「Joy Life Worksの塗装について(4)…ウレタンとオイルの誤解」
塗装あれこれ
ウレタン塗装やオイル塗装には、イメージのみが先行した誤解がある。というお話をしました。今回はその「誤解」や、オイル、ウレタンに関する「疑問」を掘り起こしてみようと思います。
まず、現在、市場や消費者の間に出来上がってしまった
「植物性のオイルを使ったオイル塗装は、人の体にも優しく、健康的」
「科学合成された、ウレタン塗装は、刺激的な物質を含み、人体に悪影響を与える(シックハウスの原因になる)非健康的な塗装」
という、一般見識について。
ちなみにこれは、多分に誤解が混じった「一般見識」と僕は考えます。一昔前なら、このような意見もアリだったかもしれませんが、現在の塗料素材、技術の事情からすれば、はなはだ的外れな意見だと思います。
オイル(純植物性をうたった物)が、人に対して低刺激であり、健康的と言う部分は、まあ良いとしましょう。しかし、ウレタン塗装=刺激物を含む有害塗料 というのは、科学的に見てNGだと思います。
ウレタン塗装というのは、ウレタン結合と呼ばれる反応によってできる樹脂(ポリウレタン樹脂)を塗膜に使用する塗装方法の事です。このポリウレタン樹脂の特徴を以下に挙げると
1、付着力に優れ、素材に強固に密着する。
2、耐候性が優れ、耐久力も強い。
3、硬く、耐汚染性が優れる。
4、耐水、耐薬品に優れる
などなど
この特性を見てわかる通り、ウレタン塗装は、硬化して製品段階になった時に極めて安定した塗膜性能を持ちます。この硬化したポリウレタン樹脂自体は、アルコールや洗剤を使っても分解せず、水に溶けたり揮発する事もありません。ですから、口に入れようが、室内にポリウレタン樹脂が使用されていようが、空気や水に溶け出さない物が人体に影響を与えようはずも無く、ポリウレタン樹脂自体は人体にまったく無害な物質です。
ただ、ポリウレタン樹脂が硬化する段階で、硬化し切らなかった樹脂成分、はたまた、塗料の溶剤として扱われる揮発物質が、若干残留する事は否定できません。しかし、現在使われている塗料での有害残留物の残留値というのは、検出能力の限界値に近いものであり、自然状態において、普通に身の回りのものに含まれている濃度と変わらない程度の物だったり、人体に影響を与える原因としてははなはだ考えにくい程度の物です。
おおむね、ウレタン塗装が害的な物として扱う論調は、塗装前段階で使われる有機溶剤(中にはシックハウスの原因として挙げられる物を含む)の使用を根拠にしていたり、製品段階(塗料の硬化後)に、わずかに検出される有害物質を過剰に意識しての物でしかありません。
結論…ウレタン塗装は、非健康的塗料・シックハウスの原因ではない!ということ
そして、健康的〜と言われるオイル塗装について…
オイル塗装に使われる「木部用オイル」と呼ばれる物は、おおまか次の3パターンに別けられます。
1、純粋に植物原料のみを使った植物性オイル
2、1、の植物性オイルに、混ぜ物をした添加品入りのオイル
3、植物性オイルとはまったく別モノ。化学合成した塗料をオイルと言っている物
1、に関してはまあ「健康オイル」的に扱うのは良いと思います。「たまたま、そのオイルの素材(植物)に対するアレルギーを持っていて、そのオイルを使った家具に触れたらかぶれた、ショックで倒れた」というケースは、一般事例「外」ですので(こんなコト言うのはただのいちゃもんだと思う)、ここでは、一般的に使われる天然植物性オイルは健康塗料とします。
2、は添加する「物」によって大まか次の2パターンに分かれます。
(1)塗膜強度を向上させるための「合成樹脂」を添加した物
(2)木材への浸透性を向上させるための「溶剤」を添加した物
のいずれかです。
(1)はそれこそ、ウレタン樹脂なんかが例に上がるわけです。油変性ウレタンは、オイルに混ぜる事ができますから、ミックスする事で、より塗膜強度の強いオイルフィニッシュが可能になるわけですね。
(2)は、もっとも一般的な物でいえば「シンナー」がそれにあたります。ウレタンをオイルに添加する場合にも、粘度を調節をするために、シンナーを加えるケースがあります。粘りの強いオイルは伸びが悪く、作業性が悪いだけでなく、木材への浸透性も悪くなります。そこで、それなりに作業性を良くするために、シンナー等有機溶剤でオイルを希釈する(シャビシャビにする)わけです。
塗装面として厚みがある方が、塗装強度としては強くなる〜という根拠より、強い塗装をするにはより深く浸透する種類のオイル(シャビシャビのオイル)が有利〜という話を聞いたことがあります。しかし、実際、外部影響を直接受けるのは塗装の表面ですし、やはり大事なのは表面であって、深く浸透した部分にそれほど意味があるのか…?という疑問もあります。ですので、まあ、あくまで伝聞的な事で、僕自身の実感、データでは無いので、この点、なんとも言えません。
3、は、ウレタン等の樹脂系塗料をシンナーで希釈した物が一般的です。植物性オイルフィニッシュと似た、浸透性の塗装、仕上がりになるので、塗料メーカーが「オイル」と言っているんだと思います。
こうしてみると1、2、3、と同じ「オイル」と呼ばれる物でも、その中身はけっこう違った物が混じっている事がわかったでしょう。また、上のウレタン塗装の説明に再度目を移すと、「オイル塗装もウレタン塗装も、似たような物が入っているじゃない!」ということに気付きます。
ちょっと整理してみましょう。
ウレタンが「健康に害を与える塗料」と言われる根拠になったのは「合成樹脂」と、溶剤に使われる「有機溶剤(シンナー等)」でした。
じゃあ、健康的と言われるオイルフィニッシュに使われている「合成樹脂」や「シンナー」は?あれれ?(ここでは純植物性オイルは別の物とします)
こうして見ると、ウレタン塗装もオイル塗装も「健康塗料」という尺度で見ると、どっちも「似たり寄ったり」というのがわかります。しかも、ウレタン塗装もそれなりに安全な塗料と結論付けた今、「健康だから!体にいいから!」という尺度で、オイルかウレタン、どちらかを選ぶ。というのはナンセンスだというのが僕の結論です。
ここでさらに…ちょっとまてよ?
ウレタンや添加物入りオイルなんかを話にするより、ただ、何も添加しない植物性オイルを使って塗装すれば、それが1番の健康塗料じゃないか!という意見も出てくるんですよね。だって、若干量も刺激物は含まないんですから…
なるほど。でも、今、僕は純粋植物原料のみの塗料の使用にはあまり魅力を感じないんですよ…
植物性オイルを使う上でのネック…
次は、植物性オイルが抱える問題点を考えてみたいと思います。
続く
※…ウレタンの樹脂についての説明などは、かなり簡略的な説明となっています。専門用語の解説や、細かな物質、反応等の解説は本項のテーマから離れた事なので、ここでは概略的な解説にとどめました。
(5/18追記)…ここで言っている有害物質を含まないウレタン〜というのは、昨今、塗料メーカーがシックハウスへの規制や、より人に悪影響を与えないように作っている、環境対策がなされた塗料を指して言っています。