前回のエントリーで「『ロハス』ということ」を書き、次から次へと下層を無視した『ロハス』に怒りがこみ上げていた。
そんな折に、スロービジネスに関わる仲間のメーリングリストに
「起業しないスロービジネス」(Wさん)という魅力的提案意見が流れてきた。その内容は概略次のものである。
・自ら起業している人はほんの一握り
・人それぞれに特性があり、起業が全てではない
・企業等で雇われていてもその中でエコを実践し、社内にアピールすることもできる
そして、つぎのような提案がされている。
「肯定」:今の会社でも、雇われていても、スロービジネスはできるし、すでにやっていることも少しはある、と考えてみる。
「楽観」:今は会社はファストで、自分もファストでも、いつか少しずつスローに変えていくことができるはず、と考えてみる。
「主体者意識」:自分の働き方は、自分で変えられる。自分の会社と、会社のビジネススタイルは、自分で変えていける、と考えてみる。
この提案意見への賛同者が多い中で、私は次のような二度のメールを送った。
@このような物の見方はとても大事だと思いますし、ハッとさせられました。
それに、誰でもが起業で成功するとは限りません。
何がしたいかだけでなく、市場の変化や社会の変化を巧みに捉えて起業しなければ、ついているかいないかだけのギャンブルに終わってしまいます。
私は二度起業してそれなりに生きてきましたが、経営者のストレスは並大抵のものではありません。連日お金に追いまくられ、金融機関にはウソを言い、一瞬の見せ金までしなければ次の融資を受けられない状況が何度もありました。勿論、連日眠れない日も多くなり、食欲不振で頬がこけ、取引先には見せられない姿にもなります。
経営の支えは女房のサラリーであり市場獲得の支えは社員です。この連携がなければ、肉体的だけではなく精神的にもファストに押しやることになります。
ところで、Wさんのいう企業内での「スロービジネス」には大賛成です。ただし、それなりの会社規模を有し、先行きに見透しがたっていればの話です。
世の中に溢れている非正規雇用労働者やそれに準ずる労働者の労働時間や賃金を見たとき、この資本主義社会の暗澹たる影の部分を感じざるを得ません。
何とかしたいが寝る時間を取るのが精一杯、インスタントラーメンで生活しても毎月の家賃に死苦八苦・・、こんな人たちが増えている中で、起業経験のある私たちが、そしてスロービジネスを追い求める人たちが何を提示できるかを身を以って示したいと思うのは私だけでしょうか。
起業する以外に何の術もない人たちが多くいます。後がないと考える人たちです。その分、突き進むエネルギーは大きいと思われます。
この人たちの起業を助ける、起業してこの人たちを巻き込む努力が必要なのではと強く感じています。
企業内での「スロービジネス」が広範囲になれば、大きな力になると思います。しかし、他方で「経済格差」が進み、それへの抵抗としても「起業支援」の行動を忘れないでもらいたいと思います。
「肯定」「楽観」「主体者意識」を非正規雇用の彼らにも伝えられる環境を作りたいです。
みなさんの新しい考え方を挫く文章で申し訳ありません。
Aむしろある年齢になると、そして企業の中に長くいると起業する決断が鈍ることが多くなります。そして、私の年代では多かったですが、50歳前後でリストラに遇って、他の会社訪問をしても一向に再就職ができない場合もありました。
何らかの関わりで、起業する人たちを手助けすることによって、逆に助けられることが生まれるし、企業内での型にはまった仕事から自ら解放される機会も得られます。
自由な発想がないと起業は難しいですし、生活に追われ過ぎてからではこの発想訓練はできないと思います。
その意味で、誰でもが起業する必要はありませんが、常に自分が起業するにはどうするかを考えておけば、会社に振り回される心配もありません。同時に、そのような社員に魅力を経営者は感じます。
おんぶにだっこの社員は経営者から見たときに濡れ落ち葉に見えます。
知り合いの起業に面白いと思ったら、無駄なお金は使わずに、自分の起業と思って数万円の投資をし、そこから学び取りましょう。できたら無給で手伝えたらもっとすばらしいことを獲得できると思います。
給料が少なくても皆で分かち合う「スロービジネス」ならいざ知らず、一般の企業は収益を上げるためにシェアの拡大をし、他企業を排除する競争戦略を持っています。そして、収益を上げるためにコストを削減します。当然、そこには社内の競争も激しくなります。社内の給料格差も生まれます。下請けや孫請けをいじめることもします。
収益を上げ拡大路線を取っているトヨタやキャノンなどは典型的です。
全てがそうでないとしても、このような企業が多いのは事実です。
自分たちで会社を作ることを排除しないで自分の会社も社会も政治も起業しようとする人たちもいつでもシッカリ見ていきましょう。
「39歳 全財産100円」「細切れ雇用 食いつなぐ生活」「職求め、坂道を転がる日々」「32歳、生活保護『やってみる』」「『すべり台社会』―再起支える仕組みに穴」(朝日新聞4月30日付け朝刊)が一面と二面に大きく扱われた。その一部分を転載する。
「都内の電気工事会社の下請けで働くこの男性(39歳)は、生活困窮者を支援する『もやい』に助けを求めていた。
『いつお金が入りますか』
『4月18日です』
『いくらぐらい?』
『たぶん、3〜4万円』
『その額でいつまで』
『次の給料日は5月20日』
『それじゃあ、苦しいですねえ。どうしますか』
『18日までしのげれば、アルバイトでなんとか・・』
1万円を工面してもらい、米5キロと缶詰5個をもらってしのぐことになった。両親は年金暮らしで頼れない。
『本当にお恥ずかしい。仕事を探しながら働く繰り返しで、失業保険も貯金もないものですから・・』。・・
午後5時に仕事が終わると、すぐ派遣先の倉庫へ。6時半から10時まで、ベルトコンベヤーに追われながら荷物の積み込み作業。時給は1千円。一晩で3500円にしかならない。
くたくたでアパートに帰る。倉庫の仕事を始めた初日、1回430円の銭湯は高いのであきらめた。部屋は4畳半一間の風呂なし共同便所。布団はなく、2枚の毛布の間に入って眠る」と。
06年の調査で、年収200万円以下の労働者が1000万人を突破し、23%の労働人口にもあたる。OECDの調査で日本はアメリカに次いで貧困率ワースト2に入った。それも3位以下を大きく離してである。
およそ4人に1人の割合であるが、20代、30代に集中しているだけに、この世代の貧困率はより一層高いと考えられる。身近に貧困が進んでいる。
それだけに、前回エントリーで「『ロハス』ということ」を書き、下層を無視した『ロハス』に怒りが次から次へと込み上げていたのである。
Wさんの言う「肯定」、「楽観」、「主体者意識」を生活に余裕のない貧困労働者に言えないと思い、メールを送ったのである。
それでも、正社員で働く人たちには「肯定」、「楽観」、「主体者意識」を忘れて欲しくないし、正社員の後ろに非正規社員やワーキングプアが増大し精神的にも肉体的にも社会の経済的環境悪化から逃れられない人たちのことも忘れないで、企業の社会的責任をも確立させる運動にも結び付けて頂きたい。
そんな時に私たちは
関係性が増します。

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