「値上げで9割が買い物で節約・日経消費者1000人調査」(4月22日/NIKKEINET)や
「消費者9割買い物節約」(日本経済新聞4月23日付け朝刊)が掲載された。
「日本経済新聞社が消費者約1000人を対象に実施した『値上げと家計』調査で、9割が買い物の際に節約していることが分かった。生活費が上昇しているのが最大の理由で値上げラッシュが消費者心理を冷え込ませている。今後、最も支出を抑えたいのは『外食』で、『食費』『日用品』など生活必需品の支出削減を考えている人も多い。
調査は4月上旬に日経の消費者モニターを対象にネット方式で実施。全国の20―69歳の1177人から回答を得た。買い物で節約を『かなり意識している』のは37.8%で、『やや意識している』と合わせると90.7%に達した。理由(複数回答)は『物価上昇による生活費増』が63.2%。『先行き不安に備え貯蓄』(47.5%)や『将来の必要な支出に備え倹約』(43.5%)を上回った」。
昨年末からの景気低迷に加えて値上げラッシュに対応して、外食や身の回り品全体の支出を抑えようとする傾向がこの調査で現れている。また、「暫定税率復活で価格が上がった場合は『車を効率的に使う』(38.9%)、『あまり乗らない様にする』(34.6%)」と節約モード一辺倒である。
私は「ロハス」な生活(Lifestyles of Health and Sustainability=健康と持続性の生活スタイル)をしようとしているし、「ロハスビジネス」にも興味がある。
そこで、
『ロハスビジネス』(朝日新書 著者:大和田順子、水津陽子)を手にした。

「ヘルスとは、人の身体や心の健康だけでなく、地域社会の健康、地球の健康も含みます」。「『持続可能性』とは、子供や孫など次の世代にこの地球環境を引き継いでいくこと、発展途上国や世界的に貧困状態にある人々を積極的に支援していくこと、・・」。「これこそ、まさにロハスが目指すものです。個人の心と体の健康だけでなく、社会や地球の『健康』にまで配慮したライフスタイルや価値観、それがロハスの本来の意味なのです」と解説している。
ところで、潟Cンテージの調査結果を挙げて、ロハス層がどの部分かを解説している。
この調査は06年11月で、5488人をサンプルとし平均年齢が40.7歳である。縦軸に「積極性」を横軸に「社会性」のマトリックスを作り、9つの層に分類している。「積極性」も「社会性」も最も高い「自立層」が13.8%、平均年齢が41.9歳、年収745万円であり、最低ランクの「依存層」が14.7%、平均年齢が38.0歳、年収605万円である。
「『自立層』のプロファイルでは、『何事にも積極的で、ボランティア等の社会的活動にも積極的に参加している。心の豊かさが大切で仕事よりも家族を優先する。将来の姿を思い描き、自らの行動で社会は変えていけると考えている』などといった特徴が見られました」と。
ここで示された最高年収は「自立層」で、最低年収は「依存層」ということだ。そして、「ロハス層」はこの「自立層」と一致することを述べている。
読者の皆さんはどこかおかしいと感じたはずだ。ここで示された最低年収が605万円である。今の日本人で年収600万円以下が80%もいる(ワーキングプアと呼ばれる年収200万円以下の人たちは23%)のに、年収605万円を最低年収とした調査結果に大きな違和感を覚える。
また、典型的「ロハス人」の1日をここで描いている。
主人公は智子さんという神奈川県の湘南地方に住む32歳で、外資系自然化粧品会社で広報の仕事をしている。今は育児休職中で、夫と2歳の娘(七海)、ミニチュアダックスのベティーと環境共生型コーポラティブ住宅(自然エネルギーを利用した3階建ての集合住宅)に暮らしている。
先ず読んでください。
「私の一日は、毎朝5時に起きてヨガをすることから始まります。娘はまだ寝ていますが、15分間ぐらい瞑想と簡単なエクササイズをします。ヨガを始めるようになってもう5年になりますが、すっかり身体の調子が良くなりました。
そうこうしていると夫も起きてきて、彼は愛犬ベティを連れて近くの海岸や公園まで30分ほど散歩に行きます。夫婦ともどもの朝型生活。今は育児休職中ですが、来年の春からは仕事に復帰する予定です。
朝食は玄米ご飯と具だくさんのおみそ汁、納豆です。温野菜も欠かせません。七海の離乳食は手作りです。妊娠して以来、玄米や野菜中心の食事に替えて、初めは夫も『たまには白いご飯が食べたい』と言っていましたが、自ら圧力鍋を購入したり、マクロビオティックの教室に通ったりと、今では私より自然食に詳しくなってしまいました。
この住宅は屋上に菜園があります。入居者はそれぞれ自分のスペースを割り当てられていて、私は野菜やハーブを植えています。詳しい人がいていろいろ教えてくれるおかげで、無農薬での栽培もなんとかうまくできています。ミントの葉をお湯に10分ほど漬けるだけでさわやかなミントティーができます。冷蔵庫にいつも冷やしておくようにしています。野菜は夏はトマト、ナス、きゅうり、オクラ、ニガウリなどがとれ、冬はにんじん、大根、ブロッコリーという具合です。サラダリーフも作っていますが、無農薬なので虫食いの穴だらけです。でも、そういうところが、またいいんです。
