「矛盾や問題点ばかりですから!」自転車侍ヒトシ
官製談合問題で、今までの委員会の質疑であらたに明らかになった問題があります。また、前市長・前助役の答弁も、残念ながら矛盾点が多々あります。
以下、順次掲載していきます。
■「指名リスト公表問題」−調査委員会報告書より深刻な実態
最初に、この問題は今回の調査委員会報告書で明らかにされた、指名競争入札の際、指名業者リストが契約課において貼り出されていたという問題について触れる。
落札しようとする業者が、指名業者リストを知れば、互いに談合しやすくなる。したがってこのようなやり方は、以前から日弁連などが問題ありと指摘して来たことでもある。
ただ、今回の調査報告書は、新潟市の入札・契約制度の問題を強く指摘しようとするあまり、自らの論理展開に沿って事実を少し強引に組み立てているように思えるところがある。その結果、現場の実態との齟齬や乖離が生じてしまい、そのため、報告書の厳密性が失われ、その権威そのものを危うくする要素も生じてしまっている。
この「指名業者リスト貼り出し」問題についても、「表向きは秘密事項のはずが、現場では事実上公表されていた」というニュアンスで書かれている。また、「新潟県では入札後指名業者を公表」することになっていて新潟市と運用が異なるかのように書かれている。しかし事の是非は別にして、実際は現場では新潟県も新潟市と同様の運用であるし、多くの自治体でも同じだ。
僕は新潟市を弁護するつもりは無いが、この問題で他の自治体と比べて特に突出して問題があるかのように書くのは、かなり強引な組み立てになってしまい、このままでは、現場は単に「臭いものに蓋」「うるさい調査委員会やマスコミから非難されないように」対応することしか考えないようなことにもつながってしまうと危惧する。
だから、たとえ他の自治体で同様におこなわれていることでも、むしろ、論理的にどこが問題なのか、はっきり指摘することが必要なのではないか。
他の自治体と同じ運用だったばかりでなく、新潟市関係課らには、ある意味で「自信を持って」「貼り出し」した彼らなりの根拠があった。
それは、指名通知後は「業者に通知した後は市役所の外部に情報が出てしまっているので、秘匿性は薄れる」という認識のためだった。
事実、
委員会での企画財政局長への僕の質疑の中で、指名委員会の一員として「(指名通知後は)例えば議員の問い合わせに対して、その業者が指名に入っているかどうかについては答えていた」と明言している。同様に、契約課の現場でも問い合わせに対しては応じていたことも判明した。つまり、「貼り出し」以上の実態があったのである。また、こうした運用を受け、2003年の総務常任委員会の質疑において、「通知後は公表」している旨、契約課は答弁している。
しかし、建設業適正取引推進機構が発行している「官製談合防止の手引」(2003.5)(下図)によれば、「指名業者リストの漏洩」は、それが秘密として管理されている場合、「それは『(官製談合の)関与行為』にあたる」、すなわち違法行為であると明言されている。
↑「官製談合防止の手引」(建設業適正取引推進機構発行、2003年5月)
ただ新潟市の場合、指名業者の決定まではそのリストは厳に秘密として管理され、シュレッダーにかけられていたが、幸か不幸か、指名通知後、入札や契約の時点まで秘密として管理するということが取り扱い要綱等で明確にはなっていなかった。それゆえ、「秘密として管理されていない」という解釈の余地が生じ、その結果、「関与行為」であるとはただちに言う事ができない、ということになってしまった。
この実態は、むしろ、調査報告書が指摘している「秘密情報のはずが、現場の不適切な取り扱いによって事実上公表」と言うべきものではなく、明確に、根拠を以って、業務として「貼り出し」がなされていたということである。
ここには2点、問題がある。
確かに担当者や現場では「通知後、秘匿性が薄れる。したがって秘密情報ではない」と解釈されていたが、しかし、調査委員会の多くや直接発注に関係の無い職員の多く、そして議員の多くが、漠然とではありながら「入札時点までは秘密」と考えていた。議員がわざわざ指名委員会委員や契約課に直接問い合わせていたという事自体、「実は秘密」という認識であったことの傍証でもある。
したがって、「秘密として管理しなければならない」という明言規定がなかっただけで、「秘密情報」として多くの関係者が認識していたのであり、その意味で「秘密として管理されていればそれを漏洩するのは違法」という官製談合防止法の規定に沿って考えれば、単に「不適切」というレベルを超えて、触法ギリギリの状態、とも言える。
第2点は、「通知後は秘匿性が薄れる」という認識である。指名通知後、お互いに誰が通知を受けたか知るためには、お互いに情報を共有しなければ、あるいは第三者(例えば「仕切り役」)を通して情報を共有しなければ、あり得ない話である。
そもそも、そのような行為は問題にならないか?
下は、上と同じ「推進機構」が発行しているパンフレット「独占禁止法遵守の手引」のページである。
↓「独占禁止法遵守の手引」(同上、2003年5月)

1994(H6)年に、公正取引委員会は独占禁止法上について、「違反」「違反のおそれがある」「違反とならない」ケースを明確に具体例をあげて明示したものを公表しており、上はその1例である。
この中で、上記で説明されている通り、「指名を受けたかどうか情報を求める」ことは、ただちに「違反」とはならないが「違反の恐れがある」とされ、「そのような行為は避けましょう」とされている。
つまり、実態として「秘匿性が薄れる」ことがやむを得ない事実であったとしても、
新潟市の「通知後は秘匿性が薄れる」というのは、このような業者同士の「不適切な行為」があることを前提とした認識である、ということになる。
その意味でも、関係法令や指針を厳格に解釈・運用していれば、あり得ない対応であったと言わざるを得ない。その観点で考えれば、指名通知時には、むしろ「通知を受けたことを業者間で情報交換しないように」などの指導を行なうべきだったとさえ言うことができると僕は考える。
これらの実態と問題点は、調査委員会の報告書を基礎に、それを契機にしてあらためて明らかになった、あらたな、しかも重大な事実である。「議会は何ができるのか」と、他ならぬ議会の中からでさえ疑問視する声があるが、そういう意味で、僕は以前から「調査委員会の調査と議会の調査は相補的な役割を果たすことができる」と主張していたように、僕の所属する総務委員会において、それなりに機能を発揮している、と言いたい。
ところで、今もなお総務常任委員会答弁で市の幹部が「不適切だったが違法ではない」と言い張ったのは、非常に遺憾だ。
僕はかつておこなわれていたことをことさら「違法」と断言したり、「不適切、問題」と強調することが目的なのではない。
この「貼り出し」問題一つをとって見ても、確かにただちに「違法」と断言することはできないものの、関連法令の遵守、その法理念や解釈の職員や業者への周知徹底や教育が充分なされていれば、ありえない対応だった。こうした体質が官製談合防止法の関連マニュアルや研修の不備を招き、その結果、防止法が制定されてもなお職員は違法行為に関与してしまった。
委員会での幹部答弁は、今もなお、関連法の厳密な分析検討がなされていないと言わざるを得ないものだ。
これらの点をあらためて重ねて指摘した後、ようやく「おっしゃる通り、大きな問題だった」と認めてくれたのだ。
職員は市民サービスの貴重な人的資源である。その職員を違法行為から守る、という視点や対策が全く不十分だったのである。その意味でも、かつての市の幹部の責任は重大である。
■長谷川前市長答弁の問題点
(作成中)
■渡辺前助役答弁の問題点
(作成中)