7月20日以降、急激な「円高」が始まった。
米国の低所得者向け住宅ローンを商品として証券化し、ヘッジファンドがそのリスクを移転するモデルを作り出した。そして、米国の住宅バブルが弾けて、このリスクが世界中に飛び火した。投資信託という様々な商品がこれに関わっている可能性がある。
当然、このバブル崩壊を手仕舞うためには円の買戻しを行い、無理矢理作り出してきた「円安」が急激な「円高」に突き進むことになった。
その不良債権金額総体が定かでないことから、この市場の安定には時間がかかりそうである。

「市場の動き」(朝日新聞8月19日付け朝刊)より
「FX長者…一転大損 円急騰に泣いた個人投資家」(8月22日フジサンケイビジネスアイ)がネットに載った。
「米サブプライム(高金利型)住宅ローンショックによる急激な円高で、急拡大してきた外為証拠金取引(FX)の個人投資家が多額の損失を被っている。17日の外国為替市場で円ドル相場が前日の1ドル=116円台から一時111円台まで一気に円高が進行。手持ちのドルに発生した為替差損が証拠金の一定水準にまで達したことから、ドルを売り損失の確定を迫られた投資家が続出したためだ。
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“海水浴から戻ってきたら大損をしていた”
“痛すぎ! 証拠金がすべて吹っ飛んだ”
大手FX業者のホームページに書き込まれた一般トレーダーからの悲痛な書き込みだ。
FXでは一定の証拠金を預けると、その数倍から200倍、300倍の外貨取引ができる。1ドル=100円のときに証拠金100万円の10倍の1000万円でドルを買った場合、110円まで円安が進むと、10万ドルが1100万円になり、100万円の為替差益が得られる。逆に90円の円高になれば100万円の損失となる。
17日の東京外為市場では一気に5円近くも円高が進んでおり、116円台でドルを買い、111円で売ったとすれば、証拠金の半分の50万円が吹き飛ぶ。100倍の取引を行っていれば、500万円もの損失を被ったことになる。
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20日には逆に一時115円台まで急激な円安が進行し、損失を取り戻すチャンスにもみえるが、『いったん冷静になろうと、新たな取引を見送っているトレーダーが多い』(FX業者)という。
サブプライムショックでは世界的なカネ余りでリスクを無視し拡張を続けてきた投資マネーが、一転してリスクに脅え、信用収縮を起こしている。日本のFXトレーダーも、投資には付きものリスクを改めて認識させられたことは間違いなさそうだ(赤堀正卓)」と。
「個人マネー直撃」(朝日新聞8月18日付け朝刊)の小見出しで、「株急落・円急騰」、「不安から投げ売り」、「FX損失、3日で3.6兆円」と、混乱振りが頂点に達している。
このような中で、菅野雅明氏(JPモルガン証券チーフエコノミスト)は
「円高、個人消費に影響も」(日経新聞8月24日付け朝刊)で語っている。
この金融市場の混乱は「米国の住宅金融会社が従業員を解雇したり、自動車ローンの融資条件が厳しくなったりと、実体経済に少しずつ影響が出始めている」。
「サブプライム債権を組み込んだ証券化商品が世界的に出回り、最終的にリスクを引き受けた投資家がどこにいるのかわからない。買った投資家ですら、その商品にどんなリスクがあるか分からない状況だ。格付けだけを信じていたわけだが、トリプルAの商品にもサブプライム債権が入っているケースがあり、投資家はどこまで格付けを信じていいのか分からなくなった。混乱の背景には不信の連鎖がある」。
「円高基調になれば輸出企業の業績に影響が出るのは当然だが、少ない元手で多額の外貨を運用する外国為替証拠金取引などで、個人投資家が損失を出している。これまではこうした投資家が円安で利益を上げ消費を支えていたが、円高になれば一転して消費を冷やす方向へ作用する」と。
日経の菅野雅明氏の記事には金持ち優遇の独特の発想が入り込んでいる。
彼の言う「円高になれば一転して消費を冷やす」という論理をもう一度整理すると次のようになる。
1.外国為替証拠金取引で、投資家は「円安」によって利益を上げてきた。
2.この利益が消費に向かっていたので、「円高」によって消費市場が沈滞する。
しかし、経済全体から見たとき、「円安」によって輸入価格は上昇し、より低品質の商品に庶民は向わざるを得なかった。一部の投資家の利益が消費を押し上げたとしても、大多数の庶民は低価格帯へと押しやられ、消費市場を押し下げていた。
今回の「円高」で、かなりの投資家が大損を受け元手を失くすだけでなく高額消費から手を引くとしても、大多数の消費者は安全でない商品からより安全な商品へと消費意欲を増すことができる。危険な輸入品からより安全な国産に。
このように見ると、菅野雅明氏のいう消費市場とは高額品を買える高所得者や不労所得者の市場である。
どうも、庶民や低所得者は消費市場からも外されているらしい。
このまま「円高」に進んでいくかどうかを私は予想屋ではないので言えない。
これを少しずつ良くなってきたと客観的に言うことはできない。なぜなら、今までの「円安」に利用されてきた庶民の小金が一瞬にして大損を体験することになる。老後を考えて少しでも増やしたいとする庶民の気持ちを金融機関や郵便局は利用してきた。そして、この庶民の損と係わりなく金融機関や郵便局は膨大なる利益を既に手にしていた。
そして、今回の「円高」は自民大敗のニュースが前提にあるとする経済評論家たちの意見が外為ニュース(日本ユニコム為替取引)の中に入り込んでいる。要するに、自民の大敗は「円高」が大企業に大損を見舞うことを表明し、大企業の自民のための票集めを示唆したものと考えられる。
権力と大企業と「円安」は切り離せないことを見せ付けている。
このような権力構造や金融構造に利用されない庶民の
関係性を創りたい。