医療生協の情報誌である『COMCOM』(07年12月号)の特集で、
「主役は誰ですか?」が載った。そのインタビューに田中優さん(未来バンク事業組合理事長)が登場している。

田中優さんとは:(1957年生まれ。脱原発を出発点に、地域で、またグローバルな視点で環境問題を分析し、開発援助、国際社会の平和など幅広く問題提起し、行動する。「ap bank」監事、「日本国際ボランティアセンター」理事、「足元から地球温暖化を考える市民ネットえどがわ」理事など様々な市民活動、NGO活動に参加。著書に『戦争って、環境問題と関係ないと思ってた』『戦争をやめさせ環境破壊をくいとめる新しい社会のつくり方 エコとピースのオルタナティブ』『地球温暖化 人類滅亡のシナリオは回避できるか』『非戦』『環境破壊のメカニズム 地球に暮らす地域の知恵』『戦争をしなくてすむ社会をつくる30の方法』『世界から貧しさをなくす30の方法』など。)

「アルミ缶のリサイクルでは、引き取ってもらう価格は100円/sくらいでした。それが、やがて30円/sに下がり、回収する車のガソリン代にもならなくなってしまいました。なぜだろうと調べていくと、アルミの国際価格、日本から海外への開発援助(ODA)、郵便貯金の行方、それらが途上国の貧困や飢餓、債務の問題などとつながっていることが見えてきたのです。」
「アルミはインドネシアとブラジルから輸入されています。そこには、日本のODAでダムがつくられ、それでできた電気の99%を使ってアルミの精錬がされていました。国際価格は日本など買う側によって決められます。アルミは電気の缶詰といわれるくらい電気を使いますが、驚いたことに電気の値段よりも、作ったアルミの値段のほうが安い。作るほど損をするのです。しかも援助といいながら金貸しです。資金源はみなさんおなじみの郵便貯金。それが途上国の借金地獄を招いています。フィリピンのミンダナオ島にはいまだに餓死者がいます。彼らは輸出用のバナナがたわわに実ったすぐそばで死ぬんです。」
「日本のメガバンクと呼ばれる銀行は、クラスター爆弾をたくさん作っている会社に、世界一お金を貸しているのです。」
また、「足元から地球温暖化を考える市民ネット・えどがわ」をはじめて、江戸川区と組んでフロンガス回収を行った。
「今のお金の流れに疑問を持つ人々が、行き先が見えて、応援したくなるところに出資できるものをつくろう、と未来バンクを始めていました。」
「『今』私たちができること」(環境シンポジウム 逗子市 1月6日)が催された。
第一部 田中優さん講演会〜地球温暖化とエネルギー問題〜
第二部 六ヶ所再処理について優さんと若者(サーファー)のトークセッション
第三部 地域からの提言、呼びかけ等(市民活動している方など)
田中優さんの話は分かり易く、その一部を紹介すると、次のようになる。
・100年後のエネルギーは何か
石油はあと40年、天然ガスは61年、石炭は227年、ウランは64年であり、100年後のエネルギーは石炭しか残らない。
・石油の奪い合いが戦争を作っている
・もし軍事費をほかに使えたら
途上国(重債務貧困国)の債務をなくす、世界中の兵器を廃棄する、世界の飢饉に苦しむ8億人の食、世界のすべての埋まっている地雷の撤去・・に軍事費を使ってもまだ毎年2099億ドルあまる。
・六ヶ所村、再処理工場からの放射能汚染
・六ヶ所の昆布中からプルトニウムを検出、岩手や北海道の10倍
放射能は生体濃縮され、魚、貝、そしてそれを食べる動物や人間に集中する。
この講演で、今のエネルギー政策は環境面でもエネルギー面でも悪循環(ポジティブ・フィードバック)を起こすことを述べ、そこで、バック・キャスティングという100年後を見据えて今を政策する必要を彼は説いた。
そして、「一人の百歩より、百人の一歩をめざそう」という田中優さんの言葉が印象的であった。
「新エネルギー覇権争い」(朝日新聞1月9日付け朝刊)で、気候変動を抑えるためには、石油などの化石燃料に頼らず、自然エネルギーへの移行を急ごうと「新エネルギー・ウォーズ」に走り出していることを記事にしている。
バイオエタノール燃料では米国とブラジルが世界をリードしている。06年の世界生産量のうち、トウモロコシからつくる米国が39%、サトウキビからのブラジルが35%である。このような中で、このブームがアフリカで起る。ザンビア、アンゴラ、タンザニアなどで、外貨獲得や貧困解消を掲げたプロジェクトが進む。ところが、07年12月に南ア政府は「トウモロコシを原料とするエタノール生産は禁止」と発表した。バイオ燃料の生産には農作物や農地を使うため、食料が不足するアフリカでは「食料」対「燃料」の論争が起きる。
水素燃料立国を打ち出したアイスランドは、豊富な地熱と水力で電力の99%をまかない、エネルギー全体に対して自然エネルギーは70%以上を占めている。この世界最先端の「低炭素社会」が目指す水素燃料による技術開発は日本やドイツのメーカー頼りだが、その歩みは思ったほど速くない。

