2017/8/16

学校建設に絡む補助金詐欺を追及しないメディア・・・これこそが聖域なのだろう  時事/金融危機
 

■ 内閣改造後、加計学園問題の報道が激減した? ■

内閣改造後にメディアの加計学園問題の報道が明らかに減っています。これだけを見ると、森友問題、加計学園問題を仕掛けたのは自民党内の反安倍勢力の様に見えます。

特に岸田派(宏池会)からの、林芳正文部科学相、小野寺五典防衛相、上川陽子法相、松山政司氏1億総活躍担当相ら4人が入閣が目を引きます。

池田勇人が創設した宏池会は官僚出身者が多く、自民党内では田中派と福田派の対立が激化すると、宏池会から総裁を選出してバランスを取ることが度々ありました。以前は麻生太郎氏や故河野洋平氏も属していました。河野洋平氏や谷垣禎一氏など自民党が下野している時期の総裁も何故か宏池会出身者。

一方で麻生派からの入閣は三人だけ。河野太郎氏の外相起用が目を引きますが、麻生氏としては不満が残る結果かもしれません。森友学園事件の際に麻生氏の腹心の鴻池祥肇氏が「無礼者」発言で注目を集めましたが、森友学園は財務省の起こした問題なので、避難の矛先は麻生蔵相に向かっても不思議ではありません。国会では麻生氏も度々答弁に立たされていましたが、報道の矛先は安倍首相に向かっていた・・・。

「安倍の次は麻生」などと予想されていた安倍政権後の総裁ですが、ここに来て、岸田氏の存在が目立って来た感があります。稲田氏が辞任した後をワンポイントで引き継いだのも岸田氏でした。

ちょっと穿った見方をすると、麻生氏が森友、加計問題を仕掛け、安倍氏と距離を取り始めたので、岸田派(宏池会)の閣僚起用を増やしてそれに対抗した・・・そんな風にも見えます。

■ 追及すべきは「補助金詐欺」なのに・・それを見過ごすマスゴミ ■

加計学園問題では、獣医学部の設計図が流出しており、それを元に見積もると建築費の坪単価は70〜80万円程度(鉄骨造の平均的な坪単価)で、加計学園が補助金給付の為に今治市に提出した坪単価150万円は二倍近く水増しされています。今治市と愛媛県は建築費の半額を補助金で補う事を決めていますから、これは森友問題と同類の補助金詐欺です。規模は森友学園の比ではありません。

日刊ゲンダイや週刊誌が記事にしていますが、大手マスコミはこの「決定的な証拠」を報道していません。これは完全に詐欺事件で刑事訴追が可能です。


野党も「安倍首相が今治市が特区にエントリーした時点で加計学園が候補である事を知っていたか?」などという立証の難しいく、仮に立証出来たとしてもあまり世間にアピールしない問題に頓着するのでは無く、「大学に対する補助金(税金)が、詐欺によって私学に掠め取られている」という事件の本質を突くべきなのです。

民主党も設計図を入手したらしく国会で追及しているようですが、「炭疽菌などを扱う施設が本当にあるのか」という点を問題視しており、誰にでも分かり易い「補助金詐欺」をあえて論点とする事を避けている様に思えます。

加計学園問題、もしかすると、現代の文教行政、特に私学誘致に絡む「ごくありふれた不正」を白日の下にさらしてしまうと、困る学校法人や自治体、そして与党・野党を問わず困る政治家が沢山居るのでは無いか。

実は学校建設利権は暗黙の了解の元、大手メディアは「アンタッチャブル」と決めているのでは無いか?

■ 補助金詐欺が立証されれば獣医学部新設どころか今治市議の多くが逮捕される? ■

メディアが正義を名乗るならば、立証困難な安倍首相の関与に血道を上げるのでは無く、完全に刑事事件である「補助金詐欺」を徹底追及するべきです。住民の血税を一私学にポンとプレゼントしているのですから。

今治市の獣医学部新設に関しては、今治市は広大な土地を無償供与し、地盤整備からインフラ施設まで市の予算で施工し、さらに校舎建設の予算の半額を補助金として負担しています。(愛媛県の負担もありますが)

これだけの利益供与に対して、今治市議会は何のチェック機能を果たしていません。明らかに高すぎる建設費に対してもノーチェックです。これは議会も今治市の行政も完全にアウトです。多分、今治市民が行政訴訟を起こすと思いますが、裁判所が今治市の担当者を無罪とするならば、裁判所など要らない。

今治市議に1000万円の賄賂が渡ったとして住民から松山地裁に告訴状が提出されており、裁判の場で真相解明がされるのか・・あるいは証拠不十分として無罪とされるのか、こちらの裁判も気になる所です。

■ 補助金詐欺は珍しく無いのかも ■

安倍政権に大きな打撃を与えている加計学園問題ですが、内閣改造以降の報道を見るに、結局は「政争の具」に過ぎなかった印象を受けます。(私は裏に憲法改正を阻止するアメリカの存在が在ると妄想していますが)

しかし、森友問題も加計問題も実は「学校建設に関する補助金詐欺ビジネス」にこそ本質があります。

これ、実は学校建設に限らず、補助金として公金が投入される全国の多くのプロジェクトで同様のスキームが使われていても不思議ではありません。

ひと昔前は公共工事において談合によって建設会社が施工費を吊り上げ、利益の一部を政治家に還流していました。しかし、公共工事の入札に対する世間の目が厳しくなりましたから、談合は難しくなった。

そこで、補助金の投入される民間工事の工事費を予め水増ししておき、随意契約の建設会社に高額の建設費を支払い、補助金を水増しして受け取る・・・。実際の建設会社がいくら請求するかも注目すべきですが、政治家への口利き料は、事業主と施工会社双方から還流する仕組みなのでしょう。

■ 教育を隠れ蓑にしたビジネスとしての教育国債に注意すべき ■

政府は将来的に教育国債を発行して高等教育を無償化する政策の検討に入っています。

学費負担はどこの家庭でも切実な問題ですから、仮に「高等教育無償化法案」が国会に提出されても、多くの国民がこの案に反対する事な無いでしょう。

しかし、高等教育無償化で教育のレベルが向上するとは考えられません。現在の日本では学力はほぼ家庭の経済力に比例しています。小学校の頃から塾に通い、私立中学、私立高校に通う事が出来る子供の学力は当然高い。

確かに家庭が貧しく優秀でも大学に通えない子供も少なからず居ますが、一般的には経済力の低い家庭の親は教育に興味が無く、子供も勉強嫌いで成績も悪い傾向が強い。

この様な状況で大学を無償化した所で、本来大学に行く様な能力に達していない「分数の計算も出きない大学生」を増産するだけです。そして、結果的に希望の企業に就職出来ずフリーターになる若者が増える。(企業には安い労働力の供給源になりますが)

そんな大学生が増えれば大学も新な施設を拡張します。そしてそこに私学助成金や補助金が投入され、利権を持つ一部の人間が潤う・・・。教育国債など、「亡国の政策」に等しいのです。

大学生を増やすよりも、幼児教育を充実させたり、小中学校の給食費を無償化する方が子供にとって何倍も有益です。貧困家庭の子供は家庭では栄養バランスの悪い食事が多いので、給食で栄養を取っているという統計データも出ています。

仮に学力が低くとも、健全な肉体と精神を培えば、労働力として国家に貢献出来ます。下手に大学に行ってフリーターになるよりも余程有益です。

■ 少子化対策は一億総ヤンキー化が有効 ■

実際に「ヤンキー」などと蔑視されているヤンチャな方々は、若くして子供を作り(それも何故か3人も4人も居る家庭が多い)、その子供達も若くして家庭を築く傾向が高い。

一方で、高学歴の人に独身者が多く、高学歴の女性の結婚率は有意に低い。さらに、晩婚の傾向が強く、子供を産まなかったり、生んでも一人っ子のケースが多い。


私は安倍首相に強く勧めたい。「少子化を止めるには、小学校の道徳の時間に「少年チャンピオン」を読ませるべきだ!!」と。子供の頃から「ヤンキーの美学」を叩きこめば、日本の未来は明るい!!

