2006/4/19
今日、発注していた、本が届きました。海外の作家が作った木工作品の写真集です。
日本で無垢の木でモノ作りをする場合、そのセールスポイントは、「伝統的な木組みを使った」「オイル、漆など天然塗料を使い、使用者の健康、環境に配慮した」と言うような事がえてして多いと思います。実際、僕自身も修行時代はこのようなうたい文句を掲げた所でモノ作りをしておりましたので、この主張の言わんとするところは重々承知です。
では、今回購入した写真集に載っている作家達の作品はどんなモノ作りなのでしょうか?中には、日本の指物職人に負けず劣らずな伝統的技法、木組みでもって作った作品もありますが、中には「バンドソーボックス」と呼ばれるような、その名の通り、板をバンドソーで挽き割り、切断面をボンドで接着して箱型を作り、外の形を成形して形作る。こんな作りの箱があったりします。
先に述べたような、無垢の木でモノ作りをする人々の「こだわり」の部分からするとこんなバンドソーボックスのようなモノ作りは「ケシカラン!」という評価になりますね。
僕自身もこのようなモノ作りがあることを聞いたときは、なんだそれー!と同じ職人という立場として、作り手の責任を考えた上でそのようなテキトウな仕事に対して憤慨した物です。
しかし、このようなバンドソーボックスなど、伝統的技法からすると疑問符が付くような作りの作品たち。そのデザインがすごいんですよ。
見てるだけでわくわくします。この箱、どこから開けるの?どうやって作ったんだろう?写真を見てると楽しくなってきます。
こんな、見てるだけで楽しさを感じることができる物を作る作家がいるのが、向こうの(海外の)モノ作り業界です。このようなモノ作りが認められるのは、デザイン性を評価軸に置いた作品を評価する社会、仕事として成立させるだけの経済状況の差(家具や日用品に使うコストの差)があるからです。
えてして、こう説明される事が多いですが、本当にそれだけなのでしょうか?
長く使えるモノ、無垢、伝統技法、自然塗料etc…
このような評価軸のみに偏ると、海外の作り手が作る独創的でわくわくするようなデザインは構造的な問題がありますので、上に述べたような「こだわりのモノ作り、作家性を持つ工房」では自らの「こだわり」という自主規制により作ることができません。
では、効率的に工業生産としてモノ作りに取り組むメーカーではどうでしょう?
こちらも作業ラインとしてみた場合、手間がかかりすぎること、消費者が限定されることなどがネックになり、このようなワクワクするようなモノ作りはできないでしょう。
僕はこのような事が、海外で言う所のスタジオファニチャーが日本において伸びない理由なのではないかと思えます。
もちろん、構造的なネックを持つモノ作りであることもその原因の一端でしょうが…
僕は構造は用途によって変わる物だと思います。ここでは、あまり深く言及しませんが、一見、問題のあるような構造のモノ作りも、作る物、用途が変われば、採用される道があると思うのです。
この道を突き詰め、洗練することで、新しいモノ作りの形態、木工、作家と言うものの形態が見えてくると思います。そして、伝統技法を学んできた自分にとっても、今回取り寄せたような、ワクワクするようなデザインを紹介する資料が、「自分のモノ作りに活かせるもの」として捕らえることができるようになると思います
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