以前のブログで「円安と景気回復・経済成長は誰のため?(上)(下)」を掲載した。この中で、「円安誘導」は政府が大量の税金を使って外貨買いを行った成果であることを述べた。 他方で、ここ数年に銀行の「外貨預金」や「投資信託」への誘いが庶民に襲いかかった。そして、昨年の郵政民営化によって、郵便局も「外貨預金」や「投資信託」への誘いを行い、金融機関の利益を押し上げた。
政府の「円安誘導」問題と金融機関の「外貨預金」や「投資信託」の両者がどのように係わっているのか、それを見ていく。
上記ブログへのコメントから紹介する(一部修正)。
panta:morichanさん、おはようございます。
いつも、TBありがとうございます。私のところに来てくれる銀行の方も、先日来られた郵便局の方も妙に投資信託や、外貨預金を勧めるので違和感を持っていたのですが、そういうことだったのですね。あの話しぶりではお年寄りは簡単に虎の子の預金をそっちに回してしまうなと感じたのを思い出しました。
pantaさんのブログは「権力に迎合したマスコミ人を忘れるな」である。
http://panta.tea-nifty.com/blog/
morichan:pantaさん
いつもお世話になっています。
銀行や郵便局が勧める「投資信託」や「外貨預金」が結局、政府と大企業の結託を庶民のお金で後押ししている構図が見えてきます。彼らの魂胆という網に引っ掛けられないように注意しなければなりません。
もしかすると、「郵政民営化」はこれのためにあったのではないかとも思えます。
pantaさんのコメントから、次回はこの問題を記事にします。pantaさんのコメントも利用させて頂きますので、宜しくお願い致します。
pantaさんのコメントがヒントになり、今回の記事を書くことにした。
ウィキペディアは、投資信託を「多数の投資家が資産運用会社に資金を預け、資産運用会社がその資金を株式や債券、金融派生商品などの金融資産、あるいは不動産などに投資し、その運用で得た利益を投資家に分配する金融商品」と説明し、「当然ながら、運用が招いた損失も投資家が負担することになる」と付け加えている。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8
当然ここには資金投入が外国商品の売買にも入り込み、外為による円ドルや円ユーロのレートに大きな影響を与え、資金回収するときも「円高」や「円安」の影響下にある。
「二重通貨預金 高金利だが為替差損も」(朝日新聞11月3日付け朝刊)で、「一部の大手銀行(注)が最近、通常の定期預金より高金利だが、為替動向次第では元本を外貨で受け取る新型の定期預金の個人向け販売に力を入れている。預金者は、円安になっても為替差益を得られない一方、円高が進むと差損が広がり、円換算では元本割れする可能性が高い」と、説明している。
この仕組みは、各大手銀行によって若干の違いはあるが、三井住友銀の場合で説明している。
(例)現在1ドル=100円であったとする。
このとき、1ドル=98円で100万円の予約をする。
この98円を基準に円安と円高によって、3ヵ月後の受取額が変わる仕組みである。
円安:3ヵ月後に1ドル=105円の場合
元本の100万円+年利2%で税引後の4000円
円高:3ヵ月後に1ドル=95円の場合
1ドルが98円でドルに換金(101204.08ドル)され、これを円に戻すと、101204.08×95=969388円となる。
ゆえに、5円の円安で4000円の利益であるが、5円の円高で30612円の損失となる。
消費者に損を押付け、その分、銀行が利益を上げる仕組みである。消費者をギャンブルに引き摺り込んでいる。
(注)一部の大手銀行ではなく、ほとんどである。新聞では、三井住友、新生、住友信託、三菱東京UFJ、みずほ、りそなを例に取り上げている。
「郵便局投信 増える苦情」(朝日新聞10月6日付け朝刊)を読んで、郵政民営化できっとやるぞ、と思っていたことである。
銀行による投資信託の利益は膨大になり、それを追うように郵便局も収益を求めて動き出した。郵便局の投資信託は9月末で3600億円の残高がある。今年の投信販売目標は5400億円である。
