―地震と原発事故がもたらす報道の
二つの流れ(2)―
前回は報道の二つの流れの一つを提示した。
“お前達のために危険な原発を推進しているのが分からないのか”と主張する原発推進者の責任転嫁を感じて示したものであった。
確かに、
pfaelzerweinさんが言う「日米核協約を含めてのタブーや既成事実の容認は誰でもない有権者自身の意思であることを改めて強調しておきたい」(前回の記事へのコメント)を否定することは出来ない。
しかし、一方で地方の貧困に金で抑える方策を駆使して地方の推進派VS反対派を作り出させ、他方で電気使用量の増大への対応と称して都市住民を納得させ、安全性まで偽装してきた。
現実に、六ヶ所村での使用済み核燃料の再処理が始まろうとしている。
ここの住民は補助金と仕事を見返りに再処理施設建設を認めた。そして、今年の6月に行われた青森県知事選の結果でもこれを示している。
三村 申吾(推進派・無所属)351,831票
堀 幸光(反対派・共産党) 48,753票
西谷みちこ(反対派・無所属) 43,053票
推進派VS反対派=79%対21%という結果であった。
紛れも無く、推進派の圧倒的勝利であった。しかし、推進派に投票した多くの人たちの苦悩をこの票数は消してしまっている。
どんなに危険であっても目の前の生活のため、仕事の少ない地域への新たな産業誘致として、子どもや孫に残せる資金として、・・推進派に投票した。そして、将来、孫の代から非難されることを恐れている地元の人、都会から高い給料を求めて来た身寄りのない人・・この人たちがこの危険な現場で働き、将来不安を抱えている。
「新自由主義」によって徹底的に経済的に階層化された社会では、下層の肥大を基礎として上層(資本)の利益を極大化する。そして、この極大化のために国家と結び付いた軍事産業や原発産業は大きな利益を生み出す。しかし、国民的リスクが増大するため、肥大化した下層の分断は資本の利益にとって安全を保障する。
この成果が上記の知事選であろうと思う。
今回の中心課題は報道のもう一つの流れである。これは地震と原発の安全性に関する問題である。
「柏崎原発、閉鎖視野に処理を」(朝日新聞8月22日付け夕刊)と、地震学や材料工学の研究者らで組織するグループ(柏崎刈羽原発の閉鎖を訴える科学者・技術者の会)が声明を発表した。かつて原発の設計に携わった田中光彦さんは「重要機器の安全性を検証するには、地震の揺れをもとにシミュレーションするほかなく、安全解析は不十分だ」と述べた。
「甘かった原発耐震指針」(朝日新聞8月24日付け朝刊)は、旧耐震指針を解説している。旧指針(注)は78年に原子力委員会が策定し、これに基づいて事業者が原発を設計し、国の安全審査を受ける仕組みであった。
(注)旧指針の想定地震には、原発の敷地直下に活断層がないことを前提としている。そして、その前提下で、2種類の基準地震動(S1,S2)を設定している。
S1:周辺で過去1万年間に動いた活断層による地震などから想定する「最強地震」の揺れ
S2:さらに厳しく5万年さかのぼった歴史地震など「およそ起きそうにない地震」(限界地震)の揺れ
耐震設計で、最重要度の原子炉格納器や制御棒などは、S2の揺れに襲われて変形しても、原子炉の冷却や放射能の閉じ込めといった動きは保つことが求められている。
この指針に照らしたところ、今回の新潟県中越沖地震による柏崎刈羽原発被害は、ほとんど全ての周期でS2を上回った。05年の宮城県沖地震による女川原発や今年3月の能登半島地震の志賀原発でも「限界地震」の基準値振動S2を上回る揺れを観測していた。
鈴木康弘教授(名古屋大・変動地形学)は「当時はなぜこれほど断層が過小評価され、国もそれを認めたのか疑問だ」と。
そして、
「原発新指針生かせるか」(朝日新聞8月25日付け朝刊)で旧指針と新指針との比較を明らかにした。
旧指針 新指針
○策定の時期 78年9月 06年9月
○影響を評価する 5万年前以降 後期更新世以降
活断層の年代 (13万〜12万年前以降)
○基準地震動の設定 S1、S2の Ssに一本化
2種類を設定
○震源を特定する 点震源による 断層モデルを用いた
地震動の評価 経験的な評価 地震動を設定