道を竹槍出っ歯のシャコタン車が走り回り、高校生の制服は長ランにボンタン。こんなエキセントリックな国になったら外国人観光客が殺到するかも・・・。


おっと、妄想が暴走してしまいました。パラリラ・パラリラ・・・・


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2017/8/14

北朝鮮有事は有り得るのか・・・ヤラセの戦争  時事/金融危機
 

■ 独裁国家とキャラ設定 ■

北朝鮮やサウジアラビアを私は世界の経営者の傀儡国家だと妄想しています。その理由は・・・「普通、あんな国あり得ねぇーだろう!!」というもの。

国王の外遊に政府全員が随伴するサウジも、時代錯誤の軍国国家の北朝鮮も、存在自体が非常識ですが、一方で国際政治エンタテーメントの役者としてはキャラ立ちが良い。分かり易い「独裁者」を体現しています。

一方で、アメリカが名指で「独裁者」と非難するシリアのアサド大統領(息子)などは、トランプなどよりも理知的でソフィスケイトされています。部族社会のシリアでは、対立部族は現政権に批判的で、さらに宗派間の対立も根深い。それを利用して内戦化したのが現在のシリア情勢です。別にアサド大統領が独裁的なのでは無く、部族間の対立に欧米諸国や周辺国が付け入っただけ。

アメリカが独裁者と非難するベネズエラのマドゥロ大統領は、バスの運転手から組合の運動員を経てチャベス政権の閣僚として活躍した人物です。ベネズエラが混乱に陥っているのは彼が独裁者だからでは無く、原油価格の低迷で経済が崩壊の危機にあるからで、求心力の在ったチャベスの死去によって政治的混乱が一気に表面化しただけです。彼は現体制を維持する為に強権的な政策を実行していますが、政府が添付すればベネズエラの国内には内戦に近い混沌が訪れます。裏でそれを仕掛けているのは・・・当然アメリカですが。

この様に世界には「キャラ設定として作られた独裁者」と「レッテル貼りされた独裁者」の二種類が存在します。

■ 中東戦争の準備 ■

サウジアラビアも北朝鮮も、地政学的には重要な役割を担っています。

サウジアラビアはかつてはアラブ世界の雄として湾岸周辺諸国とまとめ、イスラエルとの戦争で中心的な役割を担っていましたが、一方ではOPECの中心国として石油の価格をコントロールしていました。これ、言い換えるならば、サウジアラビアのOPECにおける求心力は、イスラエルとの戦闘の結果生み出されたとも言えます。

OPECの石油値上げが引き金となったオイルショックですが、結果的に金兌換制度を中止したドルの価値を保つ事に利用されています。

かつては「アラブ諸国 VS イスラエル」という対立構造でしたが、イラク、イスラエル、シリア、リビア、といったイスラエルに強硬に対立した国々は内戦によって疲弊させられ見る影もありません。

一方で「イラン VS サウジアラビア」という新たな対立軸が生み出されつつあります。不自然な形でカタールがイラン陣営に押しやられ、サウジアラビアがイスラエルと接近するという気になる変化も起きています。

サウジアラビアでは先頃、電撃的な皇太子の交代劇が起こりましたが、これは「政変」、あるいは「王室内クーデター」と呼ぶ方が相応しい事件です。新皇太子はイエメンにおいてイランに支援された勢力との戦争を遂行する人物で、今回のカタールとの断交も彼が指揮していたと言われています。

北朝鮮にばかり世間の目が集まっていますが、私は中東こそ注目すべきと考えています。中東の戦争は石油価格のコントロールの為に起こされるます。今後、ドルを始めとする通貨の信用が揺らぐ事があれば、躊躇無く、中東戦争のスイッチは押されるはずです。

■ 北朝鮮はアジアに刺さった魚の骨 ■

いつでも戦争を起こせる中東と違い、北朝鮮は地政学的には少し微妙な位置に居ます。

中国とロシア、そして韓国と国境を接し、多くの米軍基地が存在する日本とも近い。北朝鮮が無ければ在韓米軍は直接に中国やロシアと国境を挟んで睨み合う訳で、これでは緊張が高まり過ぎます。そこで緩衝地帯としての北朝鮮が必要になります。

社会主義国家である故に、中国やロシアの傀儡と思われがちな北朝鮮ですが、北朝鮮が顔色を伺うのは常にアメリカです。

そして、アメリカは6カ国協議を抜け駆けして、米朝二国間協議で北朝鮮に原子炉を供与し、北朝鮮の核開発を見逃して来ました。北朝鮮のミサイル技術も、どう考えても自前ではありません。表向きはソ連崩壊時に技術が流出した事にされていますが、技術の進歩が速すぎます。

先般の日本の経済水域内に落下した弾頭は明らかに大気圏再突入で燃え尽きる事無く海面に到達しています。この技術は特殊な樹脂で弾頭をコーティングし、樹脂と大気の摩擦によって発生するガスが、高温でプラズマ化した層で発生する熱を遮断するものです。この特殊樹脂を北朝鮮国内で製造するのは恐らくは難しい。

各国とも最高の機密にしているこの技術をどうやって北朝鮮は手に入れたのか・・・。アメリカを始め各国はこ様な技術の流出に目を光らせています。当然、素材も厳重に管理し、その流通もトレースしているはずです。要は、意図的に供与されなければ北朝鮮がこの素材を手に入れる事は不可能なのです。

北朝鮮同様に核開発を行っているインド、パキスタン、イランはパキスタンのカーン教授が手配して核開発を行たとされていますが、これも意図的に技術が流出した可能性が高い。これらの国口は地政学的に不安定で対立が激化している国同士が保有した事に意味があります。核兵器保有国同士は戦争が出来なくなり、さらにはそれらの国を他国が侵略する事も出来なくなります。要は核兵器によって安定が生み出されているのです。

北朝鮮も同様でしょう。北朝鮮の核はアメリカに対する抑止の振りをしていますが、核武装した北朝鮮に中国もロシアも韓国も侵攻する事は不可能です。

この様に北朝鮮が核ミサイルの技術を保有する事は、東アジアの地政学的安定の為に非常な重要な意味を持ちます。

■ マッチポンプの核開発 ■

一見、アメリカが圧力を掛ける事に抵抗して北朝鮮が核ミサイル開発を加速している様に見えます。しかし、よく考えるとアメリカが融和的であれば、北朝鮮は核開発の口実を失います。

核兵器は移動手段を持たなければ無用の長物です。現代にいおて航空機戦力は対空ミサイルの餌食ですから、迎撃され難い核兵器の移動手段は弾道弾以外には在りません。

弾道弾の開発には発射実験というバレ易い実験が不可欠ですから、アメリカは北朝鮮が長距離弾道弾の技術を確立するまで挑発を続け、北朝鮮はこれに大量の発射実験で答えるのでしょう。

■ アメリカは北朝鮮と戦争はしない? ■

攻撃も考慮に入れているとイキガるトランプ政権ですが、いざ戦争となればソウルは北朝鮮の砲弾の餌食になりますし、日本とて中距離弾道弾に狙われます。北朝鮮がソウルや日本への攻撃を躊躇してアメリカに駆逐されるのは不自然です。

しかし、韓国や日本が戦火に塗れれば、世界経済は一気にパニックです。中国、ロシアもアメリカに対抗するしか在りませんから、世界は一気に緊張状態に突入します。

こんなリスクを冒してアメリカが北朝鮮を攻撃するでしょうか・・・答えはNOです。

■ 世界経済が崩壊状態になるならば、戦争というカードが切られるかも知れない ■

アメリカや北朝鮮が戦争というカードを切る時は、リスクが消えた時です。リスクとは世界経済の崩壊ですから・・・世界経済が崩壊した後になら戦争というカードが切り易くなります。

いえ、世界経済が崩壊するからこそ、リセットの戦争が行われるのです。第二次世界大戦はまさにそういう戦争でした。リセットの結果はヨーロッパの衰退と、アメリカへの覇権の確立。

同様の事が起きるとするなら、アメリカの覇権の後退と、中国の一層の台頭が起きる。

アメリカの覇権は軍事力からも絶対の様に思われますが・・・トランプ政権下でアメリカ国民はリベラルと交戦派に分断されます。そしてきっと内戦状態になるか、州の独立が起こるはずです。

