ここのところ、職業安定所に相談しに行くことが急に増えている。経理・総務を経費節減で休ませている間、零細な会社は全て社長がしなければならないからだ。
「
雇用調整助成金・中小企業緊急雇用安定助成金」の支給申請についての問い合わせである。社員を一定期間(時間)休ませることにより、解雇を避けて急場しのぎをしようとするものである。そして、この期間に応じて、職安から一定の金額の補助を頂く仕組みである。ただし、わが社は数人での計算である。
ここに相談に来ている企業は、名の知れた中小企業が多く、400人とか500人とかという人数のようだ。
これによって、2〜3ヶ月の削減した人件費の50%ほどの経費節減ができる。
私の知り合いの零細企業では社会保険も雇用保険(失業保険)にも入っていないので、この制度を利用することもできない。給料だけを払うのが精一杯でその他のことは一切できないとこの経営者は言っている。零細過ぎるとこのような制度さえ利用できないのだ。
今回のことで、私は初めて職安(ハローワーク)に行き、人でごった返しているのにビックリした。皆でコンピューターに向かって職探しをしている。
この金融不況の影響の凄さをあらためて見た。
自社関連の業界の急落の凄さは分かっているが、余りに世の中の大きな流れに呼応していることに驚く。
海外からの素材の仕入れ→加工→国内卸を手がけているが、結局、国内需要が回復しないかぎりお先真っ暗である。「助成金」で何とかなる状況ではなくなっているのかもしれない。
新聞紙上で大きく報道されたのが、昨年の貿易統計である。

(産経新聞4月23日付けのグラフである)
「28年ぶりの貿易赤字」「揺れる貿易立国 日本」「28年ぶり転落」「貿易収支、28年ぶり赤字=7253億円、輸出は減少率最大」「昨年度 28年ぶり貿易赤字」・・が各新聞紙上の一面を22日、23日とにぎわしている。
そして同時に
、「09年の世界経済、マイナス1.3%成長に IMF見通し 」(NIKKEI NET 4月22日)で「国際通貨基金(IMF)は22日、2009年の世界経済の実質成長率がマイナス1.3%になるとの最新の見通しを発表した。日本はマイナス6.2%に落ち込む。貸し渋りなどの信用収縮と実体経済悪化の相乗作用が当面続く可能性が高いと判断。10年の世界の成長率もプラス1.9%にとどまると見通している。
マイナス1.3%成長は戦後最悪のペース。IMFは1月時点では09年の世界経済はプラス0.5%成長とみていたが、3月中旬の暫定的な修正ではマイナス0.5―マイナス1%成長に転じると予想。今回の見通しでは、さらに悪化する公算が大きいとした。
新興国の比重が小さく、成長率が下ぶれする傾向がある世銀の予測はマイナス1.7%。両機関ともマイナス1%以下の予測となった」と発表した。
IMFの経済成長率見通しを表にすると次のようになる。
2009年 2010年
世 界 −1.3% 1.9%
米 国 −2.8% 0.0%
ユーロ圏 −4.2% −0.4%
日 本 −6.2% 0.5%
中 国 6.5% 7.5%
日本の落ち込みが特に大きい。外需に頼る経済構造が内需を持ち上げない仕組みを作り出している。言い換えれば、国内労働者を虐げたことによる貧困層の増大は内需の貢献に期待できないことを表している。
まさに、非正規雇用を多用し国内労働者を冷遇して収益を上げ、円安の効用で輸出産業が高収益を上げるという仕組みがそれである。そして、相変わらず経団連は230兆円もの内部留保を溜め込んだままで、相変わらず税金でドル買いによる「円安」誘導を自公政権に指示し、消費税導入によって一層の税金徴収の仕組みを強化しようとしている。
ここには、雇用破壊と内需衰退の姿しか見えてこない。
「歴史的転機の消費不振」(日経新聞4月20日付け朝刊「経営の視点」より)で、末端消費者と直接係わる総合スーパー(GMS)や百貨店について述べている。
「GMSのイトーヨーカ堂が2009年2月期、1958年の設立以来初の赤字に転落した。ピークの92年度からほぼ一貫して利益が縮小、ついに水面下に沈んだ。
・・GMSや百貨店の多くが前期に業績の急降下に見舞われた。決算会見では『金融危機に端を発した消費者心理の冷え込み』を不信の理由に挙げる首脳が目立った。・・GMSと百貨店は日本経済の成長と共に業容を拡大してきた。所得上昇や人口増が大量生産・大量消費を可能にした。車社会の到来も追い風となり『消費が消費を呼ぶ』時代だった。
今はどうか。所得も人口も減少に転じ、『消費は美徳』の言葉は私語に。・・消費の主役だった人たちは高齢者になり、消費が旺盛なはずの世代が不透明な将来に身構える。・・それが金融危機で加速した。・・」
ものを買わない・買えない消費者に向かって、物作りを続けようとする私たち零細企業家は生産量を減らし人件費を削ってしのいできたのだが、ここに至って急激な消費不振に対応を見付けかねている。在庫の山の中でため息だけが出る毎日である。
「28年ぶりの貿易赤字」という事実は、労働者の雇用を奪い、消費意欲も奪う結末をもたらしている。
これが日本の経済構造である。
楽しく質素に生活ができれば、それ以上のことは要求しない。
しかし、憲法25条(健康で文化的な最低限度の生活を営む権利)はないがしろにされ、失業者は増大し、老人介護の保障はできなく、母子加算も減らされている。
このような不安を基礎に置いた世界第2位の日本経済である。
経済構造そのものを変えていく・みんなで考える
関係性の深化が重要になっている。

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