夫はデザイン事務所を運営しています。オフィスは自転車で15分ぐらいの海のすぐ近くです。事務所で働く仲間たちは、仕事中でも良い波が来るとサーフィンに行っていいことにしているそうです。まるで米国のアウトドアウエアメーカーの『バタゴニア』みたいですね。
午前中は近所のお母さんたちと子供を連れて散歩をしたり、住宅の中にあるコミュニティルーム(居住者なら誰でも使える共有の応接間のようなもの)に集まっておしゃべり、情報交換の時間です。自然分娩をした人が多いのも共通点です。自然食品の宅配はどこがいいとか近くにオーガニックレストランができたとか、やっぱり食材やスイーツ、料理の話が多いですね。
この住宅には、いろいろ環境配慮の工夫がされています。室内の壁は珪藻土で、床は無垢材で、素足でいても温もりを感じるから不思議です。珪藻土や床材のおかげか、室内の湿度がちょうどいい感じです。室温が上がらないような工夫がされていて、夏でもエアコンをほとんどつける必要がありません。太陽光発電と温水器が屋上にあって、雨水も利用されています。
午後は子供がお昼寝をしている間が自分の時間です。育休中は時間があるので、『消費生活アドバイザー』の資格を取ろうと勉強しています。買い物はお店が遠くて大変なので、宅配を利用しています。無農薬野菜や無添加の加工食品を定期的に注文していますが、惣菜の素材セットも調理するだけなので便利です。
夕食は、やはり野菜中心のおかずです。魚は週に数回食べますが、最近肉はあまり食べなくなりました。子供を寝かしつけた後、夜は夫とハーブティーを飲みながらいろいろと話をする時間を持つようにしています。
最近株の投資も始めました。銘柄やファンドの選定は、『SRI(社会的責任投資)ファンド』というそうですが、企業業績と合せてその会社の社会性(環境対策に熱心であるか、従業員が働きやすい職場かどうかなど)を重視して選んでいます・・。」
「いかがですか、智子さんの一日をお読みになって『ロハスな他人』のイメージができましたか」と。
ここで描かれた「ロハスな人」のイメージを著者が書いたものであるが、大きな違和感を覚える。
この本の主題は「ロハスビジネス」で、ロハスを主題としたマーケティングを分類している。要するに、「ロハスな人」の層が増大している、そして、そこをターゲットとしたロハスなビジネスを展開するのに、@経営戦略型、Aミッション型、Bフロンティア型、C独立企業型に分類して今後の展望も論じている。
しかし、ここで重要なのは「ロハスな人」を消費者群としたものの見方である。
多くの人が困窮し、企業にいじめられ、いつまでたっても収入が上がらず、毎日を四苦八苦して生活をしている。それでも「ロハスな人」を目指している。環境破壊や心の破壊をこれ以上に広げたくない、自らもその行動で癒されたいという面持ちで。危険ではあるが中国産食品やアメリカ産牛肉のファストフードなしでは耐えられない生活水準が根底にあり、「無農薬野菜や無添加の加工食品を定期的に注文」などできようがない。安全な国産の食材に手を出せない生活水準である。それに、「環境共生型コーポラティブ住宅」の家賃が払えるくらいなら、少しでも手足を伸ばして多く寝たいと思っている。仕事を二重にするか残業で食いつなぐ生活者にとって、病気さえできない状況である。
私がもし「ロハスビジネス」を行うなら、生活水準の高い「ロハスな人」からどれだけ巻き上げるかを考えなければならない。そして、私も生活水準を上げて、ハーブティーを飲む時間も買える立場になろうとする。しかし、この「ロハスビジネス」の先に貧困層を無視した今の政府と同等の役割を感じる。
私にとっての「ロハスビジネス」は、安全な衣食住を圧倒的多数の貧困層に供給できなければ、自らの癒しなどないと思っている。これは常人ならばそう思うのは当然であろう。環境破壊に抵抗し、そこから何とか抜け出そうとする試みを否定はしない。しかし、圧倒的多数の報われない庶民の心身の破壊を無視してはならない。
ガソリン税によって利権の温床を維持し無駄な道路を作ってきた政府、後期老人医療制度によって年寄りを排除する政府・・、この人たちと同類の行動だけは避けたい。そんな心の
関係性を広げたい。
最後に、この本「ロハスビジネス」の最後に大和田順子さんは「Healthy people, healthy profit, healthy planet.(健康な人々、健全な利益、そして健全な地球)」で締めくくっている。
私とはとてもかけ離れた生活スタイルを大和田順子さんに感じる。残念!

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