○震源を特定 M6.5の直下地震 過去の観測記録から
しない地震動の評価 を想定 地震動を設定
○上下方向の 一律水平方向の 地点ごとに
地震動の評価 地震動の半分 個別に評価
○重要施設・機器 As、A、B、C AをAs相当に引き
のクラス分け の4段階 上げてSとし、
S、B、Cの3段階
○残余の S2以上の地震を 想定して超過確率を
リスク 想定しない 出し、安全性を評価
「『超』東海地震を確認」(朝日新聞9月4日付け朝刊)で、浜岡原発調査結果を第四紀学会で発表した。
「産業技術総合研究所活断層研究センター研究員の藤原治と北海道大学教授の平川一臣の2007年の発表によれば、2005年から2007年にかけて浜岡原子力発電所東2キロメートル地点計8ヶ所でボーリング調査を実施し堆積物を調査したところ、8000年以上前から100-200年周期で東海地震が起きていることを確認し、それと同時に、従来想定される東海地震とは別タイプの大規模地震が約4800年前、3800-4000年前、2400年前の計3回発生していることを確認したという。さらに、2400年前以降もう一度大規模地震が発生したとみられることから、藤原は『1000年前後に1度、より大きな地殻変動を起こす地震があることが分かった』としている」(
ウィキペディア「浜岡原子力発電所」より引用)と。
そして、石橋克彦氏(神戸大教授)は「次に来る東海地震は、このタイプになる可能性もあり、備えが必要」と述べている。
上記の報道の二つ目の流れは、地震と原発の安全性を「科学的」に見ていこうとするものである。
前回記事も含めた二つの情報の中で、私たちの心は揺れている。時には考えないようにしている。それでも、危険は深化し身近になってきている。
「柏崎刈羽原発 1号機でも水漏れ」(朝日新聞10月26日付け朝刊)、
「福島第一でも放射能水漏れ」(しんぶん赤旗10月27日付け)と、止め処なく事故が頻発している中で、10月26日の「浜岡原発訴訟」に静岡地裁が「安全性は確保されている」として、住民らの訴えを退けた。
また、万が一の臨界事故を想定して、青森の六ヶ所村で「原子力総合防災訓練」が10月24日に行われた。国、県、日本原燃などから1500人が参加した。事故が起きてからの住民検診では遅すぎるのに。

政府も企業もこの危険を十分認識しているが、だからといって止められない「資本の論理」=利益本位と「利権構造」=政府(主に自民党)・官僚・企業の癒着がここにある。それ故、電気消費量を増やしているお前らが悪い、でも俺たちも安全に向けた訓練をしていると言いたげである。
地震調査委員会が05年4月に発表した数値では、東海地震の規模はM8程度で、地震発生確率(今後30年以内)は86%で「きわめて切迫している」であった。これに対応できる「新指針」であるのかどうか。
同時にこの「新指針」を策定する過程で原発の耐震指針の改定案を議論していた原子力安全委員会の分科会が06年8月28日に開かれた。そこで改定案の最終とりまとめを前に、専門委員の石橋克彦神戸大学教授(地震学)が、改定案に公募で寄せられた意見が正当に反映されないことに、責任を負えないとして辞任した(しんぶん赤旗)。
このような中で「新指針」の信頼性はどこまであるのかの不安も残している。想定すべき直下地震の規模について、旧指針でM(マグニチュード)6.5としていたのを「M7クラスが起こりうる」ことを基本に「新指針」は策定されたという。
先ず、原発を止めよう。そして私たちの生活スタイルに自然を取り入れよう。
原発による放射能は農産物・畜産物・水産物に蓄積される。生活に密着したこの産業を守り育てるには、先ず原発を止め、核開発に反対することから始めよう。
この反対運動を推し進める人たちと関係性を深め、彼らに勇気と与え、運動の持続性のために小さなことでも参加しよう。
7月以降、わが家は保温のための電気ポットを止め、無駄なコンセントを抜くことによって、待機電力は減り、昨年に比べて10%電気量が減りました。知識も増やし、自らの生活も見直そう。

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