最近、民主党政権の政策に若干の違和感がでてきている。
「事業仕分け」による官僚制度の暴露に拍手を送りたいのだが、現実の生活に直結した部分への配慮のなさも見えてくる。特に、医療費等の「事業仕分け」は、生活が持ちこたえられない人たちへの配慮が足らない。平均値で見るのではなく、丁寧に生活者の実態を反映した行動が望まれる。入院費がかさみ、医者にかかれない人たちがまた増える危険性が出てきている。
亀井静香氏の意向を受けて「銀行への元本返済猶予制度」はニュースになり、「中小規模の事業者等に対する金融機関の信用の供与等について今次の金融危機に対応して緊急に講ぜられるべき措置に関する法律案」(中小企業に対する貸し渋り・貸しはがし防止法案)が参議院に提出された。
業績の悪化した中小・零細企業や個人に対し、銀行からの借金の元本返済を猶予する「支払猶予制度」(モラトリアム)を導入する。
当初、この議論に対して銀行側の反対意見が多かったが、ここにきて一切その様子が見えなくなったのは何故だろうか。明日どうなるかわからない中小・零細企業はこの「制度」を利用しないことを既に熟知しているからなのだろうか。
「
民主党ニュース(12月19日付け)」によると、「金融危機に伴う取引先の倒産等による資金繰りの悪化等を生じた中小企業に対して、債務の返済に支障が生じた場合、(1)当該貸付けに係る債務の返済期限の延長その他貸付けの条件の変更を行う、(2)当該金融機関が当該事業者の株式又は持分を取得することにより、当該貸付けに係る債務を消滅させる――こと等を定めている」。また「個人の住宅ローンに関しても、今回の金融危機に伴う勤務先の倒産や事業規模の縮小等による失業等によって債務の返済に支障が生じている場合は、(1)返済期限の延長、(2)貸付け条件の変更――等を行うこととした」と。
中小・零細企業に対する「支払猶予制度」(モラトリアム)が実態と乖離している。
私の会社も「雇用安定助成金」を貰っていて、その申請の都度、地方の役人と話す機会が生まれる。
株価(日経平均)も1万円前後に復活し、この助成金を受け取る人数も少しは減ってきてよいはずだが、増える一方だそうだ。それに、上場企業からの申し込みも増えている。売上は下がっているが収益が上がっている、しかし、人件費は削減するという上場企業からもだ。「助成金」は3年間で300日分と規定しているので、この日数分が消化した企業から順番に抜けていくだけだそうだ。ただし、雇用保険さえ払えない零細企業には一切この「助成金」は出ない。
同時に、そこで話題になったのは、「支払猶予制度」(モラトリアム)である。
中小・零細企業はこの制度が法案化すれば申し込みができ、安定的に雇用を維持できるのではないか、という役人からの質問を受けて、私は次のように答えた。
この「雇用安定助成金」ですら貰っていることを金融機関に伝えていない。伝えれば、そこまで大変なのか、と疑われる。これは異業種交流での経営者の共通した考えである。
「支払猶予制度」を申し込むなら、先の見通しも含めて金融機関に説明できなければならない。下手すると、先行き一層危ないことを金融機関に知らせることになり、支払猶予されないだけでなく貸し剥がしさえ受けることになる。
そこまで切羽詰った中小・零細企業が沢山ある。
確かに最近、金融機関からの企業への経営状況の確認が少なくなっている。こちらから頭を下げて資金融通をお願い、もしくは支払期間の延長を申し出ない限り、金融機関からの話はなくなっている。金融機関も自らの立場を守るために、不良債権を増やしたくない。そこで、金融機関からは経営状態について聞こうとしないのだ。要するに、見たくないのだ。
もう、小手先の政策では立ち行かないほど企業間格差や個人の経済格差が進んでいる。

(マイケル・ムーア:時事通信「東証で会見」)
「マイケル・ムーア、波乱の初来日 『昔の日本に戻って』と熱弁」(YAHOOニュース11月30日配信)で、「日本でも犯罪率や失業率が上がってきたのは、これまで築き上げてきた社会的なセーフティネットを、過去数十年続いた保守的な政府が切り崩してきているから。僕はアメリカを愛しているけれど、アメリカを真似る必要はない。日本は日本のままでいてほしい」。「ジョージ・W・ブッシュの政策を、アメリカでエルビス(・プレスリー)の真似をしていた日本の首相や、イギリスのトニー・ブレア、イタリア、スペイン、デンマークといった国々がサポートしたことで、ブッシュの戦争が正当化されてしまった。ある意味、こうした国々の首相たちも責任を問われるべきだと思う」。「日本を非難しているわけじゃない。謙虚なお願いとして、新しい首相の下で道を踏み外さず、昔の日本に戻ってもらいたいと思っているんだ」と語っている。
「『不平等』拡大に危機感」(日本経済新聞12月16日付け夕刊)で、映画監督マイケル・ムーア氏が新作「キャピタリズム マネーは踊る」を語っている。
その抜粋をここに紹介する。
「僕は靴屋さんになりたい人が自由に自分の店を開き、いい暮らしをするために一生懸命働き、利益を得るのが悪いなんて全然思っていない。僕が問題視するのは、米国の『現在の資本主義』の姿だ」。
「米国では今、1%の富裕層が、下層にいる95%の人々全部を合わせたより多くの富を持っている。違法な行為をしたわけじゃない。法律が富裕層に有利にできているんだ。他の大勢は必死に働いても食べていくのがやっとだったり、家のローンを払えず追い出されたりしているのに」。
「資本主義に懐疑的な発言をすると、米国ではすぐに『では、君は社会主義なんだね』という反応が返ってくる。だが、富を一部の人で独占すべきではないと思うか。だれもが同じテーブルにつき平等に発言する権利を持つべきだと思うか。社会の仕組みから脱落した人々にセーフティーネットが必要だと思うか。そのすべての質問にイエスと答えるのは、社会主義というより民主主義の理念だと僕は信じている」。
「世の中の1%じゃなく、大多数の人が安心して生活できる民主主義的な政策を国が打ち出すべきだと訴えている」。
現在置かれている現状−資本主義を大枠で分かっておかないと、どんな政策も間違いを犯す。
民主党政権にそこまで期待してよいかどうかは分からないが、庶民は自公政権から脱して、二度と同じ状況にしたくないという思いが強い。民主党政権に例え鳩山首相のお金疑惑があろうと、小沢氏の政権支配がメディアで語られても、ジッと耐えている庶民が多いだろう。自民党がそれを批判しても、私たちはそれを聞く気になれないのは、今までの耐え忍んだ時間が長過ぎ、瀕死の重体状況にいるもしくはこの状態を身近に感じている庶民だからである。
その庶民の
関係性が民意として民主党政権に心の広い優しさを示しているのだ。

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