今朝、海外から帰ってきた。
皆様には大変迷惑をお掛けしたと思います。特に、「
ビジネス業界と学会に『妖怪』が現れた(1)(2)」の長文の分かり難さを提示したまま、出張をしてしまったことをお許しください。この件に関したは、追って徐々に、社会の格差、大企業連携が作る格差、中小零細企業の連携による経済格差への抵抗、大学というエセ研究機関での利権の横暴、若手研究者の実態と提携することによる旧体制への抵抗、・・を解説することになると思います。週刊誌的曝露をこのブログで行うつもりはありません。ですから、丁寧に、時間を掛けて述べて行きたいと考えています。
ところで、2年前の私の入院生活での体験が、今回の商用海外旅行での体験と重なりました。これをここで是非皆さんに伝えたくなりました。
商用であるから、その中での獲得物は当然あるのですが、ビジネスを超えた機内での会話やレストランでの邦人同士の会話によって、日本の内部が覗えてきました。
@2年前腰を痛め、1ヶ月ほど私は入院した。食事も風呂も看護士に対しても満足した時間経過で、それなりの治療を終えました。ところが、私は毎日の会社との携帯電話連絡によって、仕入れ・売り上げについての確認をするため、病院入口に出て来た時、この病院の入り口でモジモジしている60代男性(A氏)が、突然、私に質問をして来ました。
“あなたは何人部屋に入院しているんですか?”
“4人部屋です”と応えた。
“それじゃあ、
差額ベッド代を毎日5250円払っているんですね。そうじゃないと、ベッドは用意されませよね。私は6人〜10人部屋の
差額ベッド代なしを待っているんですが、2,3ヶ月先でないと空かないと言われました”
と言いながら悔しそうに去って行きました。
その時、私がそんなこと言われる筋合いじゃあない、と思いました。
そして、今回の海外旅行中での邦人旅行者(B氏、C氏)との会話(日本の医療費が上がっている)で新たな発見があり、2年前の事件(恥ずかしさ)を思い出した。
AB氏(50代前半 中学教師)と私との会話(レストランで)
B氏:夏休みで、骨休めに来ました。普段病気もできませんから、ストレス解消には海外旅行は最高です。あなたは仕事ですか?仕事のほうが海外旅行は楽しいと聞きますよ。私たちより。
私:じゃあ、病気はしたこと無いのですか?
B氏:いや昨年、5日ばかり入院しました。学校の定期健診で大腸にポリープがあると言われたんですよ。そして、3つ取って良性でした。ほんとに滅多に病気もしませんので、ほんとにビックリしました。ガンだったらと思うと、生きた気がしませんでした。結果は2週間後に良性とでたので、ホッとしましたが、それならちょうど骨休めになるし、うるさいカアチャンから離れられるし、もっと入院すれば良かったと思いました。
私:でも良性で良かったですね。ところで、
差額ベッド代はどうでした?
B氏:
差額ベッド代は一日5千円ですが、生命保険で一日当り1万円もらえますから、毎日5千円ほど差額が貰えますから、少しでも長くいた方が特ですよね。
B氏:それにしても、最近の子供は勉強する気が無くて困りますよ。あの気力の無さで病気にさせられちゃいますわ。
BC氏(40代前半 元営業 1ヶ月間前にリストラで無職)と私との会話(飛行機の隣の席で)
C氏:海外で働いている友達と話して、結局これからどうしたらよいかヒントは見つかりませんでした。日本も外国も一緒ですね。
(彼の零細企業の営業職解雇の理由は、引き続く景気低迷は社員の人件費を削る以外に無く、家族だけの経営で細々と続けたい、という経営者の切望からだった。そして、1ヶ月分の退職金をもらって退社することにしたが、社会保険が使える内に病院に行くことだった。普段の仕事が車の運転と重い物を運ぶことが多かったため、痔病に悩んでいた。これを機会に痔の手術を行い、良い体調で再出発を願っていた。)
私:ところで、病院の
差額ベッド代は幾ら位掛かりましたか?
