どのように官僚・政府が御用学者を使って「格差」はないと言い張っても、現実に身の回りでこの「格差」は様々な打撃を庶民に行使している。平然と「競争原理」は重要と言うことによって「格差」に耐えろと言いたいようである。
朝日新聞(8月18日付け夕刊)は、30〜40代結婚しない男の理由を
「『相手』『経済』恵まれず」という見出しで掲載した。結婚情報会社(オーエムエムジー社)の1200人ネット調査を発表したものである。
これによると、未婚理由がきままなシングル生活を楽しむためではなく、「適当な相手がいない」「経済的なゆとりがない」が高かった。そして、結婚の意志は72%の人たちがもっているが、その中の50%が生活費の不安をあげている。
朝日新聞(9月5日付け朝刊)に
「男性社員の不安 格差拡大」の見出しが掲載された。財団法人「社会経済生産性本部」の調査結果からの報告である。
先ず、98年を境に自殺者が2万人から3万人に急増し、00年からこの「不安」を訴える男性社員が急増している実態を示している。「理由もなく不安に襲われる」「不安なことが起りそうな気がする」というような「不安」を10点満点で数値化し、その標準偏差を計算している。これによって、調査対象140万人の大手企業に勤める男性社員の「不安」を感じる者と感じない者とのちらばりを見たものである。
統計上、「不安」を感じる実数は00年から増加した。これを、標準偏差(ちらばり)から見ると、「不安格差」が急激に広がっていることが分かる。
同本部は「金融ビッグバンや成果主義の導入など大きな社会制度の変化が背景にある」としている。この中には病気になれない(会社を休めない)不安や将来が見えない経済状況も隠されていると見るべきである。
日本経済新聞(9月14日付け朝刊)に
「生保 加入率低下」という記事が載った。
94年に世帯加入率がピーク(95.0%)であったが、JA共済、簡保、民間生命の全てが今年の調査で加入率が低下(87.5%)した。
医療費や入院費の負担増、年金への不安、家族の生活保障等々を考慮すれば、おのずと加入率がUPする筈であるのが、実態はその逆である。
契約者が「万一のときの家族の生活保障」を考える余裕はなくなっていると見るべきであろう。
以上3つの記事を並べて見ると、景気の良さはどこにあるのか、という疑問が湧いてくる。「経済格差」の拡大の中で、中層から下層にかけての30〜40代の男性が結婚からも見放され、中層から上層にいる筈の大手企業で「不安」を感じる男性社員が増え、この中では「不安格差」が拡大している。
そして、既に家庭を持っている世帯では生保を解約し始め、無駄を省き生活防衛へと進んでいる。
朝日新聞(9月20日付け朝刊)に大きな見出しで
「大企業 際立つ収益 家計 届かぬ『果実』」が載った。
ここでは、小泉政権5年5ヶ月の「経済と暮らしの指標」を見ている。これを分かり易く表(暦はそれぞれの調査時点で多少のズレはある)にすると次のようになる。
01年 06年 評価
日経平均 1万4000円 1万6000円 ○
税収 48兆円 49兆円 △
国債残高 392兆円 526兆円 ×
全産業の
経常利益 28兆円 52兆円 ○
銀行の
不良債権額 43兆円 13兆円 ○
定期給与
月額 28万5000円 27万4000円 △
非正規
雇用比率 27% 32% ×
(○:良くなった △:横ばい ×:悪化した)
この指標は端的に示している。日経平均が上がり、企業収益は急増し、銀行の不良債権額は急減して、記事見出しそのままの“大企業の収益が際立っている”と言える。
それに対して、国債残高が急増して国民一人当たりの借金は330万円から440万円へと増えた。そして、雇用条件が悪化し、非正規雇用率が上がっている。
言うまでもなく、大企業に対しては税金で優遇(企業収益が急増しているのに、税収は変わらない)し、低賃金労働者を増大させた成果が「大企業 際立つ収益」である。 そして、官僚・政府は政策として「経済格差」を拡大させ、国の借金負担だけを庶民に押付けていると見ることができる。
そこに登場するのが消費税論議である。官僚・政府は、国の借金を減らす努力を消費税に求めている。
しんぶん赤旗(8月16日付け)に
「消費税は『公平な税』?」が載った。
ここでは税率が5%として総務省「家計調査」(05年)のデータから算出している。要するに、消費金額に対して消費税が掛かるので、低所得者は貯蓄に回す部分がなく、全て消費に向ける以外にはないが、高所得者は圧倒的多くの比率を貯蓄に回すことができ、消費金額率はかなり低くなる。
片働き四人家族のサラリーマン世帯を年収ベースで分類している。
年収(万円) 〜300 〜400 〜500 700〜800 1500〜
消費税負担率 4.2% 3.3% 2.7% 2.4% 1.4%
「税の『公平』というには、その人の負担能力に応じて課税されているかどうかで決まります」とここでは説明している。明らかに、消費税は不公平であると言える。
以上の5つの記事から、
大企業の収益の増大に官僚・政府は血眼になり大成功を収めた。そして、そのツケを庶民に払わせる仕組みが「経済格差」「不安格差」の拡大として表れている。尚且つ、日本国家の赤字を「公平な」消費税として、その増税を日程に上らせようとしている。恐ろしいことに、格差の下層の人たちにその負担が大きく、「経済格差」「不安格差」の拡大は止め処ない方向に進もうとしている。
私達はこの官僚・政府が作り出した仕組みに否応なく
関係性を持たされている。ここから抜け出す方策を皆で考えないと、後のない下層の生きる道さえ無くなる。それも早急に。
(この記事中で用いている「官僚・政府」は、本来「政府」の中に「官僚」が入るが、「官僚」の悪行が背後のあることを確認する意味で使った)

0