■ 先進国は既に衰退している ■

現在の世界の成長の停滞の原因は先進国の成長力の低下です。要は、老人が世界を食いつぶす「高齢化」と同じ。この停滞をブレークスルーする為には、成長力を秘めた国の成長を促せば良い。

しかし、中国を始めとする成長力の在る国々は、様々な点において先進国のくびきに縛られています。これを強引に開放する手段は戦争以外在りません。


仮に、北朝鮮がミサイルを発射する事があるとすれば、それは新な世界秩序の始まりを告げる「号砲」なのかも知れません。



久しぶりに妄想しまくりました。あーースッキリ。


妄想ついでに・・・仮に北朝鮮有事が発生すれば、大量の難民が韓国、北朝鮮から日本に押し寄せ、労働力不足が一気に解消します。まさに、シリア難民が殺到したEUの様に・・・。



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2017/8/10

「獣医が足りない」の嘘・・・給料が安いから成り手が居ないだけ  時事/金融危機
 

■ 足りないのは産業動物獣医 ■

加計学園問題の焦点は「獣医が足りない」のか「足りているのか」という点。

安倍政権が国家戦略特区で獣医学部の新設を決定した理由は「獣医が足りない」というもの。

1) 愛媛県知事が四国で獣医師が不足しているとして獣医学部の新設を検討
2) 口蹄疫などが四国で発生した場合に獣医不足で対応が不十分になると懸念
3) 四国の国立大学に獣医学部新設を打診するが断られる
4) 加計学園が愛媛県の呼びかけに応え、獣医学部新設に動き出す

自民党支持者やネトウヨを中心に加戸前愛媛県知事の発言を持って、知事が切実に獣医不足を訴えているのだから、「獣医は足りていない。よって加計学園の獣医学部新設は問題は無い」との主張を展開してます。

しかし、これは問題の本質を全く理解していません。

獣医学部卒業者(国家資格合格者)の多くは下記の進路を選択します。

  A) ペットなどの獣医
  B) 医薬品メーカーの研究員
  C) 食品メーカーの研究員
  D) 産業動物獣医師

今回、足りないとされているのは「産業動物獣医師」です。これは主に家畜を扱う獣医師で、その就職先は次の様な所があります。

 1) 農協や共済(民間)

 2) 畜産試験場/水産試験所/林業試験所(地方公務員)
 3) 食肉衛生検査所(地方公務員)
 4) 家畜保健衛生所(地方公務員)

 5) 検疫所/動物検疫所(国家公務員)
 
 6) 動物園・水族館(公務員/民間)

皆さんが家畜の獣医師としてイメージされる畜産農家の家畜を相手に奮闘される方々は、農協や共済に就職して担当地域の畜産農家の家畜の健康管理に当たります。これは大変な仕事で、夜中に呼び出される事も度々ですし、真夏の厩舎で牛の糞尿にまみれる事も・・。動物の病気は曜日を選びませんから休日に呼び出される事もしばしば。

この様な激務の割りに給料はそれ程高くはありません。理由は零細経営が多い畜産農家に高額な治療費を払う事が出来ないから。ですから、「産業動物」の治療は効率とコストを最優先にします。治療が難しい家畜は殺処分され、安価な治療で助かる家畜だけが治療対象となります。結果的に獣医師に支払われる報酬は低く、よって開業しても儲からないので農協や共済の社員として生計を立てます。

今回、足りないと指摘される地方公務員の獣医ですが、畜産試験場の獣医も激務の様です。本来は「研究者」ですが、研究動物の飼育係の様な雑務まで押し付けられます。ネットの書き込みでは、「年間の完全休日が5日しか取れなかったし、夜中も出勤する事も・・・」なんて悲惨な例も在ります。一方で、給与は他の職員と横並びですから、「やってらんねぇー」となる訳で、各地で求人数を下回る採用数となる様です。

■ 公務員獣医が足りないのは労働市場の需給の不一致 ■

給与の割りに激務の公務員獣医ですが、当然希望者は少ない

1)獣医学部は6年制で授業料も高く、私大では卒業までの授業料が1300万円〜1500万円
2)獣医師資格取得者の多くが所得の高い開業獣医を目指す
3)医薬品メーカーや大手食品メーカーの給与も低くは無い
4)農協や共済の給与は上記分野よりも低い
5)公務員獣医の所得も低い

結果的に、獣医学部の卒業生の多くが、公務員獣医や産業動物獣医に成りたがりません。これは「獣医不足」の原因です。

対策は簡単で、報酬を増やせば良い。実際に九州の自治体では公務員獣医の給与を引き上げた所、定員を満たす応募者が集まっています。

■ 獣医師が増えてもペットの獣医の競争が過剰になるだけ ■

産業動物獣医の待遇が現状のままで、獣医学部の卒業生の数だけ増やしたらどうなるでしょう。多くの卒業生はペットの開業獣医を目指しますから、この分野の競争が激化して、ペットの獣医の所得が低下します。

現在でも平均年収が600万円程度の動物病院勤務の獣医ですが、これが400万円に下がったら高い学費の元が取れなくなります。当然獣医学部の志望者が減り、下位の大学では定員割れを起こし経営が成り立たなくなります。

「岩盤規制」と非難される文科省の規制ですが、規制を撤廃した自由な競争がもたらすものは過剰競争による共倒れです。そしてその先に有るのは、大きな資本による寡占。これは小売業で既に顕著で、スーパーなどの大型店への集約で起きています。市場の寡占化は価格決定を寡占業者が握るので、結果的に消費者が不利益を被ります。

具体的には地域の個人経営の動物病院が潰れ、チェーンの動物病院に集約されて行くでしょう。そこでは獣医師達は薄給で働きますが、診察料金は寡占によって高止まりし、利益は経営者が独り占めします。


■ 鳥インフルエンザや口蹄疫に対応する為は素人考え ■


加戸愛媛前知事が獣医学部新設を目指した理由に、宮崎の口蹄疫の感染を見て、四国で同様の事態を招かない様に対策を打ちたいと考えた事は政治家としては当然の発想です。しかし、これは素人の考えです。

1)鳥インフルエンザのウィルスは野鳥が運んで来る
2)口蹄疫のウィルスは、感染しても発症いていない家畜によって感染が広がる
3)口蹄疫にウィルスは、衣服に付着したものでも拡散する

人の新型インフルエンザの水際阻止が不可能な様に、家畜のウィルス性の伝染病の水際阻止も不可能に近い。検疫所の職員を増やした所で、今よりも感染の危険性が低くなるとは思えません。

いつ、どこの畜産農家で鳥インフルエンザや口蹄疫が発生するか分かりませんが、発生が確認されたら迅速な封じ込めによってウィルスの拡散を防ぎます。

口蹄疫の場合・・・

1) 感染の確認された農家の半径5km圏内の農家や家畜市場に移動制限が掛けられる
2) 移動制限=出荷禁止
3) 出荷出来ない産業動物は価値を失い、生かして餌を与えても損失が拡大するだけ
4) 口蹄疫の感染力は強く、同じ農家で飼育されていた家畜は感染しおている可能性が高い
5) 上記理由より感染が確認された農家から半径5Km以内の家畜は殺処分される

宮崎で口蹄疫の感染が拡大した際に多くの牛が殺処分されました。

1) 殺処分はブタは電撃、牛は静脈注射
2) 地域の家畜獣医師(産業動物獣医師)だけでは手が足らず、ペットの獣医も作業に当たる

治療でな無く薬殺を粛々と進める作業ですから、ペットの獣医師でも十分に役割を果たしますが、大型動物に不慣れなペットの獣医師の中には怪我をされたり、或いは恐怖を感じられた方もあったといいます。「こんなのオレ達の仕事じゃない、家畜の獣医が足りないからオレ達が動員されるんだ・・・」こんな意見が出るのも当然です。

しかし、口蹄疫や鳥インフルエンザが常時発生する訳ではありません。発生を想定した公務員獣医を地域に常駐させておくのは効率的ではありません。交通網の発達した現代ですから、手が足りなければ他地域から借りて来れば良い。これは地域間相互のメリットとなります。