C氏:1日に6千円で、10日分6万円支払いました。社会保険料が使える間に急いで手術しました。結局、差額ベッド込みで14万円ほど払いました。
私:差額ベッド代無しの部屋は無かったのですか?
C氏:そのような部屋はあるようなことは言ってましたが、空くにはかなり時間が掛かると言われましたし、待つ余裕もありませんでしたから、直ぐ手術の体制に入りました。ですから、退院すると同時に、解雇になりました。
私:民間の生命保険には入っていなかったんですか。
C氏:私の収入で入れる訳がありません。ですから、入院保険金はどこからも出てきません。一か月分の退職金はこの病院代で飛びました。ですから、今回の海外旅行は親から借りてきました。
ここに登場するA氏、B氏、C氏の比較をしてみることにする。
年代 経済状態 医療費を補填する手立て
A氏60代 定年退職後・年金? なし
B氏50代 年収8百〜1千万円 生命保険
C氏40代 無職 なし
この3人との会話から、極めて余裕のあるB氏の発想には、誰でも生命保険位入っているだろうし、
差額ベッド代加算を入院の条件に入れる根拠はどこにも無いと考えている。ガンは恐ろしいが、
差額ベッド代は恐ろしく無いようだ。
A氏は辛い。病気の中身を今となっては聞く手立ては無いが、
差額ベッド代が前面に突き出ている。そして、これを乗り越える手立ては無い。ただただ、時間を掛けても病気が悪化しようともわき道を通って、
差額ベッド代を避けて通る道を選ぶ以外に手持ち札は無い。
B氏も辛い。しかし、A氏より若いこともあり、なけなしの金を使ってでも
差額ベッド代を払い、明日の新たな仕事に掛けようとする姿がある。しかし現時点でも闇は明けてない。
言うまでも無く、日本の「
経済格差」の中にこの3人はいる。
レストランでのB氏との会話はその後も続いた。
私:子供の知識格差や教育格差は、現場にいると感じますか?
B氏:父母会で個別面談すると、よく分かりますよ。ほぼ親と子供は一致します。特に、お金で毎日夫婦喧嘩している家庭の子は勉強をする気力が薄いです。言うまでも無く、塾へ行っているかどうかによって大きな学力格差は出ています。
機内でのC氏との会話はその後も続いた。
私:それで、これからどんな業種を選ぶんですか?
C氏:正規社員は全く無いと思いますので、どんな職種の非正規社員でも良いと思います。結婚も諦めていますから。
今まで、私は「経済格差」が深化している。それを統計的に説明もできると書いてきた。
しかし、ここに登場した3人は、用語としての「経済格差」を理解していないわけではない。A氏とC氏はこの格差の底辺にいることを自覚しているが、抜け出す手立てを一切持っていない。A氏に至っては私に“怨み”さえ抱いていたのかも知れない。
問題はB氏である。生徒の総体としての教室という実態を抱えて、「経済格差」を実感している筈が、極めて客観的で、いざ自分の問題になると、生命保険で補填できる
差額ベッド代に対して何の疑問も持たないし、誰でもそうしていると理解しているのである。
客観的に外から「経済格差」を見たとき、私たちはA氏、B氏、C氏のその「経済格差」内部での位置を予測することができる。しかし、B氏を見たとき、彼は「経済格差」の事実を客観的に認識しているが、格差の中の自分という立場に入ると、盲目になり、「経済格差」の外部に自らを置くことになる。要するに、格差の中での自らの位置すら理解できなくなる。ここに、社会生活ができていない社会人がいる。それも沢山いる。そして、このような人たちの存在が「経済格差」深化を容認している。
[
学歴という背広が歩いている人間]
他人の喜怒哀楽を感じない人たちが非常に多く、その人たちと私たちは関わっている。この
関係性を深め、心の融解をしなければ、「
経済格差」は他人事になってしまう。