あけましておめでとうございます.九紫郎です.
毎年の恒例となりました1年予測を元日に御披露したいと思います.
今年1年よろしくお願い申し上げます.
▼ 震災の影響
2011年は、波乱の幕開けであった.大震災と原発事故が日本破滅を思わせる悲観的な雰囲気を醸成した.2万人以上の方が犠牲となり、原発事故を含めると10万人以上が影響を受けた.
しかし、冷静に考えると、この震災は日本の国運にとって単純な負の側面だけではなかった.震災で犠牲になられた方々への哀悼は当然であり、関係者の筆舌に尽くしがたい苦労と精神的ダメージは察して余りあるが、ここは哀悼の意とは別に、経済側面から異説を述べたいと思う.決して、震災の犠牲者や関係者に対する心無い考えではないので、この点だけはご了解いただきたい.
今回の大震災は、日本の長期的な低迷と国難を解決するための慈雨となった印象がある.歴史を見つめなおすと、黒船来航と戊辰戦争が日本近代化のきっかけとなり、非欧米で唯一世界と渡り合える大国となった.朝鮮のようにウジウジと内紛ばかりしていた場合、どのような結末を迎えたかは、歴史が雄弁に証明している.昭和の時代、日本は太平洋戦争で国土が焦土となったが、これをきっかけに体制を整えて、奇跡的な成長と発展を遂げた.
結局、時間の経過とともに古くなった制度を改め、既得権を打破して時代に適応すれば、成長と発展が担保されるのである.逆に、時代の変化を認めず、旧来の制度に固執し、既得権しがみついていると、やがて破綻してしまう.朝鮮が植民地になったのは、このような理由である.
既得権と因習を打破して、改革するために必要なのは「創造的な破壊」である.古くは織田信長が破壊者として活躍した.寺社や守護大名の既得権益を完全に叩き壊した信長は、自分でも破壊者であることを自覚していた.最近ではやはり太平洋戦争だろう.多大な犠牲を払ったが、旧来の因習と既得権は破壊された.
そのように考えると、今回の震災は、機能不全に陥った日本のシステムを改める起爆剤となった.現代の日本の課題は、税制の一体改革、憲法改正、公務員改革などである.そして、これらの諸懸案は、震災をきっかけに動きつつある.
▼ 野田総理は意外と有能
自分のことを泥臭いドジョウと表現した野田さんだが、私が見たところ、この人はかなり優秀だ.まず筆頭として挙げられるのは税制改革である.これは歴代政権の最大にして最難関のテーマであったが、震災による復興増税の世論を追い風に、改革がまとまろうとしている.これは画期的なことだ.
次に武器輸出三原則を緩和したことだ.これは、本来であれば法的な規制がなかったものだが、国策的な問題から実現不可能だった.ところが、緩和されたことにより、日本は本格的に武器製造に乗り出すことができる.武器といっても、機関銃の様な20世紀型兵器ではない.現代の兵器はハイテク製品の塊であり、ステルス性能なども日本の素材産業の優秀な技術が中核となっている.それ以外にも、日本の兵器産業が生き残るためには武器輸出三原則を緩和して、諸外国と共同開発以外に方法がないという事情も存在する.いずれにせよ、憲法改正に繋がる日本の自主独立への一歩だ.
外交面では、米国と中国を相手に立ち回りを演じたことだ.TTPの本質については、以前に詳説したので割愛するが、要するに外交的経済的に中国を封じるためのカードとして枠組みだ.
ところが、野田さんは北京を訪問して、TPPとは対極の日中韓FTAを推進すると表明した.おまけに1)米ドル決済が過半を占める日中貿易で円や人民元の決済を増やすため、日本から中国への人民元建て直接投資などを促進する、2)外為市場で米ドルを介して行われる円と人民元の直接取引を拡大、3)海外市場での日本企業の人民元建て債券の発行促進を約束した.
これはすごい外交カードだ.つまり、北京とのパイプを構築して対米カードとしたのである.購入する中国債権の金額自体は、米債の1%以下のため、大きな影響はないのだが、その象徴的意味と外交的メッセージは甚大である.
