ブランコ マンガ

「ブランコ」 ウィスット・ポンニミット著(小学館)。マンガ。
現在4巻まで刊行中。著者は,タイ人マンガ家。多国籍もののため一種のキワモノではないかと思ってしまいがちですが,そんなことはありません。
舞台は近未来。当然,国籍なんてものも超越した世界です。主人公の少女,ブランコは,不思議な能力を持っているらしい。相手の怪我を自分に移して相手を治してしまったりもする。幼い頃,母親が宇宙人にさらわれたことから,父の手の元で育ち,その発明家の父も母を捜しに宇宙に行ってしまう。
筋書きがどうこういうよりも,独特の余韻を残すマンガです。絵はあまりうまいとはいえないけれど,哲学的と評されるそのマンガ世界は,絵がどうとかいうことを超越していますね。
例えば,ブランコのそばにいる,ペア君のセリフなんかがオープニングから惹きつけます。
ペア:「昔とか,未来とか,目を閉じて見るものなんて,どうでもいいんだ。目を開けて見えるものが,幸せだから。」(第1巻第1話)
1巻では,まだストーリー展開が定まっていない感じですが,印象が深い作品も多いです。たとえば,刑務所にいる義理の父が送る葉っぱに綴った小説の話(第4話)とか,良心の喚起を描いた第6話,心の直りを描いた第7話や雷が怖いブランコが雷に教えられる第8話など,おもしろいアプローチをしています。
2巻からは,記憶を消してしまう風船おばさんの登場によってストーリー展開に複雑味が増して記憶という問題がクローズアップされてきます。この風船おばさんのアイディアは,マンガなんかの場合には,これによってストーリー展開の矛盾を解消してしまえるので,かなり秀逸ですね。
3巻以降は,バーチャルリアリティーの世界を生きる都会人との交流が描かれます。メッセージ性は,相変わらず強く,例えば以下のブランコのセリフなんかも印象深い。
ブランコ:「命はどうして,消えていくんだろう。ただ自分を忘れて新しい命を始めたいのかな・・」(第3巻第17話)
今後は,まとめに入っていくのでしょうか。個人的には,ストーリーとしての展開よりも,読み切りのような話の方が印象深いし,著者の力量が発揮できる気がします(とはいえ,今後スキッとまとめることができたら,それはそれで爽快な気分を味わわせてくれるでしょうが)。
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2009/7/26 0:41
投稿者:おやすみネコ
センスも抜群!
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