くもの巣の小道  読書

くもの巣の小道 「くもの巣の小道」 イタロ・カルヴィーノ著,米川良夫訳(ちくま文庫)。

 イタリアの作家,イタロ・カルヴィーノが1947年に発表した小説。副題は,「パルチザンあるいは落伍者たちをめぐる寓話」。下町の喧騒の中で生活をしていた少年ピンが,ふとしたことから逮捕され,逃走,そしてパルチザンのおちこぼれ部隊に入ることになる。

 子どもの視点というものがよく描けています。ピンは同世代の子どもたちよりも,大人たちの方がしっくりきます。そのため大人たちを冷やかしたり,大人受けする歌を歌ったりしながら酒場に入り浸っている。そう,「ピンには大人の世界に逃げこむしか手がないのだ。」(16頁)

 そんなピンだけれど,当然大人の世界にも入りきれない。大人なんてヌエみたいだと思ってみたり,普段の姿とはうって変わって上品ぶったりする姉に嘘つきものの姿を見たり,よく意味の分からない「イインカイ」に憧れたり,組織うんぬんよりも組織のシンボルに憧れたり,本物のピストルで遊ぶことを喜ぶ。孤独なんだけれど,めげない子供の姿がよく表現されていると思います。

 後半は,ピンの視点から外れてやや政治論争風の味わいになります。このあたり,やや統一感に欠ける感じがします。ここいらあたりは,彼の最初の作品であるということも影響しているのかもしれません。
 誰にも教えないクモの巣の小道。子供にはこういう自分だけの場所が不可欠なんです。
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