2006/5/16
日本の材(木材)は眠る…
木工修行時代に、僕のいた作業場に来ていたアメリカの研修生が本国に帰った時にそう語ったそうです。なんでも、日本の工房の風景を収めた写真を見ていたときにこんな話題になったそうな。
「木は動く」
これは木工をする人なら誰もが知っている事です。周囲の環境の変化。温湿度の変化によって、無垢の木は材内の水分を放出したり、空気中から湿気を吸い込んだりします。このときの水分の出入りが材の収縮や膨張、変形につながるわけです。
ある程度の水分を保有する木材は、表面を削ると、もうその瞬間から変形し始めます。これは、材の深いところでとどまっていた水分が、表面が削られたことによって外気にふれ、その外部環境の影響によって水分を急激に放出する為だと言われています。
特に高温多湿で湿度の高い日本。そして冬〜春は乾燥し、逆に夏には、じめじめと蒸し暑くなる日本の木工は、ある意味、この材の変形をいかにおさえつつ物を作るか?という命題が付きまといます。
製材された荒材を木取りして、板に削りだすとき、僕は1度削った材は加工時以外は毛布をかぶせたり、上にベニヤなどをかぶせます。木材が外部環境の影響を受けにくくするための変形を防ぐ工夫です。これを俗に「養生」と僕達は呼んでいます。
アメリカから来た研修生の彼は、元々、メキシコのすぐ上。サンディエゴの大学で木工をしていたそうです。向こうは日本の様に年中の湿度の変化はあまり無く乾燥している為、養生の必要性がさしてないそうです。つまり加工途中の材料に毛布をかぶせるような風景は見たことが無かったんですね。
アメリカに帰って向こうの木工家に日本の写真を見せた時、その木工家は不思議に思ったんですね「この毛布でかぶっている木材は何なんだい?」。
で、研修生の彼はこう答えたそうです。
「日本では夜になると木材も眠るんだよ♪(笑)」
とまあ、お後がよろしいようで…
天気がころころ変わるこの時期、ふとそんな話しを思い出したのでこの場で紹介させてもらいました。
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