読者の皆さんはお気づきだろうが、私は日中首脳会談の前の段階、TPPで国論が二分されている当時から、TPPもFTAも対中そして対米外交カードであることを解説した.野田さんは、私の予想どおりの行動をしてくれたことになる.
11/25記事 「私見 TPP」より
TPPの問題として,米国にとって都合のいいように国内市場と規制を蹂躙させる恐れがあるとの指摘がなされています.これはそのとおりです.でもこれは逃げ道があります.本当に国益を毀損すると判断すれば,野田内閣を潰して,国会批准が出来ないようにすればよいのです.現在はねじれ国会です.批准を妨害することなど容易です.しかも日本は内閣の存在を非常に軽くしているので,都合が悪くなれば倒閣してしらばっくれれば良いのです.現に鳩山政権はこのようにして潰れたではありませんか.
その上で米国に対して「日本の国益を毀損するなら日本はASEAN+3の東アジア共同体を希求しますよ」という素振りを見せればよいのです.
鳩山総理は、短絡的に中国へシフトしようとして大失敗を犯して政治生命を失った.野田さんは米国と中国を天秤に掛けて、どっちに転んでもいいように、外交環境を整えている.鳩山とは比べ物にならないくらい政治家として有能だ.鳩山以上に小沢が無能のなので、鳩山政権は崩壊したともいえるのだが・・・.
▼ 第二次朝鮮戦争と北朝鮮の行く末
金正日が死去し、正恩が三代目として事実上の最高指導者になった.おそらく遠からず北朝鮮は崩壊するだろう.冷静に考えてほしい.現在の北朝鮮がこのまま存続するはずがない.世界が注目しているのは「どのような形で北朝鮮が崩壊するか」ということであり、北朝鮮がこのまま存続するとは誰も1mmも考えていない.
「崩壊形」が重要なのは、場合によってはソウルが焦土と化すこと、大量の難民が中国と韓国、そして日本に押し寄せる可能性があること.朝鮮族の多い中国東北部が不安定化しやすいこと、朝鮮の統一が成された場合、米中が直接対峙する可能性があること、統一コストで韓国が破綻することなどの理由が挙げられる.
私は、崩壊前に南北の局地戦が起こりうると考えている.専門家の間では常識だが、北朝鮮の短距離砲はほとんどがソウルを向いている.日本を射程とするノドンミサイルを300発くらい保有しているらしいが、軍事的には脅威となりにくく、むしろ一般市民殺傷を宣伝することによるパニックを引き起こす政治的な効果が大きい.
ノドンミサイル
韓国を攻撃するにはスカッドで十分な為、攻撃目標は朝鮮半島で南北の軍事衝突が発生した場合に韓国を救援するであろう在日米軍基地、ならびにそれを支援する自衛隊基地、そして一般市民を目標とした全国市街地だと考えられている。通常弾頭の場合、ノドンの前身であるスカッドと同じ用法…すなわち大量投射とその継続による制圧となるため、相当な配備数を必要とする。兵器の稼働率の常識から見ても全弾が即時発射可能な即応体制にあるとは考えられず、300基以上のノドンが生産されているとしても日本国内の日米あわせて数十箇所の軍事施設あたりで見ると(開戦後に米軍が当然行うであろう弾道弾狩りによる損耗を勘案すれば)戦術目的としては十分な数量と言い難い。一方、都市や一般市民を目標とした攻撃であれば、数キロの範囲の「どこか」に着弾する程度のCEPであっても作戦目標を達成できるため、日本にとっての重大な脅威とみなされる。
ノドンに搭載可能な(そして軍事作戦に投入できるだけの信頼性を持つ)核弾頭が実用化されれば、配備すべき所要量は少数でも効果を挙げることができるが、核弾頭の実用化、小型化、信頼性確保、量産化と越えるべきハードルは多い。(wikipedia)
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以下は短距離ミサイルの解説
【韓国】北朝鮮の600発のスカッドミサイルを防ぐ手段はない
■北のスカッド・ミサイルから韓国を守るには
「ソウルまで3分30秒、水原まで4分10秒、原州まで4分50秒…」
