「Joy Life Worksの塗装について(7)…ウレタン塗装の誤解」
塗装あれこれ
まことしやかに言われているウレタン評に
「ウレタン塗装は、塗膜で木の表面を覆い隠してしまう、故に木の質感を殺してしまう」
という、意見が根強くあります。これは本当なのでしょうか?
量産家具等に多く見られる、表面がプラスチック状に塗り固められたような厚塗りのウレタン塗装の家具があります。これらを見る限りでは、やはり、ウレタン塗装は木の質感を殺してしまう〜という意見は間違っていないと思います。
ただ、ウレタン塗装といっても、その手法は様々で、塗装の種類によっては、「木の質感を残す」「木の質感を生かす」塗装方法にもなる。というのが僕の意見。
一般に、木地の質感を無くしてしまうような厚塗りの塗装方法は、塗装の下塗りに、シーラーや目止め剤と呼ばれる物で、木の導管を埋め潰して、その上に仕上げにウレタン等の樹脂系塗膜の上塗りをして仕上げます(下図参照)。木地の質感、表面の木目を形成する凹凸を埋め潰してしまうため、木本来の質感は失われますが、厚塗りの塗膜によって強い表面強度が得られますし、作業性に優れますので量産家具に良く使われる手法です。
では、目止め剤、シーラーを使わずにウレタン塗装をすればどうなるでしょうか?
これは、ウレタン樹脂の濃度や塗料性能によって結果は様々なのですが、木の導管を埋め潰すこと無く、オープンポアフィニッシュに近い質感の塗装をする事がウレタンでも可能なんです。図にすると下のような感じ。
木部の表面に薄く樹脂の塗膜ができる物の、導管を完全に塞がないので、木地の質感を残した塗装面ができるのです。
この導管の塞ぎ具合、塗膜の厚さによって、セミオープンポアフィニッシュとかマイクロフィニッシュと言った分類をするようですが、これは別段、規格化された塗料の分類ではなく、塗料メーカーなどが便宜上、上のような言葉で塗膜の種類を言い分けているようです。
木目の凹凸である導管を完全には塞いでしまうことは無い物の、やはり、木地表面を塗膜で覆ってしまう為、木地本来の質感を損なっている〜という言い分は多分にあるでしょうが、このあたりは、作り手である各人が、どの程度の質感を求めるか〜という所で判断するところだと思います。

(クリックで拡大)
この写真は、うす塗りで仕上げたウレタン塗装のサンプル板です。表面は高番手のサンドペーパーで研磨仕上げしているので、手触りはスベスベに仕上がっており、導管も埋め潰していないので、木部の質感もしっかり残っています。ウレタン塗料にツヤ出しの成分があるのですが、木の質感を壊さない程度に適度なツヤで仕上がっているので、ちょっと見には、ワックスをかけて仕上げたばかりのオイルフィニッシュと似ています。
木部の表面にツヤが出るのを嫌がる人、「ツヤによって木の質感が壊れる」と言う人もいますが、適度なツヤは、木部をきれいに引き立たせると僕は思っていますので、適度なツヤに限りOKというが僕の塗装のスタンスです。
考えてみれば、拭き漆だってツヤあり塗装で評価されてる。オイルフィニッシュにワックス塗るのも、ツヤ出しの意味が含まれていると思う。ウレタンのツヤに限って悪者扱いされがちじゃあなかろうか?まあ、どぎつすぎるツヤ仕上げが多いし、やむない所か…ま、ツヤなし塗装のウレタン塗料もあるのでそちらを使えば済む話だけどね。(…以上長々とボヤキでした)
ウレタン塗装の塗膜はオイル塗装にありがちな、黄色っぽい濡れ色ではなく、元の木地色に近い仕上がりになりますし、乾燥時間も早く、乾燥後は無臭に仕上がるのもポイントです。
ちなみに、僕が今回使っているウレタン塗装は水性ウレタンで、溶剤に使われているのは水と食用アルコール。マスクも不要で塗装作業ができる製品です。2液性の油変性ウレタン塗装は塗膜強度の強い製品で塗膜硬度3Hに達するのに対し、僕が使っている水性ウレタンは塗膜強度2H強と若干劣るのですが、一般的なウレタン塗装としては標準的な塗膜の強さを持っています。
一般に、整った塗装設備が無いと、ウレタン塗装には手が出せない〜という既成概念がありますが、いまでは、それなりに扱いやすい製品もあるのだな〜というのが、今回、ウレタン塗装に取り組んでみての僕なりの感想です。
長々と、ウレタン塗装を持ち上げるような事を述べてきましたが…
これら、それぞれの塗装方法のメリット、デメリットを踏まえ、どのような塗装方法を自分は選択するべきなのか?そろそろまとめの段階が来たと思います。
というわけで、まだまだ塗装話は続きます…