世の中24時間動いている。昼夜を問わず働いている人がいる。勿論、遊んでいる人もいる。言われなくても分かっていた筈であった。しかし、ブログに係わっていると、コメント等の反応時間も真夜中にまで至っていることを知る。
35年以上前の学部学生時代に、ゼミで私は“朝の通学電車を待っていると、コップ酒を飲んでいるオヤジによく会う”と言うと、教授は“お前達が寝ている時に働いている人がいて、所謂、晩酌を朝しているのだ”と言われ、そんなことも知らずに口にしたことを恥じた経験がある。
IT技術の進展によって、取引に時間的幅が生まれ、取引形態にまで変化を与えている。新たに雑誌やダイレクトメールによる販売形態が増えるに従って、固定電話やファックスの普及によってアナログ的テレビショッピングが隆盛してきた。店舗販売に新たな流通経路が加わった。そして今、パソコンや携帯電話の普及によってネットショッピングや時間内のネット株取引が増加し、ネットでの取引がかなり一般化してきている。
外貨の為替取引は原則として365日24時間休みなく行われ、東京市場、ロンドン市場、ニューヨーク市場を駆け回る。一般に、証拠金取引といい、この取引を行う企業に預けた金額のおよそ10倍の取引を認め、最低取引ユニットは1万ドルや1万ユーロであるため、クリック1回で少なくても100万円以上が動く。速度の速さと金額の大きさによって、破綻する個人も多く見られる。
そしてまた、株の夜間取引所が金融庁によって認可された(日経朝刊7月12日付け)。「私設取引システム(PTS)といわれ、夜間に売買注文を受け付け処理する」。
以上の事柄から、かなりの割合で商品売買がデジタル化されてきていると誰でも見ることができる。私自身でさえ、素材輸入に向けての支払外貨が必要で、ネットでの為替取引で胃が痛くなる毎日を送っている。このように、ブログを打っている最中も、複数のウィンド画面に米ドルやユーロの対円レートが引っ切り無しに上下している。
このような
デジタル化は、消費者の生活を大きく変え、時間的にも空間的にも目に見える商品や感じる商品への選好さえも変えさせてはいないだろうか。ショッピングを通じて、目で感じ、肌で感じ、店員との会話で感じる場面が減り、パソコンを通じて、写真・絵・文章・カラフルな飾りから感じる場面が増えている。
将来は、ショッピングはその商品の確認のためにあり、実際の買い物はネットを通じてカードで行われる、と考えても不思議ではない。国政選挙や地方選挙でさえ、道路を走り回る選挙がなくなり、握手で接点を持とうとする候補者もなくなり、ネット上で政見放送が行われる場合さえ直ぐそこに近付いているような気がする。
それでも、人のぬくもりを求めて繁華街に出掛け知り合いと会い、会話し、ウインドショッピングの中でフッと小物を買う場合もないとは言えない。
消費者の感じ方の大きな変化は、製造業者の製品作りに大きな影響を与える。旧来からのマーケティングによって解析できない現象がここに表れてきている。
日経朝刊に「消費をつかむ」(6月23日付け)という記事が載った。
三菱の軽乗用車「i」のアンケート調査と綿密なマーケティングによって、販売ターゲットを20〜30歳代の女性に置いた。しかし、購入者の7割弱が男性で、63%が40歳以上であった。「『年齢』『性別』といった作り手の先入観を軽々と飛び越え、自分なりの価値観で商品を選ぶ消費者。従来型の方程式ではつかめない動きも出てきた」と解説している。
セブンイレブンの店頭で異変が起きた。売れなくなったチョコ菓子「ブラックサンダー」の販売中止が決まった。しかし、それを聞きつけた消費者はまとめ買いをし、「これをきっかけに販売中止を撤回」した。販売データ主義が崩れてきている。「隠れたヒットの芽も摘まれていく」に対抗した消費者行動がここにある。
また、「ロングテール現象」もこの記事の中で紹介している。「ネットはニッチな商品でも売り続けることができる」ため、死に筋商品がいつまでも徐々に売れ続けるという現象を起こす。
「作り手や売り手が与える商品を消費者は受け取るしかなかった。しかしいまの買い手はあふれる情報の海を泳ぎ、不規則に動く。データに頼った効率重視だけでは新たに生まれつつある鉱脈を見失う。現場の顧客の声に耳をすまし、机上のデータを疑う作業も必要」とこの日経記事をまとめている。
要するに、消費者の動向がデタラメになったことを意味しているのではない。
大きく社会構造や社会通信インフラが変化する中で、消費者の存在時間も存在空間も変化し、消費選好という商品への感性や買い手としての行動に影響を与えていると見ることができる。決して、平均的消費動向に抵抗した行動を取る消費者が生まれた訳ではない。
家族の人数が減少し、個の生き方が浸透し、人との係わりをネットに求め、ネットやテレビの宣伝に影響され、腹の足しにさえなればよい固形食物が売れ、野菜の持つ栄養の不足をテレビ番組から影響されて毎朝ジュースを飲み、まさに現代人の生活を追及している。そんな生活スタイルが浸透し続けている。
魚の生臭さを知らず、カラフルな野菜のサクサク感を知らず、自分で料理もせず、片手で食せるものしか口にしない、空いた時間はパソコンを覗く、等々の習慣は、従来からの消費者選好のデータと大きく離れていく。
このような時、市場と常に対話をする必要がある零細企業は、金融機関からの借入を減らし不良在庫を多く持てない分、消費者選好と動向に神経質にならざるを得ない。
大枠としての「経済格差」「将来不安」を前提とした消費者の生活パターンは、社会通信インフラにも深く影響され、
目・耳・鼻・指・肌の感覚が変化し、それが商品を買う選好・動向変化にまで至らせている。この振動する変化との
関係性を深めるのに、零細企業は
目・耳・鼻・指・肌の感覚を様々な人たちとの係わりを通して養わなければならない。

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