2005/3/21

となり町戦争  読書

新聞の広告を見て,「となり町戦争」三崎亜記著(集英社,2005)を買って,読んだ。

例えば,amazonの出版社/著者からの内容紹介では,
「天才現わる!? 見えない戦争を描いた衝撃作。
ある日届いた「となり町」との戦争の知らせ。だが変わらぬ日常に、僕は戦時下の実感が持てないまま。それでも“見えない”戦争は着実に進んでいた。「清澄な悪夢」「傑作」と選考会騒然の衝撃作! 第17回小説すばる新人賞受賞作。」
と紹介されている。

著者は,1970年生まれ。
見えない戦争などと書かれているので,ひょっとしたらいけるかも!と考えるのはアリだ。

さて,本を読む時にどういうスタンスを持って読むべきか。

 その1は,これは例えばこの本は,不条理な世界を描くようであるからカフカなんかを思い描きながら,気合いを入れて(期待を込めて)読む。
この場合は,かなりの良作でない限り厳しい評価になる。

 その2は,世の中には,たとえ漫画の形式をとっていたとしても鋭いなと思わせる部分を発見することもあるさね,という読み方。
加点方式の読み方というか,いきおい甘めの評価になる。

そういう意味でいうと,はっきりいって駄作なんだけど,まあ面白いところもあるかなっていう作品。
発想は面白いんだけど,漫画チック。女性なんかも男視点だけじゃんっていう感じで,こんなのを持ち上げて新人賞を与えるんだーと変な感慨にふけってしまう。

昔から死自体はよく小説の主題に上るけれど,本作の死ほどリアリティーのない死も珍しい。
「たとえどんなに眼を見開いても,見えないもの。それは「なかったこと」なのだ。」(193頁)っていう認識論は,ある意味真実ではあるけれど,悩みがなさすぎる。

結局,本作の主人公が,全くの独り身でとらわれる家族もなく自分だけで生活しているということが,ある意味本作の漫画らしさを形作っているんだろう。
しかし,それは100パーセント現実とは違う。そこに違和感を感じるかどうかで感想は分かれるだろう。

しかし,小説という媒体は確かに死につつあるのかもしれない。
その死こそ見えないが故に気付くこともない。しかし,ぼくらの心は確実に飢えている。そんな気持ちを埋めるためにジャンクブックが量産されていく。悲しいねこれは。
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