■ 四国に獣医学部が無くても困らない? ■

今回、今治市に国家戦力特区で獣医学部新設が決まった背景には、「四国に獣医学部が無い」という点が大いにアピールしています。

「広域的に獣医学部が存在しない」という条件が付け加えられ、ライバルの京都産業大学をレースから退けています。京都の隣県の大阪に獣医学部があるからです。

しかし、農水省の畜産の行政管理区分では、「中国・四国」となっており、この区分では2つの獣医学部が有るので、他地域に比べ遜色在りません。むしろ山陰地方がゼロで問題が有ります。

口蹄疫などの発生によって獣医の手が足りなければ、行政管理のブロック内で人材を手配するはずで、四国で問題が発生すれば中国地方の獣医学部に応援要請があるはずです。さらに近畿圏も近いので、ブロックを越えた支援も在るかも知れません。

■ 獣医学部の数を減らして質の向上を図りたい文科省 ■

実は文科省は、獣医学部を増やすのでは無く、減らそうとしていました。

1)獣医学部の教員の定員は70名と規定されている
2)国立大学では学生一人当たり教員一人の割合
3)教員の不足から、教員数の規定を満たせない大学が多い

4)各大学で得意とするカリキュラムが存在する
5)隣接する獣医学部を連携させる事で、教員数の不足を補いカリキュラムの選択肢を増やせる
6)北海道大学と帯広畜産大学の連携などが始まっている

日本の獣医学は世界的なレベルから大きく後れを取っています。又、生徒一人当たりの教員数も世界レベルより少ない。この問題を解決する為に文科省は獣医学部の統廃合を進めようとしていまいたが、地域から獣医学部が無くなる事に抵抗する政治圧力によって統廃合は実現しませんでした。
そこで、隣接する獣医学部を連携させて、互いに補完させる方向で改革を進めはじめました。

当然、獣医学部の新設はこの流れに逆行するので文科省としては認められません。

■ 質の低下を招くだけの加計学戦の獣医学部新設 ■

加計学園は160名という既存獣医学部最大の定員を設定しています。教員数は規定の70名を揃えた様です。

しかし、教員の平均年齢は高く65歳以上の方が20%も居らっしゃる様です。さらに博士号取得者の割合も他大学に比べ低い。これで十分な教育が出来るのか疑問が呈されています。

今回の問題が無くとも新設大学への志望者は成績下位者が集中するでしょう。ですから加計学戦の獣医学部が獣医学のレベル向上につながるとは考え難い。

一方で、6年生大学の医学部、歯学部、薬学部、獣医学部は国家事業としての支援が厚く国費や地方自治体の補助金も多く支出されます。当然、私学助成金も有る。

ところで加計学園系列の千葉科学大学の薬学部の偏差値をご存じでしょうか?45です。国立や有名私立の薬学部が60後半であるのに対して相当に低い。(これより低い大学もゾロゾロ在りますが・・・35が最低)国家試験の合格率は48%です。

獣医学部志望者ですからレベルは高いと思われますが、それでも国家試験の合格率は既存獣医学部に比べれば低迷すると予想されます。

■ 外国人生徒受け入れ ■

実は加計学園の獣医学部は、外国人生徒の受け入れを大きく宣伝しています。授業も英語で行われる様ですし、アジアからの留学生に相当期待しているのでしょう。

一件、何ら問題が無さそうな外国人留学生受け入れですが、獣医学部には国からの補助金や地方自治体からの補助金も多額に投入されています。要は国として獣医師を育成しているのに、卒業生の多くが出身国に帰ってしまう・・。

「獣医師の国際交流や、国際的な共同研究の基礎が出来る」とプラスに解釈する事も出来ますが、はたして税金を納める国民や自治体の住民はこれを良しとするのか?

(これは実は加計学戦だけの問題では無く、下位の大学の多くが少子化の中で今後、外国人留学生の比率を高めて行くと思われます。そこに私学助成金が投入され、将来的には教育国債による大学無償化まで話題に上る始末・・・。)

■ 客観的に考えて・・・時代に逆行していないか? ■

私は安倍政権に否定的な記事を多く書いていますが、決して個人的に安倍首相を嫌っている訳では在りません。むしろ小泉氏などよりも好感が持てます。

しかし、安倍政権の政策を合理性の観点で考えた場合、リフレ政策など疑問点も多い。国家戦略特区で加計学園の獣医学部新設を認めた事も。合理性に欠けると考えています。

確かに日本の獣医学教育は欧米に後れを取っていますが・・・それは大学を新設して競争原理を働かせるだけで解決する問題ではありません。

TPPやEUとの貿易自由化交渉によって、価格の安い畜産物が輸入される一方で、畜産農家の経営は苦しくなり、高齢で零細の畜産農家が廃業して行きます。

好むと好まないに関わらず、国際的な自由競争の過程で畜産農家は減少し、産業獣医師の不足も自然に解消されて行くでしょう。

一方、生物科学や医療分野での専門性の高い獣医師のニーズは高まりますから、文科省としても旧態依然とした獣医学部を良しとしている訳ではありません。事実、獣医学部の連携とう形で、新しい時代への対応を模索しています。

加計学園同様に獣医学部新設に名乗りを上げていた京都産業大学ですが、京都大学のIPS細胞研究との連携を目玉としていました。京大のIPS細胞研究所がどれだけ本気だったのかは分かりませんが、こちらの方あ計画が具体的で筋が良い様に思えます。

■ 大学経営の綱渡りに利用していたとするならば・・・最低だ ■

獣医学部新設の是非について、なるべく客観的に考察してみましたが、ここは陰謀論ブログですから、それらしい妄想も最後に一つ。

実は加計学園の経営があまり良いとは言えないという噂もネットではチラホラ。銀行の返済期限を乗り切る為に、獣医学部新設を名目とした融資が必要だった・・そんな噂もチラリ。

加計学園は52億円程の借り入れ金が有る様ですが、この利息返済が迫っています。一方で獣医学部施設の建設費は文科省の定める最低基準の6倍にも達します。これ、一般的な医療系や獣医学系の大学建設の2倍程度で不自然に高い。

今治市は建設費の半分に当たる96億円を補助金として交付する様ですが、文科省の定めた獣医学系大学の建築費の最低基準の6倍にも達する。これを不審に思わ無い方がオカシイ。

実は加計学園獣医学問題は、森友学園問題と同様に「補助金詐欺ビジネス」であり、だまし取った金の一部が政治家に流れると同時に、補助金が加計学園の借金返済に使われる予定だった・・・こんな図式が陰謀論的にはしっくりと来ます。

借金返済の期日から逆算して開学時期が決まり、無理なスケジュールを押し通す為に国家戦略特区でゴリ押しした。加計学園側も文科省の認可が下りる前から建設に着工して、目標とする開学時期に間に合わせ様としていますが、これは「認可在りき」を前提としたフライングです。100%認可される確信があったのでしょう。

ところが、文科省の審議会は昨日、認可の判断を保留にしました。これだけ疑惑が深まるお、世間の目を気にしておいそれとは認可出来ないでしょう。

仮に認可が下りなければ、加計学園は森友学園同様に経営状態が一気に悪化します。今治市との間で泥沼の訴訟問題になる可能性も有ります。

さらに、今治市では行政訴訟も今後起こされるでしょう。今治市議の多くが賄賂を受け取っていたとの情報も散見されますので、裁判の過程でここら辺も明らかになる事でしょう。


お天道様は全てお見通しだ・・・って事になるのでしょうか?
こんな世の中、たまには正義が遂行されても良さそうですが、そんな事を期待するのは負け組のルサンチマンって所でしょうか。
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2017/8/5

今期アニメのおすすめ・・・ベテランの大活躍  アニメ
 

 

2時間掛けて、今期アニメお勧め記事を書いていたら・・・ブラウザーが落ちた・・・。
あまりのショックに・・・自転車に乗って来るゎ・・・。

きっと、帰る頃には「よたろう」さんとか「ハノイの塔」さんが紹介記事を完成させている事と期待します。

・・・房総半島を二日間、海水浴をしながら自転車で走って帰ってきたら、「よたろう」さんと「ハノイの塔」さんがコメント欄で記事を完成さえて下さっていました。ありがとうございます。

