「経済格差」の拡大の中で多数の被害者を作り出してきたが、このような中で自然を大事にし、安全食品を提供し、悩んでいる人たちと共に生き、省エネに熱中し、零細企業の下請け脱却と相互ネットワーク作りに邁進している人達がいる。
「地域に生きて 源流」(朝日新聞8月21日付け朝刊)で、「源流の自然や文化を生かした村づくりを進めるシンクタンクとして多摩川源流研究所を設立」したことを記事にしている。
山梨県小菅村は首都圏をうるおす多摩川の源流域にある。村の人口は減り続け、65歳以上が40%、平成の大合併からも取り残された。
少子対策で低家賃の村営住宅を25戸建設し、小学校の複式学級を避けて村単独で教師も雇った。役所の指標からは厳しい数字が並ぶ中で、地球温暖化など環境問題にいち早く着目して「多摩川源流研究所」に結びついた。
「多摩川源流研究所」ができてから村は活気を帯びている。
03年:「森林再生プロジェクト」(民有地のスギやヒノキの間伐や枝打ちを多くのボランティア、農大、森林組合職員によって行動)
04年:「多摩川源流自然再生協議会」(自然再生推進法を受けて、国交省、環境省、県、大学そして流域市民団体を交えて、森林再生、景観保全、食・芸能などの源流文化の復興に向けて動く)
研究所所長の中村文明氏(59)は「
森は木を育て、水を蓄え、空気をきれいにし、私たちの命を守ってくれています。きちんと森を育てることが川を守り、流域の故郷を守り、海を守ることにもつながります」と。そして、この夏は研究所が開く「源流体験教室」に近県の小中学生や市民グループなどから700人の申し込みを受けている。
「自然食レストランを開く」(朝日新聞8月28日付け朝刊)で、有機農法で米・野菜を育て、それを用いてレストランを営んでいる58歳と51歳の夫婦が福岡県直方市で10年頑張っている。
仕事で腰痛に悩み、有機野菜を食べればと30代後半から有機農法を始めた。だが、有機農法は効率が悪く、稲作では3割減の株数しか植えられない。これでは親子4人が食べていくには厳しいことから、農機具小屋を改装して「自然食レストラン」を開店した。中心街から離れた山腹という立地のため、最初は客がゼロという日があったが、2〜3年後に家族や友人を伴うリピーターが増えた。
米と新鮮野菜で調理し、素材そのもののおいしさを生かす調理法が「おいしい」を生んでいる。
しかし、昨年夏に夫が胆石と膵炎に苦しみ、農業もレストランも縮小せざるを得なくなった。そして、結論。
@営業日を週1日減らす
Aムースなどのイチゴ栽培を中止
B農作業を手伝ってくれる「援農ボランティア」の募集
「
喜んでくれる人の顔が浮かんで、ちょっと肩の荷を下ろそうと思った」と夫は語る。夫婦は今、秋の収穫が待ち遠しい。
「地域に生きて 命と心」(朝日新聞9月25日付け朝刊)で、「サロンで悩み共有」が掲載された。
都会の孤独な自殺も多いが、自殺率で秋田、青森、岩手の北東北3県がワースト3を占めている。山あいの過疎地に高齢者自殺が多い。「農村の空洞化」の進行が要因の一つで、「見捨てられた」という地域と人の絶望感が、引き金になりかねない。
秋田県最北端の藤里町に、町役場の裏にある「三世代交流館」ロビーでは、週1回のサロン「よってたもれ」が開かれている。町内の月宗寺住職(48)がコーヒーをいれて次々と訪れる町民と茶飲み話をしている。
同町の高齢者の自殺が多く、ここ15年で50人の自殺者を出している。
このサロンを中心に講演会や音楽会も催され、「自殺予防」に的を絞っている。茶飲み話の中で、つらい体験、苦しい思い、夫婦のあつれき、嫁姑の葛藤、老老介護のせつなさ等々を聞き、胸のつかえを吐き出させてあげる。
この住職は29歳のとき網膜剥離で左目の視力を失い、身体の機能をなくす悲しみを知り、「命」の問題に取り組み始めた。
自殺を「身内の恥」とする地域のタブーに対して「
自殺は恥などではない。苦しみや自殺を語ることは遺族のつらさを和らげ、地域に風穴を開け、自殺を減らすことにつながるはず」と住職は語る。
町内では04年に17年ぶりに自殺者ゼロとなった。そして、今は1人である。
「エコライフのすすめ」(日本経済新聞9月24日付け朝刊)が掲載された。
昨年2月に京都議定書が発効され、「地球温暖化防止が叫ばれる現在、省エネや自然エネルギーの利用を盛り込んだライフスタイルが注目されて」、具体的取り組みが実行されている。
福岡県宗像市の男性(61)は化学工場を退職した後、洞海湾の汚染を知って環境問題に目覚めて通信教育で地球環境学を学んだ。そして、自宅を改造しエコハウスをつくった。
断熱効果が高く、風通しの良い家屋を設計し、太陽光発電や風力発電機材を取り付け、庭には堆肥で野菜を育て、雨水集めのタンクから庭の散布・トイレ洗浄する設備を作った。
このような取り組みをする人たちが各地に現れている。
「
シニアの人は、定年をきっかけに家事や料理をしてほしい。自らやってみれば、いかに余計なゴミを出し、ムダな電力や水を使っているかがわかり、“もったいない”の意識も芽生えるはず。それに、体を動かし、省エネの工夫を頭で考えるようになって、ボケ防止にもなる」と、京都の「ひのでやエコライフ研究所」の所長が指摘する。
「脱下請け 町工場連合」(朝日新聞9月15日付け朝刊)では、東京都大田区の生き残った町工場の横の連携を取材したものである。
大田区の工場数は9190(83年)から5040(03)へと激減した。後継者難や取引先の海外移転がその要因である。製品出荷、加工、修理費などの総額は1兆7900億円(90)から7900億円(03)へと急減している。
従業員が3人以下の町工場が全体の5割、9人以下が8割を占めていて、金型や試作品をつくるなど、難度の高い加工技術を持つ熟練工が多い。そこに「オオタコレクションネットワーク(オタコレネット)」が発ちあがり、今秋から本格的に動き出す。切削加工、メッキ処理、金型製作などのおよそ90社が連携した。
大企業の下請けが殆どであった大田の町工場は、90年代後半から仕事が急速に減り、それに対応する行動が「オタコレネット」であり、ネット上で参加企業の製品を販売することから始める。
01年から販売されている「まるみ君」(建設機械などの使われる油圧配管の「継ぎ手」にまるみを付けて、工程数を半分にゴミ量も4分の1以下に減らした)は昔なじみの加工屋さんたちの助け合いによって生産・販売量が増す成果を上げている。
このような連携は、技術力とコスト減によって、ネットを広げる意欲と気迫を作り出している。
以上、5つの記事から様々な地域での生き方を見せてもらった。この「格差社会」の中で、ただただ打ちのめされていないで、それぞれのできる範囲で、勇気を与え合うことの大事さがあると思う。
能動的行動が紙面から伺えるが、同時に、受動的にそれを受け容れる人たちがいて成り立っている。この双方向の行動が勇気を与え合うということになるのでは。
そして、その中身は仲間意識と環境にあるようだ。
このような
関係性がもっともっと重要になる。それが
「格差社会」の拡大を抑える力になったらと願う。

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