ソウルから120キロ離れている北朝鮮・黄海北道新界郡のミサイル基地からスカッド・ミサイルが発射された場合、ソウルなどの都市に到達するまでの所要時間だ。スカッド・ミサイルはマッハ8以上の速度で飛来するため、一瞬にして首都圏を火の海にできるのだ。
◆北朝鮮のミサイルがなぜ脅威なのか
北朝鮮のスカッド・ミサイルが韓国へ飛来するのを防ぐには、どんな手段があるのだろうか。その正しい答えは「未だにない」というものだ。「在韓米軍に配備されているパトリオットミサイル(PAC-2、PAC-3)があるではないか」という答えが返ってきそうだが、これは在韓米軍の基地を守るためのものでしかない。
米国と日本が共同で開発しているSM-3ミサイル 韓国はこれまで、毎年20兆ウォン(約2兆300億円)以上もの国防費を費やしてきたにもかかわらず、北朝鮮のミサイルから国民を守るための兵器は未だにない。北朝鮮は射程距離300‐500キロのスカッド・ミサイルを約600発、同じく約1300キロのノドン・ミサイルを約200発保有している。とりわけ、スカッド・ミサイルは日本まで射程距離に入らないため、韓国を狙ったものだと考えられる。
スカッド・ミサイルは命中精度(CEP)が低いため、軍事的な目標物を狙い撃ちするのではなく、大都市を対象に無差別攻撃を行うのに向いているとされるが、これもまた注目すべき点だ。スカッド・ミサイルのCEPは450メートルから2キロ程度だ。これは、スカッド・ミサイル100発をソウル・竜山の国防部に向けて発射した場合、国防部を中心とした半径450メートルから2キロの範囲内に50発が、その周辺地域に残りの50発が落下するということになる。 (朝鮮日報)
かつて、クリントン政権が北朝鮮を空爆しようとして、韓国の金泳三大統領が猛反対して見送られた経緯がある.それは下手するとソウルが火の海となって壊滅するからだ.しかし、現在でもその構図は変化していない.若くて合理的な判断のできない金正恩が、軍部の主張に押し切られて、破滅的な選択をする可能性は高い.
私が第二次朝鮮戦争を気にかけている理由は米国にある.米国はイラクからもアフガンからも撤退し、これで懸念されていた「ニ正面作戦」の呪縛から解放され、東アジア一正面作戦が可能となるからだ.
田中宇氏は、メルマガ記事で金正日死亡後の北朝鮮について
「つまり中国も韓国も米国も、北朝鮮の不安定化や南北対立の激化を望んでおらず、逆に、北朝鮮が核兵器開発をやめて、6カ国協議が進展し、米朝や南北の対立が緩和することを望んでいる。そして、周辺事態の安定を好む中国は、北朝鮮の新政権に、米韓との対立を激化させるなと命じているだろう。このような状況なので、今後の北朝鮮情勢は、意外に安定した状態が続き、6カ国協議の再開に向けた動きも、早期にまた始まるのではないかと考えられる」などと分析している.
金正日の死去めぐる考察
http://tanakanews.com/111221korea.htm
しかしこれはどんだお笑い草だ.単に田中氏の希望を羅列しただけであり、こと朝鮮問題ついては、田中氏は分析と予測を外してばかりだ.
中東の呪縛を逃れた米国は、その気になれば北朝鮮を簡単に挑発できる.そもそも第一次朝鮮戦争のときも、戦争を起こすつもりのなかったアイゼンハワーなどの米中枢に反して、マッカーサーなどの軍産複合体は、上手に金日成を煽り、そのトリックに引っかかった金日成は南進を開始した.
現在はさらに悪いことに指導者は肥満ニートの金正恩である.挑発と戦端開始など簡単である.米国は不景気のときに戦争を起こして景気回復してきた歴史がある.田中氏はこのあたりの事情を掘り下げて分析すべきだ.
ずばり私は、今年中に延坪島砲撃以上の局地戦が起こると予測している.その時期は10月くらいであろう.
▼ 欧州と世界の行方
年末に1ユーロ=100円を切った.私が予想したとおり、もはやユーロはゾンビ状態であり、崩壊は避けられない.そもそもこんなことは何年も前からわかっていたことだ.古くからの読者は自明と思うが、私はユーロとEUの危機を存分に指摘してきた.