・・・でも良く読むと、あれれ、お二人ともお勧めアニメが私と違うぞ・・・・!!。まあ、この多様性こそがアニメや漫画の奥の深さである訳ですが。




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『サクラダリセット』より

河野裕原作のライトノベルのアニメ化。私の大好きな川面信也監督の作品ですが、実は私、彼の作品だと気付きませんでした。『のんのんびより』や『田中君はいつもけだるげ』で見せた、たっぷりと間を取った演出はされておらす、かと言って『ココロコネクト』の様な「良質なラノベアニメ」とも違います。今回、川面監督がチャレンジしているのは、原作の持つ「硬質なリリシズム」をいかにアニメ化するか。

原作はラノベの文庫で発表された後、シリーズ7巻全てが「角川文庫」で再版されています。大人が小説として読むに堪える内容。この様な作家には、桜庭一樹や、有川浩が思い当たります。

人々が不思議な能力を持つ咲良田(サクラダ)において、完全記憶能力を持つ少年と、過去の3日間をリセットする能力を持つ少女、そして彼らの中学時代の友人?で謎の死を遂げた未来予知能力者の少女を巡る物語・・・そう書くといかにもラノベ的な展開を想像しますが、様々な不思議な能力者が引き起こす様々な些細な事件が、やがれ一枚の絵に収束していく様は極上のミステリーと言っても過言ではありません。

アニメは淡々とした会話劇で進行します。主人公のケイは脅迫観念に近い正義感で自身の行動を規定し、一方ヒロインの春埼(はるき)は幼少の頃は自己と自分の周囲の区別が付かない程、自我が希薄な少女。それゆえに春埼は人間の感情という物が理解できない。春埼は他人の心の痛みと自分の心の痛みを区別する事が出来ず、それが故に、傷ついた人を見ると無条件にリセットの能力を使います。しかし、その効果は自身にも及ぶので、彼女自身もリセットを使った事すら忘れて2巡目、3巡面の時間を繰り返すのです。

「世界のあらゆる事象を3日間、無かった事に出来る」という最強の能力は、彼女自身もその影響を受ける事で、全く意味の無い能力になってしまいます。しかし、ケイはリセットの影響を受けません。そう、春埼とケイが組めば、リセットによって世界を変革する事だって可能なのです。

春埼はリセットの能力使用に自分なりの制約を掛けています。それは、困っている人、悲しんでいる人が居たら無条件にリセットを使うという縛りです。それによって彼女は能力の恣意性を避け、公平性を担保しています。そんな彼女ですが、強い正義感に縛られるケイの為ならば、自分の能力を使っても良いと判断します。彼女は「ケイが望むなら」リセットを使うと決心するのです。仮にケイに邪な気持ちがあれば悪用されるリセットですが、ケイならば信じられると考えた。

二人を組み合わせる事で意味を持ったリセットの能力を咲良田の管理局は放置はしません。「奉仕部」という部活に所属させ、「よろず相談」的なお助け活動で彼らの能力を活用し、そして能力の使用を報告させる事で管理します。

よろず相談の内容は、「猫を探して欲しい」など他愛の無い内容が多いのですが、その些細な事件の裏で、何か大きな事件が進行しているというのが、この物語の醍醐味です。

能力には様々な制約が存在しますい。リセットの場合3日しか巻き戻せず、リセットから24時間以内は再度のリセットは不可能。さらにセーブポイントを設けなければリセットが出来ません。さらには能力同士の序列があって、能力の影響を受けない人や打ち消せる人も存在します。この様な能力に関する緻密な設定によって、この物語は複雑な論理ゲームとしての側面も持ち合わせています。

文章も論理的で、会話も意図的に感情が排除されています。「〜ピョン」とか「〜るん」なんて会話が当たり前のラノベにあって、ある意味突出した作風ですが、複雑で緻密な論理ゲームの不要なノイズを混入させない為に、会話から「あいまいさ」を排除する事を目的としているのでしょう。

結果的にこの物語は非常に「硬質」な質感を獲得しています。実は現代の優れた純文学に同類の作品を見出す事が出来ます。例えば『となり町戦争』三崎亜紀や、『ミサキラヂオ』の瀬川 深のに近い。硬質で磨き上げられた言葉のリリシズムを感じる事の出来る作品です。

一方で物語の描く世界は、不定形で柔らかく優しい。超能力を持つ人達の街という設定から恩田陸の『常野物語』を想起しますが、「純文学的なエンタテーメント小説」と評した方が相応しいのかも知れません。

作者自身は、「会話の持つ不確かさを排除したかった」と語っている様です。これ、「会話の持つ不確かさがトリックのネタ」となる事の多い昨今の推理小説のアンチテーゼとも言えます。

実は私、アニメの視聴を止めて原作を大人買いしてしまいました。(久々です)

川面監督はアニメで原作の持つ「肌合い」を最大に再現していますが、それでも「文章で読みたい」と思わせる作品です。そして、様々な事象の関係が複雑なので、アニメを一通り観ても理解が難しいという点が・・・アニメ作品としてのハンデキャップ。

原作ではバラバラな時系列を揃える事で、アニメは視聴者の理解を助けていますが、それでも2回とか3回観ないと私などは「ゲームのルール」が理解出来ませんでした。

この作品の見どころは、小さな事件がパズルの様に集まる事で徐々に大きな絵が見えて事にあります。しかし私的には、感情をほとんど持たない春埼が、ケイとの繋がりにおいて「論理的に感情を獲得しようとする」事に興味をソソラレました。

春埼をAIに置き換えるととても面白いSF小説になるでしょう。リセットという能力を持つAIが自我を獲得する物語・・・そう解釈できるのではないでしょうか。

作者は「言葉の理解の限界」にも非常に自覚的で、一見論理的に見える会話でも、様々な解釈の祖語が生じ、それこそが自我の存在の証である事を春埼を通して何度も描こうとしています。これもAIと自我の関係のシミュレートを強引の解釈する事が可能です。

『サクラダリセット』は単なるラノベやミステリーでは無く、むしろ緻密な思弁的小説=SF小説と捉えた方が相応しい。

前期からの連続2期作品ですが、私的には今年一番の「興味深い」作品。アニメは小説完読後にじっくりと味わいます。



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『ボールルームへようこそ』より

なんの取り柄も無い中3男子が、ふとしたきっかけで社交ダンスの世界に足を踏み入れ、そして才能を開花させるというお話。これ、少年漫画では王道の展開で、テーマはスポーツだたり、将棋だたり、自転車だったりしますが、社交ダンスというんがミソ。

原作マンガは本屋で「買え!買え!オーラ」を出しまくっていますが、私はアニメが初見。イヤー、素晴らしい作品です。特にダンスシーンの動画だけでもご飯が5杯は行けます。

この手の作品の主人公は隠れた才能を持っていますが、主人公の才能は「見る=観察する」こと。とにかく夢中になってダンサーの動きを見る事で、その動きを自分の物とする。そしてパートナーの動きも「見る=感じ取る」事で、ダンスで一番重要なペアーの一体感を達成する。当然、人一倍の努力や練習が無ければ「チート能力」になってしまうので、その辺りの匙加減が絶妙の作品です。

今期一番、「大人の視聴に耐える作品」としてお勧め。こんなの観たら、『コードブルー』が面白く無くなっちゃう・・・。



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『アホガール』より


これもマンガ原作のアニメ化。とにかく突き抜けてアホな女子高生と、彼女に日々迷惑を掛けられながらも、ついつい世話をしてしまう幼馴染男子のドタバタ劇。総監督は『アクションヒロイン チアフルーツ』の草川啓造。

草川監督は私的には岸誠二監督や渡部高志監督に近いイメージ。アニメならではのテンポとエッジの効いた演出を得意とする監督。私的には2009年の『アスラクライン』がツボ。

頭をカラッポにして楽しむ作品ですが、主人公の母親が出て来ると笑いのテンションメーターが振り切れます。



歌は両方ともangelaという二人組。ハフナーの主題歌シャングリラの裏でアホガールのリズムトラックが鳴っているのがミソ。シャングリラのボーカルトラックの音程もちょっと操作してますかね。こういう遊びの前に著作権はあまりに無力・・・。


