5月11日より新潟で労相サミットが開催され、これに呼応して、そして対抗して、市民によるさまざまな企画が取り組まれました。
まずはイントロダクションとして、第1弾のコラムです。
■G8こそ、世界の貧困と戦争の元凶
そもそもサミットに参加するG8と言われる国々は、世界の中でどういう位置にあるでしょうか。G8に拠点を持つ多国籍企業の社長など世界の大金持ち上位200人あまりの所有する富の合計は、全人類60億人の年収総額の半分に匹敵。また、彼らの一人分資産は、多くの途上国のGDPも超えています。
G8とは、悪い言い方をすれば、まさにこういう富の偏在を拡大することによって利益を得ている多国籍企業の利害を代表しており、その利益をめぐる世界的談合会議こそサミットであるという見方もできます。
途上国の莫大な債務問題や貧困を尻目に、各国の首脳が800億円をかけてカニやキャビアや最高級ワインで楽しんだ「宴会サミット」と酷評された2000年沖縄サミットでは、世界規模で流行するエイズ・感染症が国際問題として提示された一方、ゲノム・遺伝子解析などの新たな医療を儲けの手段とするために『特許』の強化拡大が主張されましたた。エイズ治療薬の普及を『特許』が妨げるという、アフリカ諸国などの願いとは逆行する動きが作られることになったのです。
2002年カナナスキスサミットや2003年エビアンサミットでも、多国籍企業やアメリカが要求する農産物や水資源の自由化などを一層進める道が切り開かれ、途上国の貧困層の生活がこうした流れの中でさらに破壊されてきたことはよく知られている事実です。
いわゆるグローバリゼーションと、その文字通り頂点に位置するサミットは、大国と多国籍企業の利害の下に貧困国の資源を動員し、その真の自立を阻み、人間の命や健康さえその金儲けの材料とし、一層の貧困や格差の拡大をもたらしていると言えます。
また、サミットで国際平和や紛争解決が謳われながら、G8を構成する欧米諸国は、中東・アフリカ・アジアなどに毎年200〜300億ドルもの武器輸出を続け、イラク戦争など国際合意に基づかない戦争を繰り返してきました。G8のうち4カ国が核保有国です。
■NGOと自治体
一方、サミット開催期間を前後して、好むと好まざるとに関わらず、国際政治や経済問題に社会の関心が集中することもまた確かです。2005年のグレンイーグルスサミットに向けては、その大きなテーマとされたアフリカの債務問題で、NHKなどがグローバリゼーションと貧困の拡大を扱った「アフリカゼロ年」という良質な番組をシリーズで放映しました。
サミットに向けては、NGOや市民グループが抗議・反対活動を繰り広げる一方で、政策提言型・協同型の取り組みもなされています。今回の新潟市で開催された労相サミットでも、これまでも国際労働組合組織などがカウンターパートナーとして会議に参加して来ました。G8のグローバル経済政策の動機がいかに不誠実なものであったとしても、世界の多くの人々の生活や命に直接間接に影響を与えている彼らは、市民の要求を聞き、受け入れる責務があると言えます。そう考えれば、こうした政策提言型・協同型の取り組みにも意義があります。
新潟でも、市民映画館シネウインドでの「労働」をテーマにした映画上映や、児童労働に関する企画など、関連した催しも多数行なわれました。
議員時代、僕は議会でサミットの本質を批判し、招致決議には反対した上で、もし開催されるとすれば、自治体としての新潟市は、「格差社会の解消」や「東アジア」の視点から、日本海側地方自治体として、全国・国際社会に対し意見を発信・提言する市民シンポジウムのような企画を検討すべきであり、世界のNGOたちの政策提言や要求を間接的にサポートするような仕組みづくりを提言しました。その意味で、新潟市の「こども労働サミット」の取り組みやNGOへの支援などについては一定の評価ができると思います。
しかしG8こそがそうした問題の元凶だということをあらためて考えれば、これも皮肉な構造と言えます。