2002年2月から始まった景気拡大は今月10月で戦後最長の「いざなぎ景気」(1965−70)に並んだ・・・らしい。
日本の好調な経済は、輸出で前年比10〜20%、海外所得は20〜30%の高い伸び率が続いていることによる。そして、これを牽引しているのは、自動車、産業機械(建設機械、工作機械)、化学品(プラスチック)、鉄鋼製品、半導体・液晶材料である。部品供給は中国の安い労働力を用いて製品価格の圧縮にも成功している。
10月13日付けの朝日新聞・日本経済新聞・しんぶん赤旗に一斉に「いざなぎ景気」に並ぶ景気拡大が載った。
朝日新聞の資料で、今回、いざなぎ景気、バブル景気の比較をしている。
(企業) 今回 いざなぎ バブル
実質国内総生産 年2.4% 年11.5% 年5.4%
企業の経常利益 年10.8% 年30.2% 年12.1%
(家計・雇用)
消費者物価 −0.4% +27.4% +8.5%
個人消費 年1.7% 年9.6% 年4.4%
定期給与 −0.85% +79.2% +12.1%
パート比率 21.5% ―― 11.1%
完全失業率 4.0〜5.5% 1.0〜1.6% 2.0〜3.1%
日本経済新聞によると、景気拡大は消費が主役にならず、円安と輸出が牽引した、と述べている。要するに、企業独自の努力によってこの良好な景気を作り、消費者はこの景気の後押しをしていないことを述べている。そして、御用エコノミスト5人の景気拡大予想を発表し、最長2009年まで成長が続くと説明している。庶民を捨て去った大企業本位の論評である。
朝日新聞によると、企業の経常利益がバブル景気に迫り、日銀の低金利政策の恩恵を受けている。家計利息収入が減る中で、「企業は95年から10年間に、借金の利払い負担が21兆8千億円分減る恩恵を受けた」と、説明している。同時に、これによる円安誘導に成功し、輸出による業績回復を後押しした。
IT投資減税や研究開発減税などで、政府は企業負担を軽減し、業績回復を支えた。
しんぶん赤旗は、山家悠紀夫氏(「暮らしと経済研究室」主宰)の「『実感なし』は当然」を載せた。
この景気回復局面に対して、庶民のくらしがどうなったかを解説している。
・民間企業に勤める2005年の給与平均は前年より2万円減った。
・正社員が減り、非正規社員(パート、派遣)に置き換えられた。
・個人消費がパッとしない。小売や宿泊は最近また悪くなっている。
「大企業は、もうけをため込み、中小企業や従業員に還元しようとしません。もともと、大企業のもうけ自身が『リストラ効果』と『輸出頼み』といわれるように、賃金をはじめコストを削減することによって生み出されています。これを制度や税金で支えてきたのが小泉『改革』」と述べている。
この三つの記事から、それぞれの新聞が何処に基盤を置いて述べているかが明らかである。
大手企業の偽装請負問題は蔓延し、景気拡大のために貢献した。庶民はイジメられ、その内、政府によって「偽装」を「合法化」すると思われる。
資本主義社会である限り、企業は経費を削減し収益を最大化しようとする。そして、新自由主義はそれを過度に進めてきた。
そのために、一方で、政府の援助を背景に正規労働者を非正規にすることによる経費削減を勝ち取り、他方で、法人税率の縮小によって企業優遇を政府にさせる。大企業の収益と政府の施策はガッチリと結び付いている。この結合が「いざなぎ景気」を超える景気拡大と貧困率2位を作り出したと見るべきである。
結局、政府そのものを変えない限り、下層の庶民は増え、法人税の削減分を消費税に求めることよって下層イジメを続けさすことになる。
このままでは一層「格差」は拡大し、家計も教育も病気も・・拡大し続けることになる。
それでも
「衆院補選 自民2勝」(日本経済新聞10月23日付け朝刊)の見出しが躍っている。自民党・公明党候補を喜ばした有権者は誰なのか。「貧困化」も「格差」も政治と関係ないと庶民は思っているだろうか。
私は
9月8日のブログ記事「誰のための『構造改革』だったのか」で、「
企業の従業員の殆どは常に企業の収益悪化と関係性を持ち、収益増加とは関係性がない。それに修正を加える筈の国家が企業の私利私欲を応援する。企業が儲かれば従業員も儲かるという仕組みはここにはない」と述べた。
景気後退期には庶民の生活はヒーヒー言い、景気拡大期には庶民の生活はズタズタにされることを知った。

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