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野球、サッカー等を中心にした総合スポーツコラムです。
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2009/6/10
「【プロ野球】旅の終わりに−−WBC2009観戦記(4)」
野球
一夜明けた。ダウンタウンの安ホテルはメインストリートに直面している。空は、今日も晴れだった。心地よい目覚めである。時差の影響も消え去り、本当に気持ちよく眠れた。飛行機の切符が取れずに1日長い滞在となったこの日は、予定通りステイプレス・センターで世界フィギュアの初日を観戦する。
コンパルソリーダンスとは、指定されたリズムとテンポの音楽を用い、規定されたステップパターンを滑走するダンス。だからカップルによって曲は違うものの、多くはかぶることになる。こなさなければならない課題は同じだし、その課題をこなし終えたところで音楽はストップする。正に表現力よりも技術そのものを競う競技だ。といってもスケートに関してまだまだ勉強不足の私には、細かい技術力の違いは見抜けない。スポーツの世界は、本当に奥が深いのである。日本から出場したのはキャシー・リードとクリス・リードの姉弟。このペアは父親がアメリカ人、母親が日本人で日米両方の国籍を持つ。この二人初日は24ペア中18位だったが、後のオリジナル・ダンスで点数を稼ぎ、最終順位は16位まで上げることになる。
ここのホットドッグは「ダウンタウンドッグ」と言って、ドジャードッグよりやや小ぶりだ。ガラガラのスタンドには、それでも熱心なファンがそこここに詰め掛けている。スケート会場というのは氷が溶けないように室温を下げているため、ここではビールは似合わない。両手にコーヒーとダウンタウンドッグを持って、選手たちの演技に見とれる私――。
野球の話に戻ろう。今回本当に良かったのは、野球世界一の称号を再び取り戻したことである。いやあんなヘボ監督・コーチ陣で負けをさらしたオリンピックなど本来の力とは言えないのだから「取り戻した」というより「維持した」と言うべきだろう。それでも、去年の秋は本当に空しかった。世界で惨敗した競技の国内大会に、いったいどれほどの意味があるのだろう、と思ってしまったのである。野球だけではない。サッカーやラグビー、バレーボールで「W杯/オリンピックで活躍した選手のプレイを見よう」と言われても空しいだけだ。ましてオリンピックにすら行けなかった某競技などはなおさらだ。国内でいくら勝ったところでそれは井の中の蛙に過ぎない。もちろん所属クラブこそが選手を鍛える場なのだから、その意味で国内リーグは最重要なのだが、世界でいくら負けても平然と国内リーグが開幕するところに、私はどうしようもない違和感を感じてしまうのだ。
だが、世界一となれば話は違う。我々は日本にいながらにして、世界最高水準のプレイが見れるのだ。世界一の選手を生んだ世界一のリーグに参戦できるのである。同じ野球を見るにしても、誇らしさが違うのだ。センバツも、セ・リーグも、パ・リーグも、東京六大学も、都市対抗も、すべては野球世界一の国の選手が見せる野球なのだ。野球ファンとして、これ以上の幸せがあるだろうか。世界最高峰のリーグはMLBとしても、世界最強リーグは間違いなく日本の2つのリーグである。
だから野球日本代表は、本当に強くなければならない。昔セレソンがW杯で負けたときに、ブラジルでは自殺者が出たというが、野球では、日本はサッカーのブラジルみたいな国だ。その辺の弱小国(失礼!)と異なり、代表の勝敗は単なるチームとしての勝ち負けを超えて、国のプライド、国民の士気、競技の普及、プロチームの観客動員、そしてサポーターの誇りすべてに影響するのだ。もちろん勝負事だから必ず勝てるとは限らないが、最終的にはどこよりも強くあること、少なくとも表彰台は絶対に外さないこと――これが宿命として求められるのである。
もちろん選手は大変だ。それはわかっている。だが我々だって大変なのだ。その我々の「代表」なのだから、何とかがんばってもらいたいものだ。しかも選手は、プロのトップ選手として日ごろ莫大な報酬を得ているし、何よりも当事者として栄冠を手にすることができる。ハードさやプレッシャーが嫌なら、全日本などとっととやめて、二軍でタバコでもふかしていればいいのである。今回、コンディション等を理由に、多くの選手が代表を辞退した。この時期に開催するのは、調整が大変だという声もある。時期については検討が必要としても、いずれもサッカーでは考えられない話だ。元日にシーズンが終わり、1月末に代表が公式戦をすることなど当たり前の話なのである。それでも誇り高きジョカトーレたちは、競ってブルーのジャージに袖を通そうとするのだ。
ところで、この野球日本代表を「常設」しようという動きがあるという。何を今更寝ぼけたことを……という感じだ。しかもその理由が「代表戦は人気があるから」すなわち金になるからというのだから、開いた口が塞がらない。
世界の常識は球界の非常識。代表常設など、他の団体競技では当たり前の話だ。バレーボールなど、リーグが行われていない期間のほとんどは代表としての活動期間である。どの競技でも専任の代表監督を協会が雇い、一貫した強化方針を持ち、合宿や国際試合のセッティング等を含めてすべて協会の専門部署がアレンジする。もちろんその目的は日の丸のプライドと、その競技の強化・発展・普及、最終的にはスポーツの栄光のためだ(そもそも協会はそのためにある)。
球界患部(幹部)には、そんな基本的なことすらわかっていない。今まで国内での金儲けしか視野になく「世界」が目に入らなかったのは野球の歴史からして仕方ない側面もあるが、ものには限度というものがある。球界のお偉方は今からでも御茶ノ水のJFAハウスに行って、協会と代表のあり方について教えを請うて来い。何なら俺が教えてやるぞ!
次のWBCは、既に始まっている。韓国など、4年後を視野に入れて強化に励んでくるだろう。日本もそのつもりで選手を、代表を鍛えていかなくては、4年後も王座を取れるとは限らない。「試合終了の笛は、次の試合に向けての準備開始の合図だ」とは日本サッカーの父、ディトマール・クラーマー氏のことばだ。
すべての演技が終了したのを見届けてステイプレス・センターを後にする私。翌朝は帰国の途につく。だが私の旅の終わりは、4年後に向けての旅の始まりなのである。(この項終了)
1
WBC
日本
世界フィギュア
投稿者: 生田正博
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