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『恋と嘘』より

ネットマンガから登場した作品。

超少子高齢化社会の日本では、少子化対策の為、政府がコンピュターで配偶者を決める「ゆかり婚制度」が法制化されています。男女は16歳になると政府通知によって将来の配偶者を知らされ、それ以外の人との恋愛を禁止されます。

しかし、主人公の根島 由佳吏(ねじま ゆかり・男子)は小学生の頃から思い焦がれていた相手が居ます。政府通義が来る直前に思い切って告白に至りますが、何と彼女・高崎 美咲(たかさき みさき)も彼を好きだった。普通ならハッピーエンドとなってここで話は終わりますが、「ゆかり婚制度」でカップルになれない二人にとっては道ならぬ恋。

彼女は「彼に思いを伝えた事を一生胸に刻んで後70年はは生きていける」と言い、別れを切り出しますが、根島の政府通知の相手・真田 莉々奈(さなだ りりな)が二人の関係に興味津々、二人の恋を応援すると言い出したから話は変な方向へ。恋人と婚約者との男女3人に、さらに根島の親友の秘めた恋心も絡んで、物語は視聴者の予想に反して複雑な展開を見せ始めます。

少女漫画にありそうなお話ですが、こんな原稿を持ち込まれても、編集者の多くが「古くさい」とか「ありがち」とか「ひねりが無い」と言ってボツにするでしょう。現在の漫画読者は刺激に慣れていますから「王道恋愛もの」は世に出難い。

そんな作品や作者の受け皿になっているのがネットの漫画サイトですが『Re Life』と『恋と嘘』は多くの読者の支持を受け、アニメ化までされています。

話の本筋は「変化球」ですが、表現自体は非常に「素直」な作品。「ゆかり婚」というアイデアから丁寧に様々なシチュエーションを紡ぎ出していきます。「次どうなっちゃうんだろう??」というハラハラドキドキとは対極で、じっくりニヤニヤ高校生男女の関係を楽しめる良作だと思います。おいしい水を飲んで「幸せ」と感じる感覚に近い。



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『ナナマルサンバツ』より


これもマンガ原作。

競技クイズに熱中する高校生達の物語。雰囲気としては弱虫ペダルの自転車がクイズに置き換わった感じ。少年漫画の王道展開の作品ですが、普通に面白い。

私などは夜中にヘッドホンで視聴しながら、クイズの答え大声で叫ぶ始末・・・。

ところで、この作品、コメント欄にもありますがヒロインの声優が「超棒」。こんな棒読みは最近のアニメでは珍しいのですが、声をあてているのは女優で歌手の川島海荷さんという方。

声優以外の人を起用すことで有名なのは宮崎駿監督や細田守監督ですが、彼らは「声優の演技」を嫌って、あえて普通の俳優を起用します。一方で、劇場作品などで声優以外の役者さんが声をあてる場合は「話題作り」のケースが多い。「〇〇さんが声優に初チャレンジ!!」なんんてワイドショーで取り上げて宣伝する為。

今回の川島海荷さん起用はTV局か事務所の無理押しだろと言われていますが、「下手にも程が在る」「彼女の声を聴きたく無いから視聴を止めます」なんて評価が多数。

・・・・私は慣れました・・・。というか、ギャップ萌えです。かわいらしいヒロインが低めのハスキーボイスで、活舌悪く喋る。このミスマッチ感が癖になって、又今週も観てしまいます。

ところで伝説の「棒」と言えば『ゼーガペイン』の花澤香菜。今では押しも押されぬNo1声優さんと言って過言ではない彼女ですが、ゼーガの棒読みは「神」。彼女自身、「今やれと言われても決して出来ない」と語っていますが、あの「棒」があるからこそゼーガは名作たりえ、最後に感動の嵐に襲われる。



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『賭ケグルイ』より


これも漫画原作。

「小林靖子ここに在り」といった感じの作品でしょうか。息子が5歳位の頃に戦隊モノの『メガレンジャー』で知った脚本家です。普通のOLをしていた彼女はある日、日曜朝の戦隊ものを観て「これなら私にも書ける」と脚本を勝手に書いてTV朝日のお客様相談室宛てに送った。それがプロデューサーの手元に運よく届き、彼の指示の元、脚本教室に通ってデビューしたという経歴の持ち主。

そこから頭角を現し、『メガレンジャー』では新メカ登場回を任され、『ギンガマン』ではメインライターに。『仮面ライダー電王』では大人も関心する複雑なストーリーと新なライダー像を作り上げ、さらに佐藤健をスターに押し上げた。

最近は『進撃の巨人』のシリーズ構成でヒットを飛ばしていますが、彼女の作品の魅力は「厚みのある世界感」。アニメや特撮などは所詮は子供のお話で薄っぺらいものが多い中で、彼女の描くキャラクターには血が通っています。作品の中で登場人物は苦悶し、成長し、書かれたキャラクターとしてでは無く、作品の中で生きる人物として行動する。そんな彼女の作品の魅力が最大に味わえるのは『ウィッチブレイド』だと私は思っています。

「金持ちの息子や娘が通うギャンブル公認の高校」に転校して来た蛇喰 夢子(じゃばみ ゆめこ)はいかにも清楚なお嬢様。しかし、彼女はギャンブル狂だった。物語は学校をギャンブルで支配する生徒会と夢子の対決の構図ですが・・・このアニメ(マンガ)、狂っています・・・。

「さぁ、さぁ、さぁ、掛け狂いましょう!!」

顔芸、声芸の極致のアニメですが、作画も声優さんの演技も素晴らしい。特に夢子の声を演じる早見沙織の豹変ぶりには息を飲みます。これが『聲の形』の硝子役だと思うと、声優さんって本当に凄いですね。

ところで小林靖子に話を戻しますが、原作を未読なので彼女がどういう魔法をこの作品に掛けているのか良く分かりません。彼女自身、「原作物を手掛ける時にはアニメとしてまとまりが良くなるような最小限の調整を心掛け、設定なストーリーの大きな改変はしない」と語っています。

ただ、彼女お手がけた原作物は、『灼眼のシャナ』にしろ『ジョジョの奇妙な冒険』にしろ『進撃の巨人』にしろ、原作以上に一巻したリズムと力強さに貫かれています。普通なら「こんなのアリエナイじゃん」と視聴中止しそうな作品を、グイグイと引き込むあたりが、今作における彼女の手腕なのかなと・・・。

OP、EDともに水準を超えていますが、特にEDが素晴らしい。ギャンブルの緊張感と高揚感をモデルウォークと綱渡りに例えて表現していますが、脳内麻薬出まくりの演出です。


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『メイドインアビス』より

これもマンガ原作。

『サムライフラメンコ』でヒンシュクを買った(私は大好きですが) 倉田英之のシリーズ構成・脚本。

1〜3話までを倉田英之が脚本を担当していますが、彼の脚本の持つ「空気感」は本当にスイバらしい。「間を書ける」脚本家です。映像も背景アートはどこのジブリだよと思う程の力の入れようで、クォリティーで評価するならば今期No.1作品。

毎週放映されるアニメでこのクオォリティーを維持できるのか心配にもなりますが、キャラクターの造形が単純なので、動画を動かす労力とお金を背景に振り向けましたって感じでしょうか。毎週、期待に胸を躍らせながらモニターに見入っています。



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『Re CREATERS』より

騎士と魔法少女とロボットと魔導士が戦う・・・・「おいおい、そんな同人誌みたいなストーリーって在りかよ」と思わずツッコミを入れてしまいそうな作品。

アニメや漫画ファンならば誰もが一度は妄想した事が在りそうな、世界感が異なる作品のバトルロイヤルを商業メースのTVアニメで実現した意欲作。

監督は『Fate Zero』の「あおきえい」。Fateシリーズも似たような構造で歴史上の人物を魔法によって現代に召喚して戦わせる物語でしたが、今作で召喚されるのは人気アニメやラノベや漫画の登場人物。

魔法少女がSFアニメの主人公と渋谷でマジバトルするとか、ファンとしては嬉しすぎる映像のオンパレード。魔法少女があまりに強すぎて、ちょっとチートなので早々に死亡退場してしまったのは残念で成りませんが、エロゲームの女の子が登場したので、今は彼女がどうストーリーに絡むのか興味津々。まさか色仕掛けで敵を篭絡するなんてチート技か?!

