2005/11/12
公開初日に銀座シネスイッチで鑑賞してきました。
気のせいか映画館の観客の客層がいつもと違って年配の方々が多かったような。
昭和30年・40年代のまだ映画が大盛況だった時代へのノスタルジイが描かれているのかと思いきや。。。
二組の「父と娘」の複雑な関係が大きなテーマとして描かれていた。
映画を観終わった後にはやさしい気分になれると思います。
(ネタバレ注意)
この作品の脚本・監督は「半落ち」、「チルソクの夏」の長谷部監督です。この作品の中でもこっそり映画館に「チルソクの夏」のポスターが貼られていたところは、ちょっと笑えます。。
橋本香織(伊藤歩)は東京の出版社に勤める契約記者。しかし仕事で失敗し、福岡のタウン誌で働くことになる。そんな彼女が見つけた一枚の葉書。それは映画と映画の合間にお客さんを楽しませる、ある幕間(まくあい)芸人を探して欲しいというものだった。。
香織が探す幕間芸人、安川修平役は、藤井隆が演じている。テレビで見ているとおりの芸達者ぶりで、橋幸夫の「いつでも夢を」を楽しく歌っていた。歌も上手いね!
映画の中で、観客でいっぱいのなつかしい映画館の風景が出てくる。もちろん昔の話なので、自分がそんな景色を見たはずも無いのだが、どこか懐かしさを感じてくるのが不思議だ。昔の映画館は映画を放映している暗闇の中でも売店がやっていたりしたようだ。そんなことに感心したりする。
幸せだったシーンが過ぎると、映画の人気が廃れていき、安川家に不幸が訪れる、映画館の仕事を失い、妻(奥貫薫)も病で亡くなってしまう。ついに疲れた安川は幼い娘を残して失踪してしまう。。
映画の中心は香織が幕間役者「安川」とその家族の歴史を追いかけていく形で進んでいくが、それと並行して彼女自身の「物語」も進んでいく。自らの父親との微妙な隙間だったり、昔好きだった男性との再会だったり。。
この物語では、安川が在日朝鮮人であるという設定であることで、在日朝鮮人への差別というテーマにも触れている。昭和の時代の特に下関あたりは特に厳しかったということだが、事情を知らないのでよくわからなかったのだが、あの辺では特別な出来事でもあったのだろうか?それとも朝鮮半島とすぐそばの地理的な要素によるものだろうか?
とにかく、この映画でもこの問題に触れているのでやっぱり考えさせられるものがある。ただ今回の映画ではそれが主題ではないので、物語の重要な要素ではあるが、そんなに押し付けがましくこの問題について訴えかけていないところは良かったのではないかと思う。
後でパンフレットを読んだところでは、監督は自分の「ニュー・シネマ・パラダイス」が作りたかったそうだ。でも出来上がったこの映画は「ニュー・シネマ・パラダイス」とは違う、父と娘の物語になってしまっていた。
物語の最後のクライマックスで自分を捨てた父親(井上尭之)をどうしても許せなかった安川に捨てられた娘(鶴田真由)は、韓国に住む父のもとを訪れるシーンがある。ハーモニカを吹いている父親。曲はあの曲「いつでも夢を」だ。
彼女はどんな顔をして父親と顔を合わせるのだろうか?そんな気持ちで観ていたら。
彼女は嬉しそうだった。もちろん泣いていたけれど。
自分を棄てた父親を許した顔ではない、そんなことより大好きだった「お父さん」。褒めて欲しかった、「お父さん」に逢えて嬉しかった。
そんな笑顔だった。。
このシーンにはやっぱり感激してしまった。
「お父さん」のなんともいえない表情にも心を打たれるものがあった。
「父と娘」なんて設定はやっぱり反則だなと思う。
たぶん、昭和の良い時代を知っている人が観るとノスタルジイも感じられて違う良さも感じられるかもしれませんが、そうでない人でも、一つの映画として素直に感動できる良い映画だと思います。
是非、ご覧下さい。
最後に映画館を出るときに年配の方が、熱心に映画の写真に見入っていたのが印象的だったなあ。

0
コメントは新しいものから表示されます。
コメント本文中とURL欄にURLを記入すると、自動的にリンクされます。
投稿者:やっぱり邦画好き…
TB&コメントありがとうございます。
この映画、歳をとったお父さんの役をムリに藤井サンのままでなく井上サンに変えたのが良かったなぁと思います。ありがちなメイクで老けさせるより、イメージは違っても、ずっとこちらの方が良かったと思います(^^)
http://ameblo.jp/cinemajp/