▼ 訪日の意図
ブッシュ前大統領が11月3日に来日し,日本シリーズで始球式を務め,早稲田大学で講演した.
ブッシュ前大統領が3、4日に訪日 小泉氏と再会へ
2009.10.31 12:24
ブッシュ前米大統領が11月3、4の両日、日本を訪れ「蜜月関係」と呼ばれた小泉純一郎元首相との再会を調整していることが30日、分かった。ブッシュ氏の訪日は大統領退任後、初めて。
日米関係筋によると、民間団体の招待で、東京で講演や野球観戦も計画しているという。
ブッシュ氏は1月の退任とともにテキサス州に戻り、3月にカナダでの講演でオバマ政権批判を控える考えを示した。(共同)
この時期にブッシュ氏が訪日した意図について,関係者は一切口をつぐんでいる.分析しているニュースもほとんどない.しかし,客観的に考えれば,ある程度の推測が可能である.
まず,ブッシュ氏は,これまでの米国共和党のシンボル的な存在であることを認識する必要がある.在任中は,ネオコン的な単独主義と伝統的な共和党中道派の間でスタンスが揺れていたが,軍事力と外交力を柱に米国の世界における役割を強化する方針は一貫していた(田中宇氏の仮説では,ネオコンは米国をわざと弱体化させる隠れ多極主義者の集まりとなるが,私はこの説に否定的であり,従来説に準拠した分析を展開する).
このようなブッシュ氏(その背後の勢力)が,訪日したのは,11月中のオバマ訪日前のタイミングと,鳩山新政権の船出,これまでの自民党の政策の大転換が関係していると見るべきだ.多くの人が忘れているが,2001年の小泉総理就任,ブッシュ小泉蜜月,テロ戦争協力,構造改革の推進によって,2002年から2008年のリーマンショックまで,日本は戦後最長の好況を享受していたのである.トヨタは1兆円以上の利益を得ていたのだ.
それが2008年秋のリーマンショックによって,100年に一度の不況に突入してしまった.当然ながら,その状況に対応した政治の転換が世界で観察された.まずは,米国でオバマ政権が誕生したことである.それにつられて,対米従属の強い日本では鳩山政権が誕生した.インドや中国のような新興国の発言権が高まり,G8は地盤沈下してしまった.国際紛争の面でも,イラクからの撤退,アフガンの治安悪化とタリバンの復活など,米国のプレゼンスは揺らいでおり,オバマも本音では早く撤退したいと思っている.
日本も政権交代という一大転換によって,世界の変化に対応しようとしている.当然ながら,2002年から2008年までのブッシュ−小泉路線は転換されることとなる.しかし,これまでの成果は否定されるものではなく,リーマン以前の好況は,ブッシュ政権の政策の賜物である.本来であれば,日本国民は感謝しなければいけない.
おそらく,鳩山新政権がブッシュ−小泉路線を否定して転換するに当り,日本側がこれまでのブッシュ氏の厚遇に対する謝意と,今後の方針の説明,共和党とのパイプ維持を意図して訪日を要請したのであろう.あるいは普天間問題や安保の問題で,米側の理解を得るために,ブッシュ氏とのパイプを活用したのかもしれない.
▼ 盧武鉉とブッシュ
意外に思う方も多いかもしれないが,盧武鉉氏とブッシュ氏には共通点が多い.一つ目は,世の中の流れを見極める力が足りなく,自分の狭い正義感に縛られ,破滅的な政策を断固として推進したことである.2つ目は背後の勢力によって踊らされ,ある意味,操られていた孤独な独裁者であった点である.3つ目は,退任後に多くの批判を浴び,評価が低い点である.4つ目に,次の政権が自分の政策を否定し,正反対の政策に転換され,それを国民が支持していることである.5つ目に,在任中のスキャンダルや不正疑惑で,表立った活動ができないでいることだ.
そして,盧武鉉氏は山から身を投げて命を絶ってしまった.一説によると,背後団体の親北勢力に口封じされたとのことだが,真相は藪の中である.いずれにせよ,盧武鉉政権の反動で,保守派の李明博政権が誕生し,韓国は伝統的な日米韓関係に戻り,合理的な経済政策の遂行と,日本に対する融和姿勢(従軍慰安婦は韓国軍や米軍でもあったと公表したこと,個人請求権は韓国側で放棄していたことを外交文書の開示で確認したことなど)により,韓国は不死鳥のように蘇った.
(ひょっとして盧武鉉氏は「隠れ親日主義者」なのかもしれない.過激な反日運動をやりすぎることで,国内外の保守勢力を結束させ,かつてない親日路線復活の原動力となり,長年の懸案だった個人賠償請求権問題の外交文書の開示による決着,従軍慰安婦問題の虚構にも決着をつけた.これを「親日」といわずして何というのだろう.どうですか田中先生?)
私が懸念しているのは,ブッシュ氏も盧武鉉氏と同じ末路を歩む危険性を有していることだ.今の世界情勢と,在任中の政策の結末を省みたなら,いくらブッシュ氏でも(失礼)自分の下した決断と行動の瑕疵に気がつくはずだ.純粋であればあるほどに,思い悩み,煩悶するはずである.
さらに,11月3日の訪日は,方角的に大凶であり,土用殺を犯している.今後のブッシュ氏の動向が非常に気になるところだ.盧武鉉氏の二の舞は避けてほしいものである.

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