日本経済新聞(6月20日付け)朝刊に、「消費税率・引き上げ容認48%に」という世論調査結果を発表している。その順位を見ると、
1位.33% 年金の財源などに限定する形ならばやむを得ない
2位.28% 現在程度の税率を維持すべきだ
3位.15% 財政再建のため、やむを得ない
4位.11% 消費税は廃止すべきだ
というものであり、1位と3位の合計が「消費税率・引き上げ容認48%に」ということになる、
消費税率引き上げ容認の見方は、「将来の年金が貰える年齢が引き上げられる、貰える金額が減らされる、年金保険は無駄払いで将来貰えなくなる」「財政破綻により国際的信用度は落ち、物価は上がり、貨幣価値が下がり、輸出入が不能になり、食糧確保さえ難しくなる」と考えるからである。
これを庶民の脳にインプットした政府による情報源が正しい場合とそうでない場合がある。この後者は、「晴耕雨読」ブログで展開されている「『日本の財政は危機的』はガセ」で示されている。
もし、政府による「年金財源がない」「日本の財政は危機的だ」という情報が真実であるとするなら、誰が無駄使いをしたのかを問わなければならない。
戦後一貫して使われてきた無駄な公共事業、第三セクターと称する無駄使い、地方公共団体による各地の土地の買い貯めによる無駄使い、官僚のための遊興施設や住宅という無駄使い、天下り先への無駄使い、警察の裏金作りへの無駄使い、グリーンピア破綻という年金財源の無駄使い、等々の果たした要因がかなりあるのではないか。強固な官僚制度、それに寄り添ってきた政府、そしてまた、それにへばり付き自分達に利益をもたらす法案と無駄使いをさせてきた大企業がそこにある。それも長期にわたって。だから、ここに係わってきた人達からの返済を要求し、その責任を追及すべきである。
その上で、借金返済を考えようではないか。
ただし、応分の負担を算出すべきである。
負担の中で、先ず考える必要があるのは法人税である。統計資料によると、法人税収は一般会計税収の20%以上あり、この占める役割は大きい。バブル直前までは30%前後あったが、バブル崩壊後は20%前半まで落ち込んでいる。ところが、このおよそ20年間で法人税率を急減させ、この状況を作り上げた。もし、法人税率を下げなければ、一般会計税収の30%前後になる。結局、バブルによる景気低迷の影響は大手企業に小さく、中堅企業や零細・中小企業に大きかったことを示している。それだけ、大企業のために法人税率の急減は実行されたと論理付けることができる。
法人税率の推移は1987年43.3%、1988年42.0% 、1989年40.0%、1990年37.5%、 1998年34.5%、 1999年以降30.0%と変化した。
それに対して、
法人税収の推移は
バブル直前の1987年 2002年 変化
15.8兆円 11.2兆円 マイナス4.6兆円
となり、これを単純に法人税率に変化がなかったとして算出すると、
バブル直前の1987年 2002年 変化
15.8兆円 16.2兆円 プラス0.4兆円
ということになり、毎年5兆円(4.6+0.4)が増収となる。およそ20年で100兆円の税収となり、借金の10%は減ることになる。
これに対して、法人税率の縮減によって、この恩恵に被っている企業は大企業だけではなく中小・零細企業にも及び、そこで働く人達にもこの恩恵に与っている、とする意見もある。
しかし、待ってもらいたい。松原隆一郎『分断される経済』(NHKブックス2005)で次のことを論証している。2003年の世帯当たりの可処分所得と消費支出の伸びには、世帯主が勤務する企業の規模によって著しい格差が生じていることを説明している。
中小零細企業 中堅企業 大企業
(従業員30人以下)(従業員500人未満)(従業員500人以上)
マイナス3.8% マイナス2.0% プラス7.6%
松原氏は各世帯の貯蓄率の減少統計と合わせて、各世帯の家計の中身として「ともに資産を取り崩しているにせよ、高額商品や住宅を購入しているのが大企業の従業員であり、それ以下の企業に勤める者は消費を減らしても予算が不足しているという構図である」(P.40)と格差が拡大していることを述べている。
要するに、利益が大きく出ている大企業の従業員にはその法人税率のオコボレが来るが、それ以下の企業では利益そのものが殆どなく、そのオコボレも従業員には行かない構造があると言える。
よって、法人税率の縮減は大手企業のための政府施策であることが明らかである。
このような中で、国の借金を皆で負担する消費税は数の多い下層から集めるためのシステムであることが分かる。例え、「晴耕雨読」ブログを否定しても、政府のダマシには変わりはない。「消費税率・引き上げ容認48%」の人たちの多くは、政府のダマシに乗せられたことになる。胸を張って消費税引き上げ賛成と言える人は、下層から吸い取ることによって社会的利益に預かれる品格のない人達であろう。
「経済格差」の拡大を消費税率upで、一層拡大することになる。お金の受取は平等ではないのに、支払は平等な社会、
そんな社会と関係性を私たちは持っている。

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