二期連続作品ですが、登場人物も多く、動画シーンも良く動くので「万策尽きた」のか?特番が多いのが難点。盛り上がって来ると特番になっちゃう・・・。


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『僕のヒーロアカデミア』より

ヒーロやビランが当たり前に存在する世界で、ヒーロを目指す少年の成長を描く、ジャンプの王道マンガのアニメ化。脚本は黒田洋介。

さすがは黒田洋介とボンズと唸らずにはいれない作品。とにかく面白い。



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『サクラクエスト』より




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『アクションヒロイン チアフルーツ』より



上記二作品は以前に記事にしているので、作品の魅力はそちらで。


以上、今回はバラエティーに富んだ良作が沢山あって面白い。特に『ボールルームにようこそ』は普段アニメなどご覧になられない大人の方にもお勧めです。


<追記>

「よたろう」さんと「ハノイの塔」さんが熱いコメントを書いて下さっています。興味のある方はコメント欄も是非。








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2017/8/3

地域振興の「課題」と「対策」?・・・『サクラクエスト』と『アクションヒロイン チアフルーツ』  アニメ
 

本日はネタバレ満載です。お気をつけて。



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『サクラクエスト』より


■ 富山に根を下したP.A.WORKS が問う「地域振興」の現実 ■

かつてTVドラマが社会の鏡だった様に、成熟した表現分野となったアニメーションも、近年社会性を持つ作品が多く作られる様になりました。

富山に本社を構えるアニメプロダクションのPA.WORKSは、地方を舞台にした良質な作品を多く生み出して来ました。

そんなP.A.WORKSがライフワークとして発表している「働く女の子シリーズ」の最新作が現在放映されている『サクラクエスト』

短大卒業を控えた木春 由乃(こはる よしの)は就職活動にことごとく失敗、「お祈りメール」が届く毎日。そんな彼女の元にモデルの紹介事務所から仕事の依頼が入ります。なんと「国王」になって欲しいという。いわゆる「一日国王」だと思い小遣い稼ぎに引き受けた由乃でしたが、なんと依頼は人違いだった。

間野山(まのやま)観光協会が依頼した相手は「椿由乃」という昔のアイドル。観光協会の会長がその昔ファンだったのです。木春と椿の間違いで、一日国王を引き受ける羽目になった彼女は、無難に国王役をこなし、東京へ戻ろうとしますが・・・依頼は1年の契約だった!!

そんなこんなで、「チュパカブラ王国」の国王として地域振興に奔走する女の子たちの物語が始まります。

■ 典型的な地方都市の問題点を丁寧に描いている ■

間野山は昔は門前町として栄えていた様ですが、現在は産業の主体が農業の、ごくごくありふれた地方都市。商店街の活気は失われシャッターを閉じている店も多い。

「チュパカブラ王国」は昭和のミニ独立国ブームで「カブラ王国」として建設されますが、さびれて観光客も来ない。破天荒な観光協会の会長が昔目撃した「チュパカブラ」(吸血の未確認生物)にちなんで「チュパカブラ王国」として再出発するも、全くの不人気。そんなどうし様も無いミニ独立国と間野山に観光客を集めるのが、国王の仕事。

由乃は行動力は在りますが、思慮の浅い勢いだけの女の子。だけど彼女に影響を受けて地元の女の子達が王国復興に集まり始めます。観光協会の事務員、地元出身の元劇団女優、東京の生活に疲れ間野山に移り住んだIT技術者、商工会長の孫娘。この5人が知恵を出し合いながら、観光協会のイベントを盛り上げようと奮闘します。

地域のユルキャラコンテストに出演したり、青年会の婚活ツアーをプロデュースしたり、映画のロケを誘致したり・・・しかし効果はパットしません。唯一、地方TVの人気デキュメンタリー番組に出演した時はTV局が手配した人気ロックバンド目当てに観光客が集まりますが・・・それも一過性の盛り上がりで終わります。

アニメではありますが、実はこれ現実の地域振興の姿そのものなのです。

1) 代わり映えのしないユルキャラ
2) 特産品をテーマにした観光客ニーズの無い観光施設
3) 観光協会の予算を消化するだけの代わり映えのしないイベント

彼女達の奮闘とは裏腹に、街の人達は冷めた目でそれを眺めています。それでも由乃は持ち前の行動力で愚直に街の人達の心を少しずつ動かして行きます。観光協会の会長はこう言います。「街を変えるのは、若者・バカ者・他所者だ」と・・・。会長はかつてはバカな若者でしたが・・・他所者では無かった。

由乃は失敗を繰り返しながらも、少しずつ間野山を理解し、そして他所者ならではの視点で間野山の良さを見つけ様とします。

■ 問題を明確化しても解決策を提示出来ないもどかしさ ■

この作品、さすがに地方に定着したアニメ会社の作品だけに、地方の問題点の描き方にリアリティがあります。容易には問題が解決しないし、由乃のアイデアは実はかつて会長が試した様々な事の二番煎じだったりします。

現実の地域振興においても同じ様な事が繰り替えされています。

1) 成功した地域に視察に繰り出す
2) 代理店が似たような企画を作る
3) 補助金を申請して事業化する
4) 全国に似たような施設やイベントが乱立して失敗に終わる

アニメの美少女キャラだから視聴者は由乃の奮闘にエールを送りますが、これが観光協会の男性職員の話ならば・・・ニコ動の字幕は罵倒の嵐となるでしょう。

■ 老人とIT ■

2期連続でじっくりと描かれる作品ですが、17話、18話は見ごたえがあります。間野山の限界集落で路線バスの廃止が決定します。住人達は生活の足を奪われるので反対しますが、バス会社は収益性の悪い路線を継続する事は出来ません。

その集落に住む元大学教授の老人は由乃達にどうしたらバスの廃止を止められるかという質問をします。


「限界集落を維持するのは難しいので、街の近くに移住してコンパクトなコミュニテーを形成したらどうか」と答えたit技術者に教授はこう答えます。

「我々は十分に働き税金を納めて来た。それなのに何故生まれ育った地を離れなければならないのか?」


このジレンマは全国の限界集落が抱える問題です。住民の権利と行政コストは常に相反します。「コンパクトシティー」や「コンパクトコミュニテテー」という方法は教科書的には正しい選択ですが、そこに住む人々の生活や気持ちは無視しています。


そんな限界集落に街はタブレット端末を配布しています。「色々と便利」という触れ込みですが、老人達の活用法は懐中電灯代わりであたり、カップラーメンの重しとタイマーだったり・・・。それを見てIT技術者は自分の分野で彼らに貢献できないかと思案します。

そして彼女は老人達の井戸端会議の場所ネットに構築します。面白い事に、元々のコミュニケーションが緊密な老人達は、新しいツールの虜になり、操作も楽しみながらどんどん覚えて行きます。様々な映像がアップされ、様々な会話が交わされます。

・・・実は元教授の目的はバス路線の存続でも、限界集落の維持でもありませんでした。彼はこの集落がいずれは無くなる事に自覚的です。その上で、いずれは消えてしまうであろう、彼らの暮らしやコミュニケーションの一旦をデジタルアーカイブとして保存しようとしたのです。その為に由乃達を焚きつけた・・・。

ネットを通じて生き生きとした老人達の姿が間野山中に流れ、そして人々の心を少しずつ動かします。バス会社は試験的にデマンド・バスの運行を始めます。オペレーションの人件費が掛かるので却下された試みですが、王国のIT大臣がタブレットで簡単にバスを呼べるシステムを作ったのです。


これも様々な地域で試みられている地域交通の維持手法だと思いますが、こんな地味なテーマをエンタテーメントに昇華するP.A.WORKSの手腕には感嘆してしまいます。

脚本は横谷昌宏と入江信吾という方が担当していますが、上記の17話、18話は入江信吾さんが担当しています。この方、TVドラマの脚本も多く手掛けている様で、『サクラクエスト』は実は実写ドラマで放映しても大人の視聴に耐える作品です。

