歓声の中へ
野球、サッカー等を中心にした総合スポーツコラムです。
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2009/5/30
「【プロ野球】USA! USA!−−WBC2009観戦記(2)」
野球
LA滞在2日目の朝を迎えた。いよいよ準決勝の日米決戦である。今大会に入ってから今ひとつ精彩を欠いている米国代表ではあるが、こと野球に関する限り、いつの時代も、アメリカをなめてはならない。
ホテル近くの中華ダイニングで朝食を済ませると、昨日と同様7thから2ndまであるく。京都なら地下鉄で2駅なのだが、LAではそうはいかない。どうせ歩くならとこの日は現代美術館に寄ってから、リトル・トーキョーに向かった。
ドジャー・スタジアムは、じっくり探検すると、結構面白い。たとえば1958年にブルックリンからLAに移転してきた時、当時はこのスタジアムはなく、オリンピック・コロシアムで試合が行われた頃の写真。柱にジャッキー・ロビンソンを始め歴代の名手の写真があしらわれた廊下等、訪れる者を飽きさせない。そして今日も、ドジャー・ドッグとビール。
入場者数は43,630人と発表された。地元米国が出るというのに、昨日とほとんど変わらない――というより、昨日の人数が多かったのだ。韓国サポーターもさることながら、アメリカ人は本当に野球が好きなのだと実感する。私と同様に通し券を買ったであろう客が周囲にいる。彼らはアメリカが今日敗退したとしても、決勝戦は見に来るだろう。後ろは陽気な3人組、前は30代の夫婦である。彼らとはすぐに仲良くなった。しかし、今日はアメリカ戦である。一塁側スタンドには、アメリカサポーターがそこかしこに集まってきた。
先発は、満を持した松坂である。だがこの見え見えの起用は、完全に研究されていた。初回、いきなりロバーツが先頭打者ホームラン! 2回に日本は城島の犠牲フライで同点とするも、3回にはライトのタイムリー2塁打で再び突き放される。失投だろうって? 違う違う。どちらもよくコントロールされた、松坂特有の力のあるボールだった。スイングスピートが明らかに違うのだ。歓喜のアメリカサポーターあちこちで星条旗が揺れ、USAコールが鳴り響く。
だがパワーで対抗できないなら、そこは伝統のスモール・ベースボールだ。日本がそれを爆発させるまで、打者一巡が必要だった。しかし、先発オズワルドのボールに慣れさえすれば、後はもー容赦しない。
4回。日本はまず因幡・小笠原が連続ヒット。続く福留の当たりは2ゴロだったが、ロバーツが打球を後逸する間に稲葉が生還。無死1・3塁となって、城島がまたも犠牲フライで3−2と逆転! そしてパワーでは負けないメジャーリーガー岩村がライトオーバーの3塁打を放ち小笠原生還4−2! 負けじと川崎もタイムリーで5−2! そしてイチローは「例によって」倒れたものの、中島がとどめのタイムリーを放ち6−2! オズワルドをKOし、日本はこの回一気にビッグイニングとした。
だが、アメリカ人は野球が好きと書いたが、それは何もファンだけの話ではない。選手は、もっと好きなのだ。そして好きな野球では絶対に負けない、負けてこなかったという実績と自負を持っているのが、メジャーリーガーなのである。日本は堂々たるピッチングを見せた松坂から杉内−田中とつないだが、8回表に馬原がつかまった。ブラウンに2塁打を打たれ、マキャンには四球。そして続くデローサはレフト線に2ラン2塁打! さらに青木が打球の処理を誤る間にデローサは3塁へ! 6−4となってなおも1死3塁!
56,000人収容のドジャースタジアムが沸き返る。ひっきりなしに起きるUSAコール。1球ごとに起きる大歓声。本場アメリカの、これがアウェイ環境だ。前の席の奥さんが「がんばって日本を応援しろ」と身振りで示すが、もちろん私の叫び声はかき消される。だが、馬原は最後の力を振り絞ってくれた。代打ロンゴリアを変化球で空振り三振! 日本の投手に慣れていない選手を起用したジョンソン監督の作戦ミスだ。そして1番ロバーツをピッチャーゴロ!
試合は一気にわからなくなった。だがここで相手に付け入る隙を与えないのが王者というものだ。その裏、アメリカの5番手ハンラハンから福留が四球を選ぶ。城島が送り、代走片岡は2塁へ。さらに岩村のゴロの間に3塁へ。続く川崎の当たりはショートゴロ。だがこれを名手ジーターがエラー! 片岡生還し7−4!
アメリカはここで、気落ちしたハンラハンに代わり6番手シールズを送り込む。総力戦だ。だがその代わり端を、イチローが捉えた。ライト前タイムリーで8−4! 続く中島も2塁打で9−4! 勝負は決まった!
後は9回表を抑えるだけ。藤川? いや、藤川は前回大会でアメリカに打たれている。ダルビッシュだった。日本シリーズ等でもそうだが、短期決戦ではローテーション投手を抑えにつぎ込むことが、往々にして威力を発揮する。特に点差をつけてリードした時にこの手を使うと、相手の戦意を喪失させ、息の根を止めることになる。エースはこうやって使うものだ。わかったか黒星野。
ダルビッシュはまず、アメリカのチームリーダー・ジーターをショートゴロに切って取る。”Go! Darvish!”という私のアメリカ風の応援が、今度はスタンドにはっきりと響く。”Good!”と前の席の奥さん。心が広いというか、本当にアメリカ人は野球が好きなんだと実感する。
ダルビッシュは続くロリンズにヒットを許すが、4番ライトを空振り三振! そして、5番ダンも見逃し三振!
3時間15分の激戦を制したのは、我々だった。2つのビッグイニングが示すように、地力は完全に我々が上だった。この試合を制したのだから、地元のビッグチームを倒したのだから、あのジーターをわずか1安打に抑えたのだから、もはや韓国など敵ではない。しかも日本チーム、試合を重ねるごとに仕上がりが良くなっていく。甲子園の優勝チームが持つ、あの状態だ。覚悟しろ韓国、実力に経験が加わった我々に、もはや敗北はありえない。
12
WBC
日本
アメリカ
投稿者: 生田正博(管理人)
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