2008/12/19

恋愛指南−アルス・アマトリア−  読書

恋愛指南―アルス・アマトリア (岩波文庫)
 「恋愛指南−アルス・アマトリア−」 オウィディウス著,沓掛良彦訳(岩波文庫)。

 「変身物語」で有名なオウィディウス(プブリウス・オウィディウス・ナソ 紀元前43年−紀元17年頃)の作品。文字通り恋愛の教則本と思って読むと肩すかしを食らう(もちろん,参考にするのもありでしょうが,大変なことになりそうです)。
 本書に散りばめられたパロディーは,本を読む楽しみを味わわせてくれます。固い頭を解きほぐすのに相応しい一冊ですね。

 第1巻では,理想の彼女を得るまでを,第2巻は,彼女との関係を維持する方法を,第3巻では,女性向けに書かれています。 
 
 説教節といっていい,ヘシオドスの「仕事と日」の文体を真似た文章なんかを見ると,替え歌で笑いを取る芸人に近い,いい意味での不真面目さを感じる。なんてバカバカしいんだと思いながら読める楽しみ。

 男は流行を追うな,清潔感をモットーに日焼けもしろと呼びかけるあたりは,ふむふむと読むかもしれませんが,さらに進んで,歯くそをためるな,鼻毛を残すな,臭い息を吐くななんていうあたりまで行くと,やっぱり笑いが洩れますよね。
 享楽的ではあるものの,女性の行動を縛るなという助言など,なるほどと思わされる部分も多いですし,単なるエロオヤジだなと思う部分もあり,時代の古さを感じさせないのはやはりこの時代の特徴。

 引用される神話も興味深いです。プロクリスとケファロスの悲劇なんかは,胸を打ちます(夫が息抜きをしていた丘のふもとで,そよぐ風を讃えたことを女の名を呼んでいる,浮気だと妻に勘違いされ,妻がその現場をおさえるために草むらの中に隠れ潜む。しかし,近づいた妻を獣に間違え,弓を放ち射ってしまう)。

 オウィディウスの自由奔放な筆捌きにニヤリとしたい向きにはお勧めです。
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