小泉「構造改革」以後、庶民の生活は困窮し、「経済格差」が拡大した。ということは、
誰のための「構造改革」であったのかを見る必要がある。
小泉−竹中ラインによって、「経済活性化」のための税制が、石弘光氏(元一橋大学学長)を政府税制調査会の会長に据えて議論された。そして、法人減税と個人所得増税が実施された。
次の表は朝日新聞(8月15日付け朝刊)の検証構造改革から転載したものである。
法人課税 個人所得課税 主な改正内容
02 −242億円 −2億円
03 −1兆6661億円 +5804億円 研究開発・IT投資減税
04 −2588億円 +2190億円 老年者控除の廃止など
05 −220億円 +1兆6552億円 定率減税の縮小
06 +5465億円 +1兆4801億円 定率減税の廃止
計 −1兆4246億円 +3兆9345億円
この表で明かなように、企業優先が前面に出た税制であり、この負担を庶民に押付けたことを示している。しかし、「企業業績の回復で02年に過去最悪の5.4%を記録した完全失業率はいま4%台前半。とはいえ、定期給与の水準はここ4年でほとんど増えておらず、個人所得への恩恵は少ない」。それでも、「奥田氏の後を継いだ日本経団連の御手洗富士夫会長は『国際競争力を保てる水準にしてほしい』とさらに減税するように政府に訴えている」。
御手洗氏の意向をこれからも受け容れるには、より大きな負担を庶民に課すことになる。
小泉内閣による01年の「
骨太の方針」で「
5年間で530万人の雇用創出」
を謳ったが、実際には100万人の雇用しか増やせなかった。目標に対して5分の1であった。この雇用数の中身は正社員数の減少と非正社員数の急増によって、総合計として100万人の雇用が増えた訳である。
まさに、“
ワークシェアリングに成功した事例である”と、政府関係者はきっと言うだろう。非正社員を増やすことにより社会保険等の負担を企業は削減しながら、「
企業収益、最高を更新」朝日新聞(9月4日付け夕刊)した。
財務省の05年の法人企業統計調査で、全産業の売上高前年比6.2%増、経常利益は同15.6%増であった。
売上は3年連続、経常利益は4年連続で増加し、いずれもバブル期を上回る過去最高であった。これに対して、全従業員(正社員+非正社員)
給与は0.5%減の一人当たり年収が351万円となり、3年連続のマイナスであった。
「ワークシェアリング」による効果は、収入の多い人から収入がゼロの人への給与の移転によって雇用増を図れることであるが、同時に、収入の多い人の労働時間も減少してゼロの人に移転することになる。明らかに、企業収益悪化の中で、皆で労働時間も給与も分け合うことである。
しかし、上記で示したように、収益がバブル期を上回って増加しているという事実からは、「ワークシェアリング」の思想は出て来ない。収益増加と対応して雇用増が起き、労働条件の質的悪化と結び付く筈がない。ところが、労働時間は減らず、賃金だけは下がり、新たに働き場を得ても不安定な非正社員(パート、アルバイト、契約社員、派遣、請負労働者)である。不況を利用して労働待遇を悪化させ、企業に収益を与えた「構造改革」の成果がここにある。
給与収入者の下層を増やすことにより、給与の平均値を下げることができる。非正社員(パート、アルバイト、契約社員、派遣、請負労働者)を増加させたことにより、これを成功させた。
小泉「構造改革」により、法人課税の減税を実施し、この減税分と税収の減少を個人所得課税の増税で賄ってきた。それに加えて、非正社員(パート、アルバイト、契約社員、派遣、請負労働者)の増加が企業収益を助けた構造である。
企業収益を上げるために、全てのしわ寄せを下層に、そして、下層の増加に結び付けた政策である。「経済格差」を生み出す思想がここにある。
企業の従業員の殆どは常に
企業の収益悪化と関係性を持ち、
収益増加とは関係性がない。それに修正を加える筈の国家が企業の私利私欲を応援する。企業が儲かれば従業員も儲かるという仕組みはここにはない。
あなたはこんな国家の国民になりますか。この話は仮想やおとぎ話ではありません。貧困率でアメリカに次ぐ2位で企業収益最高の日本の話です。