9月の決算を終えて、経費や在庫の現状把握を基に次の素材仕入れの方向性を見ている中で、税理士との会議や銀行との打ち合わせが多くなっている。
税理士:社長、どう!
社長:ひどいね。本来ならというか今まで業界内での競争と異業種への進出で大きくし維持してきたが、手の打ちようが見つからないんだよ。税理士さん、今扱っている業種で面白いところはあるの?
税理士:ひどいもんだね。今年に入って顧問料さえもらえない企業が急増していて、良くなるまで待っててやるからいつも通り指導は続けると伝えているんだがね。不動産が特に悪く、9月以降マンションが1軒も売れないという業者もあるよ。
そこで社長、これからどうする?
社長:・・(言葉が出ない)
東京商工リサーチによると、倒産負債金額(単位:千億円)の今年の動向を発表した。
1月 4月 7月 8月 9月
5.8 7.2 6.7 8.7 53.6
9月に入り、急激な伸びを示している。このようなスゴイ状況を権力者は自分のせいだとは全く思っていない。

(nakayosiさんブログ「心の健康・社会の病い」より転載
http://white.ap.teacup.com/nakayosi/ )
銀行員:ここ半年、借り入れをしてませんが、そろそろしないと回転資金が足らなくなってきていませんか?まさか他の銀行から借りてませんよね。
社長:金利で追われたくないし。経営状況が悪くなると、金利があがるのでそれがイヤなんだよ。
銀行員:実は、緊急の融資制度ができましたので、それを見せたくて来ました。
社長:じゃ、聞こうか。
銀行員:今までの銀行融資は二通りあって、直接銀行が貸し付けるものと県や市の保証協会がバックにいて銀行が融資するものとがありましたよね。
社長:いわゆる保証協会付きは銀行の責任が20%で、残りの80%を保証協会がイザというときに面倒を見るという仕組みだよね。それでも銀行は貸し渋っていると聞くよ。
銀行員:大きな声では言えませんが、危なくて貸せる会社が見つからないんです。できたら今貸しているお金も全て返してもらいたい会社だらけです。
社長:その行為が「貸し剥がし」というんだよ。
銀行員:分かっているんですが・・。
社長:会社が良いときには貸して利益を上げているんだから、銀行は会社の売上上昇への手伝いもしないで景気が悪くなるとソッポを向くのはおかしいと思わないか?
銀行員:・・。だから、今回の「緊急保証制度」(注)はいいでしょ。
(注)「緊急保証制度」とは:10月31日から新たな保証制度である「緊急保証制度」なるものが開始された。本保証制度にソフトウェア業など、73業種を追加指定することとなり、先の545業種の決定以降、景況の悪化が明らかになった業種について緊急に追加し、全体で618業種が対象業種となった。
来年3月いっぱいまで申し込み受付をし、対象業種の中小・小規模事業者は、金融機関から融資を受ける際に一般保証とは別枠で、 無担保保証で8,000万円、普通保証で2億円まで信用保証協会の100%保証を受けることができるというもの(経済産業省 中小企業庁ホームページを資料とした)。
社長:それで、金利はいくらになるの?
銀行員:銀行の金利が1.9%で、信用保証料率が0.8%ですから、合わせて年率2.7%というところです。でも、社長のところでしたら1.8%+0.8%=2.6%にします。それに、10年以内の長期返済ですからいいでしょう。
社長:(皮肉たっぷりに)すごい大盤振る舞いだね。それに、そんなに長く会社が生き残れないだろ、今の状況で。
銀行員:え!なぜですか。
社長:この状況が2〜3年続いたら、返済が終わる前に潰れてしまうよ。
ここまで、ひどい目にあわされてきた中小・零細企業に、今度はお上が銀行とつるんで“お金を貸しましょう”ってか。また、銀行だけが儲かる仕組みだろ。
銀行員:でも、これがなかったら会社は困るでしょう。
社長:(若造を叱るように)上から目線でものを言うな!
丁寧に物を作って、競争して、より良い物を少しでも安く市場に出すことによって、中小・零細企業は成り立ってきたんだ。これを壊したのは虚業だろ。マネーゲームが市場を滅茶苦茶にしておいて、大変でしょうからお金を貸しますってか。
事実、前から私があなたに言い続けてきた「外貨預金」や「投資信託」の危険性がいま出てきたと思わないか?
銀行員:本当にそう思います。「外貨預金」や「投資信託」に私のお客を誘って、大損害を与えて、お客をなくしています。
でも、会社からは“ここまで円高になったから”とか“今が底だから”ということで、もっと勧めて来いと言われています。
社長:昨年の初めに、お宅の銀行の新人女性に中小・零細のオヤジに「外貨預金」や「投資信託」を勧めさせ、今ではジャンボ宝くじの販売に回されて、まさか冷や飯を食わされているんじゃないよね。ああやって、若い社員がダメになる姿を見たくないよ。企業のオヤジ連中と議論しながら助け助けられる関係を覚えなければ、悲しい人生だよね。
銀行員:・・。
社長:中小・零細はいま人減らしをしているよね。それでも2〜3年この状況が続いたら、間違いなく倒産するよね。その会社に貸した「緊急保証制度」のお金はなくなり、結局、税金投入で済ますことになる訳だ。
銀行員:確かに・・。ところで、この「緊急保証制度」どうします。いま申し込み殺到してますので。
社長:うちはイラン。
自分でしゃべりながらジレンマを感じた。借りなきゃいけない立場ではあるが、庶民のお金を拝借する立場でもあることに。話が通じない銀行員に腹を立て、“イラン”と言ってしまった。
考えたら、この銀行員も上からの命令で成績を上げないと、いつ肩をたたかれるかしれない状況にあり、私の話を聞いている暇はないのだろう。それでも、時間を作っては、わが社に顔を出し、無駄話をしにくるところを見ると、彼なりに学んでいるところもあるのだろう。
私はこりずに、若者に話し続けようと思った。
そこに
関係性が生まれることを望みながら、息子に語るように。「新自由主義」への怒りを乗せながら。

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