▼ ドル暴落へカウントダウン
ドルの凋落については,指摘され始めてから久しいが,ついに大事件が勃発した.何と,原油決済からドルを排除するというのである.
原油取引でドル決済中止? 英紙報道「湾岸諸国が秘密裏に交渉」
【ロンドン=石井一乗】6日付の英インディペンデント紙は、中東の湾岸諸国が原油取引でドル決済をやめる案を日本や中国、ロシア、フランスと秘密裏に交渉していると報じた。仮に実現すればドルの基軸通貨としての地位低下につながることになる。この報道を受けて外国為替市場で一時、円買い・ドル売りが進む場面もあった。
同紙が湾岸諸国や中国の銀行業界の情報として伝えたところによると、ドルに代わる通貨バスケットとして、円や人民元、ユーロ、金、さらにサウジアラビアなどが計画する統一通貨などを組み込む案が浮上しているという。ただ一部米メディアは、ロシアなどがこの報道を否定したとも報じた(日経)
元来,ドルが基軸通貨として流通していた最大の理由は「原油との等価性」「原油決済通貨」であったことだ.世界のいかなる国も原油をエネルギーとして利用することが不可欠であり,その根本エネルギーである原油を手に入れるには,米英のメジャーおよび,その支配の媒体となるドルの保有が不可欠であった.
このドル−原油支配体制に猛然と反旗を翻したのがイラクのフセイン大統領である.フセイン大統領はイラク産原油の決済をユーロ建てにすることを決定し,原油決済におけるドル支配体制に風穴を開けた.その結果,米軍はイラクの大地を蹂躙し,フセインは捕らえられ,イラクだけでなく,中東全体が不安定化してしまった.
ドル−原油体制の崩壊は,米国としては絶対に看過できない,存亡をかけたテーマなのだ.このコンセプトで俯瞰すると,昨今の金融危機や世界経済および政治の流れが理解できる.
田中宇氏は,米国内の多極主義者たちが,米英支配体制を崩して世界を多極化するために「わざと失敗する」ことで米国の力を弱め,世界が多極化を余儀なくされるようにコトを進めているとの仮説を主張している.しかし,私は早期からこの説に疑問を呈してきた.そして,この多極化の流れは,米国内における財閥の新旧交代が原因であると主張してきた.
▼ 脱石油社会に見る旧財閥潰し
オバマや鳩山の演説に見られるように,世界は急激に温暖化議論を活発化させ,省エネ脱石油社会を模索している.田中宇氏は,温暖化議論はペテンであると喝破している.その通りだ.しかし,田中の主張で決定的に欠けているのが「なぜペテンの温暖化論議を躍起になって盛り上げているのか」という背後の意図に関する考察である.
田中氏は,新興国の発展を先進国がコントロールし「先を行っている者が後から来る者を搾取するため」という論理を展開しているが,これは一面的な見方である.私は
,「石油やエネルギーを支配することで世界を支配してきた旧来の米国の財閥グループが新しい財閥グループに取って代わられることに起因する経済戦争」こそが,このたびの金融危機,世界不況,温暖化議論,脱石油社会の模索,原子力エネルギー政策の推進の本質であると主張してきた.
米英旧財閥(旧ロックフェラーなど)による原油支配
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軍事力と原油とドルの三位一体の支配
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石油関連企業の支配(自動車,航空機,金融,食料)
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新興国の経済発展で石油消費増大ウマ-
今年,米国のGMやクライスラーが事実上倒産した(政府管理).米国の自動車メーカーが省エネ型のクルマづくりを無視して,ガソリンの浪費著しいピックアップトラックばかり生産していたのは,経営陣が無能だったからではない.米国の自動車産業は,石油支配を源泉とする旧来の財閥グループの一員を成していたため,石油を多く消費するクルマづくりこそ,財閥の利益にかなった「正しい経営判断」だったのである.
世界中で原油消費が増えれば増えるほどに,原油を支配する財閥の力は強まる.しかし,表面上は見えにくいが,この財閥支配を崩して,世界支配を交代させようとする新しい財閥が台頭してきた.手っ取り早くコトを成すためには「原油の呪縛」から世界を解放することである.
旧財閥の追い落としのためには・・・
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脱石油社会への脱皮
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脱石油のためにはCO2削減を世界的に推し進める
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世界が脱石油・省エネへ向かう
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石油消費が減る
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石油関連産業支配力弱まる(自動車,金融など)
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新財閥グループが株も新エネルギーも支配
新財閥の大番頭として辣腕を振るったのがポールソンである.2008年,あのタイミングでリーマンを潰し,世界金融恐慌を引き起こし,GMを破綻させた張本人である.一方,オバマは就任当初から,原子力エネルギーの積極利用を推進するのと同時に,「核廃絶」も声高に主張している.核廃絶は原子力の利用推進のために必要だから熱心に取り組んでいるのだ(原子力の平和利用には,核燃料の濃縮利用が不可欠であり,濃縮された核は容易に兵器に転用される.そのため,原子力利用を進めるためには,その管理を巡って,強力な枠組みが必須となる.そこでオバマは強いリーダシップで核管理の構築を目指しているのだ).
今回,世界各国が原油の決済にドルを排除する相談をしていたことがリークされた.ついに脱石油による旧財閥潰しが佳境を迎えたわけだ.鳩山が「CO2を25%削減する」と大見得を切ったのは,「日本も新しい財閥グループの方に寝返って,ともに発展していきます」と宣言したことになる.
私はこれこそが昨今の世界の大変動の本質だと思っている.

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