ラゾーナ川崎プラザが9月28日に開業した。東芝不動産と三井不動産が事業主で、約72,000m2(東京ドームの1.5倍)の商業施設である。
川崎駅から直結した西口施設で、駐車場約2,000台、駐輪場約3,200台、287店舗に10スクリーンのある映画館を擁している。地理的にも品川駅と横浜駅のちょうど中間点にあり、それぞれからJRで10分程度と近い。
ここ1ヶ月は渋谷や新宿並の混雑で、休日は駐車場待ちが3時間という。しかし、川崎駅の駅ビル・BEや地下街・アゼリアそして東口の丸井ビル、チネチッタ、ダイス、リバーク、さいか屋等々という商業施設が十分あり、まさに川崎駅を挟んで東西の客の争奪戦である。
土日はラゾーナ周辺の道路は車と歩行者でごった返し、交通整理の高齢者(70歳前後?)のおじさんたちが周辺は勿論のこと、かなり離れた地域にまで出張して交通整理や駐車場待ち時間の看板を持って働いている。周辺地域やお客から苦情が出ないように、東口との競争に勝てるように、パートの高齢者が動員されているようだ。
ラゾーナ施設内部の人の動きよりも、外の高齢者のアルバイトに私は眼が行く。キビキビした動きで、休まず手や旗を動かしている。私がこの年齢になったとき、このように働けるかどうか不安である。働く理由はともかく、病弱な年寄りには決してできない仕事である。
「パート1千万人の素顔1〜5」(朝日新聞8月10日〜9月4日付け夕刊)の中で、正社員とパートの「身分格差」問題、労組加入問題、パートの社員並み戦力化問題が報じられている中で、高齢者やその予備軍のパートの内実も紹介されている。
大竹友彦さん(69)はコンビニの「ローソン大宮高木店」で午後11時から午前7時まで週3日時給875円(深夜割り増し)で働いている。
30代まで大手スーパーの店長を務め、その後に市内で妻と居酒屋を始めた。しかしここ数年、客足が落ち、年金不加入を補うためにも外で稼がなければならない。居酒屋の閉店後に自転車でコンビニに直行するため、寝る時間は3〜4時間で「丈夫がとりえ」という。
コンビニに加え、外食チェーンの「モスバーガー」も高齢者を積極的に活用している。
事業主がパート労働者を雇用する主な理由は、上位から3つ示すと次のようになる。
1.人件費が割安だから
2.1日の忙しい時間帯に対処するため
3.業務が増加したから
この資料は年齢で分けたものではない。高齢者に限定すると、上記の大竹友彦さん(69)の例にもあるように、高齢者は深夜労働や土日等の若者が嫌がる休日に重点的に雇われる場合が多いのではないかと予測できる。事実、私が普段利用している東京のガソリンスタンドでも、土日や深夜は高齢者のパートが働いている。“今の若者が嫌がる時間帯は私達に回るんでるよ”とこれを裏付ける。
また、高齢者だけの世帯が増え、コンビニは宅配受付や税金納付代行も行い、高齢者にとって便利である。ここで買い物する高齢者も増加し、それに対応するパートも高齢者の方が気持ちが通じるのかもしれない。
他方で、本来なら高齢者予備軍とは思われない年齢にもかかわらず、“保険料を払っている国民年金だけで老後は足りるのだろうか”“独身女性が互いに支え合う共同住宅が伊豆にあるらしい”“年金への不安からもっといい賃金や条件も探さないと”“正社員の半額で、「身分格差」も感じる”という不安を抱えている。
そして、正社員への登用を期待して正社員並に働くパートも多い。「身分格差」は“パートを軽く扱う風潮の中で、一緒に頑張ろうと都合よく言われる”
イトーヨーカ堂藤沢店のパートで、週5日働く杉山祐子さん(35)は、「社内ライセンス」制度で最高の1級の認定がされている。この認定によって、同僚にも指導できる立場になり、若干の時給が上乗せになった。
“登用と昇給は関係がない”“パートの戦力化だけが先走り、見合った人事制度はない”“解雇し易い正社員が増えただけで、形だけの戦力化”と。
「正社員的パート」の賃金(基本給)の正社員との違い(事業主回答)は次のようになっている。
1.39.8% 正社員と同じパートはいない
2.18.7% ほとんどのパートは正社員と異なる
3.10.7% 一部のパートは正社員と異なる
以上の事態に対して、会社の労組への加入もするが結局頼れないことを知り、個人加入の労組の力を借りて会社と交渉するしかない。
以上の実態から、単に好き好んでパートをしている訳ではない。そこには生きる意欲を根底に持った行動である。将来不安とやりがいを求めてパートを選ぶが、そのやりがいを打ち消す企業の行動がある。
このような実態を平然と認める政府の施策が根底にあり、パートを軽視する企業を応援している。そして最近では、大手製造業による「偽装請負」や「偽装出向」が表面化し、パートに限らない非正規雇用への圧力も増している。働き手が軽視され、生活保護も年金も縮み、憲法25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」を守ろうとしない政府の下では起こるべくして起きている現状である。
しかし、政府と大企業は連携して、この「偽装請負」「偽装出向」の問題を問題化させない法律を作り出そうとするだろうし、その延長上には反憲法25条が存在する。要するに、この「偽装」問題と憲法改悪を切り離してはならない。
より一層、ブログ間の
関係性を強めて、非正規社員への「生活下方圧力」「いじめ」「差別」を止めさせる方法を議論しなければならない。