
※カバーは、パラフィン紙付。
定価四千二百円(税込み)・送料梱包代三百円
※一ページ三首組み。一首、二十字詰め三分送り、二行組み。及び、※誤植。※送りがなの脱字。※新字、正字の混交。※欧文カタカナ表記。等々、原本の組版を踏襲した新たな活版印刷に、袋綴じ一丁一丁へ入紙をほどこす和本仕立ての再現、又、原本にはない、一九五三年頃の著者近影を一葉附して、戦後短歌史伝説の塚本邦雄処女歌集の復刻。
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塚本邦雄処女歌集『水葬物語』は一九五一年、百二十部限定で刊行された。カバー付き和本の、その頒価五百円は現在の一万七、八千円ほどの高価なものであった。本文紙は、仙花紙の袋綴じへ入紙(にゅうし・本来和本修理にもちいる方法で袋状の本文紙へもう一枚新たに紙を入れる事)をほどこす上製仕立て、表紙の藍、綴じ糸は瓶のぞき(淡い藍色)の正絹、角ぎれには縮緬、カバーは雲母引きという、ある意味、粋をつくしたと言えぬでもない。
その『水葬物語』に先立って、高柳重信の処女句集『蕗子』、楠本憲吉の『隠花植物』、富澤赤黄男の再版『天の狼』などカバー付き和本での刊行は、高柳重信が活字を組み、当時十六歳の実弟高柳年雄印刷、池上浩山人(本名・池上幸二郎、昭和三年徳富蘇峰の司書となり蘇峰蔵書十万冊より書誌学を学ぶ。昭和六年、当時和本修理の名工といわれた池上梅吉の長女と結婚、池上家三代目となり昭和三十八年国立博物館内に池上修理所を構え数々の重要文化財の修理を手がける。俳句を好みホトトギス同人であった。)製本として世に送り出されたものである。
「和本」という形を古臭いと一蹴するむきもあるが、俳句、短歌、その革新と言われる二著(『蕗子』、『水葬物語』)が和本で出版された事を忘れてはならないだろう。革新とは伝統文化、古典を踏まえてこそ生れえる、と、その事を暗示しているかのようにも思われる。
また、本復刻版と相前後して出版された楠見明彦著『塚本邦雄の青春』(ウェッジ文庫刊)は、『水葬物語』刊行までの塚本邦雄の試行錯誤の日々を取材した好著である。 (09.5.1記)
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