この陰で、ノルマに追われる営業局員がいて、その餌食になる年寄りがいることは、誰の眼から見ても明らかである。
「投資信託は値下がりすることはないと説明された」
「ノルマがあるから買ってほしいと勧められた」
「75歳の母親が投信を購入したが、元本保証だと思っている」
「国債購入のために郵便局員を呼んだのに、無理やり投資信託を買わされ、値下がりしてしまった」
郵便局を「国営で安心」と思っている年寄りから老後資金や大事な小銭を吸い上げ、尚且つ、リスクの大きいギャンブルであることを説明していない。
みずほ銀行は、預金者の大半が同行に5千万円以上預金をしている人たちに投信を売り、リスクを許容できる富裕層に限っていると説明している(11月3日付け朝日新聞)。“金があるんだから少しはこっちにも回せよ!”“負けたところで大したことではないだろ”と言っているように聞こえるし、リスクがかなり大きいことを吐露している。
ある大手Y銀行の支店長や担当営業マンと融資で話し合いを持つ度に言われることとよく似ている。“社長のところの利益を少しはこちらにも回してくださいよ。金利を抑えないで、少し高めで借りても大丈夫でしょう。それに節税にもなりますよ。”零細企業の収益をかすめとる気持ち悪い上場企業のあり方を示している。
「銀行の信頼『低下』5割超」(日本経済新聞11月2日付け朝刊)が載った。全国銀行協会のアンケート調査である。大手銀行が過去最高の収益をあげているのに、利用者に見返りがない、という内容である。
具体的には、・預金金利を上げよ ・営業時間を延長せよ ・窓口での待ち時間を短縮せよ、等々である。
しかし、この記事には載らないが、低金利時代を利用して「外貨預金」や「投資信託」で預金者からむしり取る行動への不満があると思える。公的資金を投入し、尚且つ、大手銀行過去最高の収益を見たとき、大きなギャップをここに感じると思う。
「銀行と顧客のギャップ」(関係性ブログ06年5月25日付け)でも書いてきたことであるが、中小・零細企業の経営者もそこの社員やパートも感じているギャップである。
以上の記事からも分かるように、「外貨預金」や「投資信託」によってこれを推し進める銀行や郵便局は胴元となり、ギャンブルを国家のお墨付きで、庶民を勧誘する行動であることが理解できる。それも、決してギャンブルと説明せずに。年寄りの明日の大事なお金にまで公然と手を出す仕組が横行している。
結果的には、「投資信託」という形態をとる外貨買いとほとんど結び付き、政府と大手企業の癒着のための「円安」を下支えしている。
「円安と景気回復・経済成長は誰のため?(上)(下)」(関係性ブログ06年11月11日・15日付け)で示した税金投入による「円安誘導」は、庶民の大事な預金にまで手を出し、金融機関に収益を与えながらこの「円安誘導」の手助けを実行している(注)。
(注)ただし「円安誘導」は海外市場が好調のときしか意味がない。最近言われだしたアメリカの景気後退は、政府の「円安誘導」を今以上に強めるのか、「円安誘導」を止めるのかが問われ始めるだろう。これも近々、記事にしたい。
「経済格差の拡大」によって、「円安誘導」にも利用できない底辺に移動させられた庶民を捨て去り、中層の庶民に手を出す行動がこの「外貨預金」や「投資信託」である。結果として、このギャンブルは中層を下層へと押し下げることとなる。
そして新自由主義者が喜ぶ「格差拡大」は徹底し、ほんの一部の金持ち層は廃れた日本から出て行き、借金だらけの日本を愛する海外にも逃げ出せない下層の庶民だけが残される。
何と「美しい国日本」であろうか。私だってこんな「美しい国日本」と
関係性は持ちたくない。しかし、逃げ出せない下層である。まだ間に合う。何から手を出すか、皆で考えよう。相手の組織力(政府−大手製造業−金融機関−自民党−公明党)は堅固である。力を蓄えなければ勝てない。最低限の健康的で文化的な生活を確立するために。だから、目先の政権交代ではない。「美しい国日本」にさせない政権交代である。