2007/8/11
巷は今日がお盆の帰省ラッシュだそうです。暑さも各所で35℃を超え、日射病、熱射病や水の事故が多発だそうで…皆様お気をつけ下さい。僕の工房も扇風機から吹き出す風もなまぬるく、慣れていない人間なら幻覚が見れそうな酷暑ですが、人の体は環境に慣れるもの。強くたくましく今日も作業作業です。
あっちこっちと寄り道していた感のある棚の製作ももう最後の仕上げに入っています。組立て後の目違い払い(組立て時にパーツ間にできた段差を削り落とす作業)と、最終研磨の木地調整(サンドペーパーがけ)をしています。
僕自身、手工具の扱い(鉋(かんな)や鑿(のみ)など)は、それほど得意な方ではありませんが、作業の要所、要所で、適時必要な道具としてモノ作りに活用しています。鉋のような手工具は使い手の調整次第でとても便利な木工道具にもなりますし、一歩間違えば、木地表面をガタガタに傷つけるだけの凶器にもなります。
鉋は刃の砥ぎから、用途に合わせた台の調節まで、職人が自分で仕込む必要があります。特に今のような湿気の多い時期には、木でできた鉋台は一晩経っただけで変形してしまう事もあり、削りのベストのコンディションを維持するにはこまかな調整が使い手に求められます。
鉋を使うことによって得られる木地の仕上がりの特徴は
1、平滑性に優れた平らな木地表面が得られる
2、よく切れた刃物で仕上げ削りすることで、木地表面の木目の荒れを削り落とし、均質な木地の仕上がりを得ることができる
というのが一般的な見解。
他のちょっとした便利な使い勝手としては、目違い払いなどの用途で、一定の厚みを削り落としたい時。サンダーを使うより、鉋の方が作業が早く、得られる木地の仕上がりが良いので鉋を使う場合があります。
ただし、最終的に塗装仕上げを行う場合では、塗料の吸い込み、塗装後の仕上がりなどを考えると、サンドペーパーでの木地研磨が必要なのは周知の通り。どんなに切れる鉋で木地を仕上げようが、塗装をする以上、結局ペーパーがけは必要なのです。
そして、木工作業において、(ぼくにとって)最も過酷なのが、この手磨きによるサンドペーパーがけ。1枚2枚の板を手磨きするならまだ良いのですが、数十枚の板をそれこそ朝から晩まで全力で手磨きしていたら、手先はボロボロ、腱鞘炎になって、夕ご飯には箸も扱えないくらい指先が痛く、動かなくなります。
そこで、できるだけ手の負担を軽くすべく電動サンダーにお手伝いいただくわけです。これ、オービタルサンダーという機械です。
機械のパッドに取り付けたサンドペーパーがこまかな円運動をしながら、木地の表面を研磨していってくれます。この機械の長所は、鉋がけのように、板の平面がきれいに出ていないと刃があたらない(=仕上がらない)という事が無く、多少、板の表面がうねっていても、パッドが若干たわむので全面にサンドペーパーを当てることができることです。
ただ、この長所は短所ともつながっており、オービタルサンダーで仕上げる木地表面は鉋を用いた場合に比べ平面性に劣ります。また、円運動をする特性上、木地には木目を横にはしる引っかきキズ(スクラッチと言う)が残ってしまうので、これは後から手磨きで落とす必要があります。ですから、サンダーばかり使うのもまた問題ありでして、僕は場所に応じて鉋、オービタルサンダーを組み合わせながら仕上げることにしています。
最終的な仕上がりの良さを極めるのであれば、鉋がけ→手磨き という方法がベストだと思います。ただ、実際の作業性、効率性を考えれば、オービタルサンダーを使う場面も所々にでてきます。今はとりあえず手を痛めず、なおかつ自分の望む木地の仕上がりを得る〜というテーマでいろいろと模索している所です。結局、最終的に求められるのは、精度の高い、いつでも安定した鉋の仕込み状態を維持するコトだったりするのかも知れませんがね。
鉋が今以上にうまいこと扱えなかった頃は、『鉋なんか必要ないぜ!おれはサンダーで仕上げちゃるんじゃい!』なんて、よこしま(?)な考えを持っていましたが、最後に得られるテクスチャーの差をかんがみると、やっぱし鉋は必要だなぁ…と痛感します。
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