2006/4/30
木で小物や家具を作る場合、大抵は「塗装」という作業をしますよね。この塗装、けっこう作り手のモノ作りに対する「こだわり」が出てくるモノでして、この「塗装」に、どのような手法を使ったかによって、作り手さんのモノ作りに対する「考え方」が見えてくるといっても過言ではありません。
一昔前ですと、この塗装の方法。使われる塗料の性格も種類もシンプルでわかりやすかった為に、さして作り手側としても迷う事はなかったのですが、今は情報、製品の種類共に様々なものが出てきています。より良い製品が出てきている事は確かでしょうが、正直、自分の作品に最も適した塗装を選ぶというのはとても困難だなあ…というのが実感です。
ちょっとこの塗装について考えてみたいと思います。
もともと、木製品に「塗装」を行う意味とは無塗装では性能として欠ける
防水、耐候、対汚性能の向上=より強く、より長く使える製品にするため
見た目の向上=つやを出したり、色をつけたりして目的の質感を出す
という2つの意味合いが主な事だと思います。
かつて、大手家具メーカーによる工場製品的に作られる量産家具には、主に「ウレタン塗装」という方法が使われていました。この塗装方法は、効率的に家具を供給する上で、安価に手軽に高強度なウレタンの塗膜を作る塗装という事で、市場の家具のほとんどがこのウレタン塗装による仕上げがされていました。
近年になり、シックハウス症候群などの問題から、人体にとって刺激物となるような有機溶剤などが使用される塗装方法よりも、より自然物に近い植物油や蜜蝋のワックスなどを利用したオイルフィニッシュや伝統的な漆などの塗装が良しとされる風潮が強くなっています。
ウレタン塗装による家具が実際に家庭で使われる上で、そのような悪性の刺激物を出すか?というのは議論の余地があると思うのですが、塗装の工程で使われる資材の中には刺激物が含まれるのは事実ですから、まあ、その点を付いて「オイルフィニッシュはより自然系素材を用いていて、自然や人体にやさしい」と言われれば、ふむ、なるほど。と、うなづく部分も確かにあります。
しかしですね、オイルフィニッシュは塗膜強度がもう、ぜんぜんウレタン塗装なんかとは比べ物にならない弱さなんですよね。塗れたコップを置けばしみになってしまいますし、使い方によっては半年たらずで水もはじかなくなります。漆の製品にしても、太陽光には弱いですから、あまりに日の当たる部屋だと日焼けして色があせてしまいます。
これらは、そのつど、メンテナンスとして、オイルやワックスの塗りなおしが必要になります。もちろん、丁寧に扱って、日ごろの手入れやワックス塗りなどのメンテナンスを定期的に行えば解決する話しですが、これは正直、使い手側の手間の部分で「めんどくさい」んじゃ無いでしょうか?
逆に、塗膜強度が強いウレタン塗装では、部分的な手直しと言うのは、設備の問題や塗装の性質上、素人によるメンテナンスはできません。しかし、塗膜の強度が強いので、普段使いの防水性などはメンテナンスフリーで長い期間もちます。ウレタン塗装が永遠の強度を保障するわけではありませんが、オイルフィニッシュなどと比べれば、家具の寿命と塗装の寿命の関係としてはバランスが取れていると言えます。
そして、さらに、最近では刺激物を含まないで高強度を実現したウレタン性塗料なども続々と開発されています。となるとオイルフィニッシュの意味ってどうなるの?という事になってしまいます。
もちろん塗装には強度のみでなく「仕上がりの質感」という要素もありますから、オイルフィニッシュの木の質感を感じる仕上がりには大きな意味があることは確かです。しかし、「使い勝手のよさ」という道具の目指すべき方向性。芸術品ではなく、実用品を作るに当たって、求める仕上げ…と考えた時に、オイルフィニッシュはどうなんだろう…。
オイルフィニッシュはたいした設備も必要なく、簡易に作業ができるという面でも優れた塗装方法だと思います。時に、オイルフィニッシュは簡易にできる。という意見に対し、いや、本当のオイルフィニッシュは手間がかかって、手間をかけた物とそうでない物の差は歴然と〜 という意見もあるのですが、僕は正直、できてくる作品にそこまで一般の人でも「ああ!これは納得!」と言うほどの差は感じ無いと思います。TV番組で芸能人格付けチェックってありますよね。あれでよくやる1本20万円のワインと1000円のワイン。その品質の差は歴然としてある物の普通の人にはその差がわからない。あれといっしょだと思うのです。
この仕上がりの議論は結局の所、塗装の強度に対する回答になってはいませんから、どうもオイルフィニッシュを押す要素は最近弱くなってきているのでは無いか…そう思えてしまいます。
かなり長い文章になってしまいましたね (^^ゞ このテーマはまたもう少し書いて見ようかなと思います。けっこう、オイルフィニッシュをけなしているような文章を書いていますが、僕はオイルフィニッシュ派の作り手であることを付け加えて、第1回 塗装あれこれ の記述を終わろうと思います (^^ゞ
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