私は2009年3月に欧州の危機を第二次大戦前と同様と指摘し、特集した.
再掲する.
「歴史は繰り返す〜欧州の危機〜」
http://green.ap.teacup.com/kyusiro/476.html
「歴史は繰り返す〜欧州の危機〜 その2」
http://green.ap.teacup.com/kyusiro/484.html
「ロンドン金融サミットの考察」
http://green.ap.teacup.com/kyusiro/485.html
米国の状況は欧州に比べると,かなり進んでいる.不十分であるが,ストレステストを施行し,金融機関の不良債権と健全性を洗い出す動きが見られる.また,公的資金の注入とFRBによる潤沢な資金供給も間違った政策ではない.
翻って,欧州はどうか?
欧州の金融機関は,危機打開の入り口である,不良債権の査定すら手を付けていない.はっきり言って話にならない.日本のバブル崩壊後の不良債権隠しと同じ構図である.
ドイツ:金融機関の不良債権は26兆円 英紙報道
【ロンドン藤好陽太郎】ドイツ金融監督庁首脳は、ドイツの金融機関が抱える不良債権は2000億ユーロ(約26兆3000億円)に上ると指摘、不良債権を切り離して、不良債権処理のための国の受け皿機関に持ち込まなければ、爆発的に増えると警告した。26日付の英デーリー・テレグラフ紙が報じた。
同紙はドイツ金融監督庁の内部資料として、不良債権は8160億ユーロに達する可能性があるとも報じた。最大は不動産金融大手ハイポ・リアル・エステートの2680億ユーロで、HSHノルドバンクが1050億ユーロ、さらにコメルツ銀行が1010億ユーロ。
国際通貨基金(IMF)は米金融監督当局が金融機関に対して行った特別検査(ストレステスト)をドイツも実施すべきだと勧めているが、ドイツ政府は「意味がない」と反発している(毎日新聞)
以前にも,くどいほど解説したが,欧州の金融機関が膨大な不良債権を抱え,その対策が何も出来ていないのは,EUという政治統合とユーロによる通貨統合が不利に働いているからである.
各国独自の通貨政策や財政政策が規約により縛られているため,金融政策も財政政策も不可能な状況である.日本や米国は,自前の通貨と中央銀行を有するので,果敢な対応による危機の打開が可能なのである.ずばり言います.
「通貨統合は失敗だった」
現在の欧州は,進むも引くもままならなく,通貨統合を元に戻す以外に有効な方法は無い.EUという枠組みを重視するフランスは,さらに中央統制を強めることで,危機を打開したいようだが,ドイツを始め,賛同する国は少ない.
田中宇氏は、欧州の危機を過小評価し、場当たり的な陳腐な対策が発表されるたびに「見えてきたユーロ危機の打開策」などと銘打って、危機の本質から目をそらす楽観的な分析ばかり流してきた.
多極化論にしても、米欧の分析にしても、田中氏の予測は外れまくった.それに対して最近は取り繕いの分析記事ばかり流している.読者も賢明なので、姑息な取り繕いをしても直ぐに見透かされるのだから、もうそのような類の記事は止めるべきだ.
▼ 2012年は?
2012年はずばり「ユーロ大崩壊」と「第二次朝鮮危機(戦争)」である.私は2011年年始に「通貨と証券の大暴落」を予測したが、見事に?的中させた.日本円は高騰し、日本国債は暴落していないが、ドルやユーロの暴落と欧米諸国の債権暴落は誰も指摘していなかったのを的中させた.(日本は暴落しない代わりに震災という代償を払ったのだ.金融メルトダウンの代償として原発メルトダウンが存在する)
今年は欧州の主要銀行がバタバタと倒産するであろう.事実上の金融メルトダウンだ.欧州資産のある人は、早めに損切を考えたほうが良いだろう.(結果は自己責任でお願いします)
一方、朝鮮半島問題は人命に直結する.今年1年は、韓国に渡航しないほうがよく、進出や投資などもってのほかである.
いずれにせよ、日本は真の意味で独自の道を歩むべき時が来た.米中天秤作戦を継続しながら国内改革を進めるべきである.

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