを吸飲することや放射性降下物によって汚染された飲料水や食物を摂取することによる内部被ばくにより、放射線障害が発生するおそれがある。したがって、避難に当たっては、風下を避け、手袋、帽子、雨ガッパ等によって放射性降下物による外部被ばくを抑制するほか、口及び鼻を汚染されていないタオル等で保護することや汚染された疑いのある水や食物の摂取を避けるとともに、安定ヨウ素剤の服用等により内部被ばくの低減に努める必要がある。また、汚染地域への立入制限を確実に行い、避難の誘導や医療にあたる要員の被ばく管理を適切にすることが重要である。
○ダーティボムは、爆薬と放射性物質を組み合わせたもので、核兵器に比して小規模ではあるが、爆薬による爆発の被害と放射能による被害をもたらすことから、これらに対する対処が必要となる。
赤文字の部分での対処法では、私は非常に疑問に思うのである。手袋、帽子、雨ガッパ、タオルなんかで本当に核兵器から国民を守ることができるというのか。
広島、長崎に投下された原子爆弾より最近の核兵器は格段に威力が大きくなっていることは間違いない。私は、核兵器から身を守る方法は核シェルターのように完全に外気から遮断されない限り核兵器から身を守ることができないと思う。仮に市民が入ることのできる核シェルターを作るとしても、非現実的に近いであろう。被爆者団体の方が「核兵器が使用されれば、市民を守る方法はない」と仰っていたのもうなずける。
一番良い方法は、核兵器を使わないこと、そして地球上の核兵器をなくすことしかないと思う。
政府は核攻撃による被害のシュミレーションは行っているそうだが、公表する予定は現時点ではないそうだ。なぜ、公表できないのだろうか。核兵器大国アメリカに気を遣っているのだろうか。
長崎市長が、長崎市の国民保護計画から核攻撃の記述を削除する意向を示し、国に対して疑問を投げかけたことに対し、大いに評価したい。
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