新型インフルエンザ対策について、水際作戦が失敗に終わり、それにもかかわらず空港などでのものものしい検疫体制の映像ばかりが繰り返され、恐怖心のみが人々の心に残っています。
H1N1に属し、遺伝子変異の大きさも大きくはなく、弱毒性であることも判明しており、季節性のインフルエンザへの対策の延長線上で考えてよいはずとの批判や指摘が説得力を持っています。
村上龍さんのメルマガHPに、東京大学医科学研究所 探索医療ヒューマンネットワークシステム部門:客員准教授 上昌広(かみ・まさひろ)さんのレポートが掲載されています。
http://ryumurakami.jmm.co.jp/dynamic/report/report22_1617.html
ここでは、
○「水際対策」なるものが管轄の厚労省の官僚的発想のもとで強化されたこと、
○世界中で検疫を強化しているのは、日本や中国などごくわずかであり、WHOは、警報レベルをフェーズ4に引き上げた当初から、水際対策も検疫も無効として推奨していないこと
http://news.yahoo.com/s/afp/20090428/ts_afp/healthfluworld
中山追記:2007年当時のヨーロッパの公衆衛生関係の学術論文でも「(インフルエンザ対策に)検疫は限定的な効果しかないと認識されている」旨の記述がありました。
○サーモグラフィもほとんど無効(これは僕も研究で使ったことがありますが、道行く往来の人に対して、固定した場所のカメラで観察しても定量的な評価ができないことは当然と言えます)であること、
などが指摘されています。
このレポートが今回のように水際対策の破綻が明らかになる前に書かれた事も注目すべきです。
また、同じレポートで、「今回の新型インフルエンザは、健康人であれば、タミフルを飲まずとも自然に治癒している人も多いし、早期にタミフルで治療すれば命にかかわることはなさそう」「逆に、致死的になるのは、高齢者やがん患者などの免疫力が低下した人たちで、病院の入院患者の多くが該当する。新型インフルエンザ騒動で発熱患者が病院に押し寄せた場合、多くの入院患者がリスクに晒されることになる」ことを指摘した上で、政策的な提言としては、医療現場の隔離室・陰圧室の整備(
国も自治体もその実態すら把握されていない可能性がある)が重要だと述べています。

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