この図で見るように、代替エネルギーの中心は今のところ風力発電、太陽光発電、原子力発電である。
自然エネルギー全体ではEU、とりわけドイツが世界を牽引する。ドイツの強みは、自然エネルギーで発電した電気を電力会社が高い価格で買い取る制度があること。企業や住民は自然エネルギーに安心して投資できる環境が整っている。
日本の風力発電は、04年の世界8位から06年は13位に後退した。
太陽光発電でも05年にドイツに抜かれた。日本は太陽光発電施設への補助を05年度で打ち切るなど、自然エネルギーでは消極的な姿勢が目立つ。
この背景には、原子力に頼り、世界3位の55基の原発を持ち、発電量の30数%をまかなう規模にまでなっている。
「カーボンチャンス〜温暖化が世界経済を変える〜」(NHK BShi 1月1日(BS1)、1月2日(BS1)、1月6日(BShi)、1月19日(BS1))が放映された。

(NHK BS オンラインより転載)
司会:寺島実郎(日本総研)
特派員:伊藤洋一(住信基礎研)
江川紹子(ジャーナリスト)
江上剛(作家)
スタジオゲスト:金子勝(慶應義塾大学教授)
榊原英資(早稲田大学教授)
この第一部がドイツの現状を伊藤洋一氏と江川紹子氏が取材して、それを全員で議論するという構成であった。
「2008年、激動する世界経済の動向を左右するのはCO2です。いまや“環境を制する者が世界を制する”というのがビジネス界の常識。企業の価値は、温暖化というカーボンリスクを回避し、それをカーボンチャンスに変えることができるかどうかで決まっていきます。
国家の命運も、環境エネルギー革命が起きている事実に戦略的に向き合い、自らルールを作り、新たな資金の流れを呼び込めるかどうかにかかっています。
世界をリードしているのは、メルケル首相率いるドイツです。国の誘導的政策によって、太陽光や風力など再生可能エネルギーにシフト、地方や農村が活性化し雇用が生まれ経済も成長しています。『産業革命』にも匹敵するといわれるこうしたパラダイムシフトは、アメリカや中国などエネルギー大量消費国の動向をも大きく変えています。一方、環境先進国と思われていた日本は立ち遅れた感が否めないのです。
番組の案内役は寺島実郎(日本総合研究所会長)。洞爺湖サミットが開かれる2008年のBS1の巻頭言として、最新の特派員ルポをもとに豪華な論客たちがスタジオで徹底的に議論。ポスト京都議定書をにらんで『CO2本位制』が始まったとまで言われる世界経済の新たな潮流を読み解きます」(「NHK 地球エコ2008」より)と。
ドイツ「政府」は「市場」に任せず、原発から脱して自然エネルギー活用を押し進める政策を採った。これによって、キューセルズというソーラーパネル製造企業が大躍進している。生産を始めたのが2001年で、4年間で10倍の伸びを示した。今では、太陽電池メーカーとして世界第2位(1位はシャープ)に躍進している。
ドイツ政府は太陽光発電による電気買取を高額にし、20年買い取り保障をした。これによって、企業も個人もこの分野への投資として設置をしたのがこの新しいビジネスモデルとなっている。
同様に、地方の農業でも家畜(豚、牛)の糞尿からエネルギーを取り出し、ここの農家全体に配管を巡らせ、温水供給と暖房に利用している。どの農家もビジネスとしての自覚を持っている。
金子勝氏は「大きな政府」の重要性を語り、榊原氏は規制緩和で「市場」重視の日本のやり方では真似ができないと述べていた。
上記のドイツのエコについての実態から、成長を進めながら反「温暖化」が可能であることを知った。このようなビジネスモデルを身近にも応用できればと思う。同時に、如何なるエコの行動も、軍事演習や戦争によって一瞬に亡き者にされてしまうことを忘れてならない。それだけに、たとえ優れたエコ技術を開発する企業であっても戦争に奉仕する・戦争で儲ける企業を信用してはならない。
このような企業や今の日本政府は、決して私たち庶民のために行動しない。
“主役は誰ですか?”ともう一度私たち自身に問いかけよう。
私たちが地道で持続的な行動をしない限り、地球の環境破壊と心の環境破壊は終わらない。ドイツの先進的ビジネスモデルの模倣から政府にさせたいものである。利益追求の「市場」にだけ任せない無駄使いをしない「大きな政府」を切望する。同時に、今日も私は無駄なコンセントを抜く。
先月は有難いことに、このブログへのアクセス数が急激に増えた。これは、環境への興味だけでなく、具体的に何をしなければならないのかを悩んでいる人たちが増えていると、解釈できる。環境を守ることと戦争や演習をしないことは同義である。それを追い求める政党を応援したい。
このブログで、私は様々な体験や様々な会合から得られた知識を披露していきたいが、今の段階では未だに少ない知識しか持ちえていないことをお許し願いたい。
しかし、このブログ間のつながりによって、新しい物の見方や知識を伝授させてもらい、少しずつ、前進していると自負している。外から得られた知識の交流とブログ間の
関係性によって、具体的な行動も共にしたい。