ただ、この内容をTVドラマで放映しても視聴率は取れませんから・・・。視聴率に縛られるTVドラマを後目に、アニメはこんな社会性の有る作品の受け皿になり始めているのです。

アニメならではの「キャラ萌え」と「リズム感のある演出」によって、難しいテーマーや社会性の強いテーマも十分にエンタテーメントとして成り立ち、成熟した視聴者はそれを面白いと受け入れる。

ベタな恋愛物や、不倫物でしか視聴率が取れない実写ドラマは何れアニメの淘汰されるのかも知れません。その前触れとして、優秀なドラマの脚本家達がアニメの脚本を書く様になっているのかも・・・。表現方法が違うので、ドラマの脚本の手法はそのままは使えませんが、アニメの脚本化とは違うリアリティーの演出の仕方など、様々な人材を取り込んでアニメは日々進化し続けるのでしょう。


■ 街を活気付かせるのは「バカ者」だ!!。女子高生達は間野山を越えるのか?! ■


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『アクションヒロイン チアフルーツ』より

今期、私が一番期待している作品は『アクションヒロイン チアフルーツ』です。

『アクションヒロイン チアフルーツ』・・・千葉県大多喜町 聖地巡礼 「人力でGO」

こちらも図らずも地域振興のお話。

全国で「ご当地ヒロイン」の大ブームが起こり、政府も地域振興の一環として特例法を設ける程の盛り上がり。

しかし万葉県(まんようけん)の陽菜野市(ひなのし)はこの流れから取り残された、何の変哲も無い地方都市。(実は聖地は千葉県の大多喜町。江戸時代の城下町の風情を残す観光地です)

生徒会長の城ヶ根 御前(しろがね みさき)の祖父はかつて町長だった。しかし、彼が残したホールは1/3も客席が埋まる事無く、負の遺産として取り壊される運命に。

御前は祖父の愛した陽菜野とホールを守りたい。そんな折、叔母が「ホールを一杯に出来たら存続できるかも知れないと」と高校生の彼女をけしかける。「わが県は日本で唯一人気ご当時ヒロイン不在県。陽菜野に人気ヒロインを作れ」と!!

一方、ヒロインを愛して止まない赤来 杏(あかぎ あん)は、ひょんな切っ掛けで同級生の黄瀬 美甘(きせ みかん)と二人で、子供達の前で全国NO.1の人気ご当時ヒロイン『カミダイオー』のショーを再現する事に。元々運動神経抜群の杏は、美甘を猛特訓します。結果は子供達に大うけ。しかし、ショーのラストでイベント用の物見櫓を倒壊させてしまいます・・・。

その様子をひそかに撮影してネットに流した者が居ます。ネットでも話題になりますが、当人達は退学になるとビクビクしています。そんな彼女達に生徒会長から及びが掛かります。覚悟を決めた二人に生徒会長はこう告げます。

「あなたたち、 陽菜野のヒロインに成りなさい!!」

実はネットに映像を流出させたのは生徒会長。彼女は陽菜野をご当時ヒロインで有名にする計画に着手したのです。


まあ、大人からすればバカバカしい内容かも知れませんが、長年アニメを見続けた50代の私にとては「神アニメ」。昔の特撮へのオマージュや、最近の作品のパロディーなど突っ込み所も満載ですが、とにかく話のテンポが良い。

導入、複線の回収などスムースで、まさに脚本の教科書。さすがは長年戦隊物を手掛けている荒川稔久。

■ 目だった方が目立たないより良い「炎上商法」 ■

2話目からはメンバー集めが始まります。学校の掲示板に張った募集に応じたのは、音響や仕掛けに詳しい子と、お寺の娘ながら筋金入りのコスプレーヤーの子。彼女は寺の本堂を練習と講演の場に提供してくれるという。但し、場所代はしっかり取ります。檀家が減ってお寺の経営は相当に厳しいらしい。(さらりと地方の問題の一つを入れる辺り、さすがです。)

ヒロインショーの準備で盛り上がる生徒会長達ですが、それを遠くで見つめる生徒が居ます。生徒会長を過剰に信望する副会長です。

彼女の父は駅員で彼女の部屋は駅構内の列車の車両。これ、国鉄時代の名ディーゼル車の「キハ」です。千葉県内では大多喜を走る「いすみ鉄道」と「小湊鉄道」で現役で走っていますが、鉄道マニアには垂涎もの。会長を取られて紋々とする副会長ですが・・・なんと部屋で「カミダイオーショー」おビデオを見ながら練習を始めます。いつでも仲間に入る気満々じゃないですか!!

派手なアクションで全身痣だらけの美甘に変わり、敵役に抜擢された副会長は、堂々たる敵ぶりを見せ、お寺の本堂は観客で大盛況。しっかり入場料を取って、グッズの売り上げも順調。

ネットに流された映像には「偽物」と非難が殺到しますが、会長はこれも宣伝の内と「炎上商法」と捉えている様です。なかなかやり手です。

ところが、あまりに度が過ぎて本家の「カミダイオー」からクレームが付いた。本来なら訴訟問題だが高校生だから大目に見る・・・と。

■ マーケット戦略 ■

元々オリジナルヒロインを目指していたので、彼女達は新たな陽菜野市のご当地ヒロインを作る為にアイデアを絞ります。「光と闇の闘い」なんてどっかで見た様なアイデアしか浮かばない中で、美甘が提案したのは陽菜野市の特産のフルーツにちなんだヒロイン。

そしてチーム名も「チアフルーツ」と決定します。フルーツで応援するという意味ですが、元気が良いというチアフルにも掛けてあります。実は「命名」ってとても重要です。これによってプロジェクトの方向性が定まりますし、士気も上がります。

この会議のシーン、会長の進行の優秀さが際立ちます。自ら率先してアイデアを提示し、問題が有ると指摘されて速やかに自らの案を取り下げています。会議の形を取って自らのアイデアの責任を部下と分散する世の大人にツメの垢を飲ませたい。さらに、発表できずにモジモジしている美甘の挙動に目を配り、発表される事の無かったかも知れない彼女のアイデアを掬い上げています。決定のプロセスも早い。これ、大人でも参考になるシーンです。

■ 挑戦と修正 ■

こうして挑んだ新たなヒロインショーは子供達には受けますが・・・何かインパクトが足りない。

彼女達は「歌」をショーに取り入れる事にします。そして新なメンバーとして白羽の矢を立てたのは、東京でもアイドル活動を休止して地元に戻って来た子・・・。現時点では話はここまでですが・・・女子高生なりのマーケット戦略が面白い。

いえ、むしろ補助金で運営される企画会社のプロジェクトなんかよりも注目を集めそうです。

1) 女子高生のご当地ヒロインユニット
2) 本家カミダイオーに訴えられそうになったという話題性
3) 元アイドルがご当地アイドルとして再出発という話題性

この後、まだ色々と予想の斜め上を行く展開になりそうですが、この作品自体がかなり「炎上商法」的なゲリラ作品で面白い。

■ ヒットは思わぬ所から生まれるのかも知れません ■


全国の多くの地方が、地域振興に鎬を削る昨今、似たような企画が乱立して、そこに無駄に補助金が垂れ流されてゆきます。

企画会社がデザインして、アルバイトに着せるだけのゆるキャラ。その製作費は平均で50万円以上。高いものは130万円。

年間契約で100万円を請求しながら、稼働日数が19日なんてゆるキャラも居る様で、まさに税金や補助金をドブに捨てています。

そんなゆるキャラのアンチテーゼとして登場したのが「ふなっしー」では無いでしょうか?アルバイトという性質上「しゃべれない」というゆるキャラの特性をぶっ壊して過激トークを連発し、さらにはユックリとしか動かないゆるキャラのイメージを覆す動きをして見せた。

個人が勝手にに着ぐるみを作って、勝手に地元イベントに乱入した「ふなっしー」ですが、大手代理店のキャラクター達を駆逐して、紅白にまで出演してヒンシュクを買う始末。これでは大手代理店は形無しです。

結局、有名大学を卒業して代理店に入社する様な人のアイデアは予想の範疇でしか無く、人々が求めているのは「予想の斜め上を行く」企画です。


今の所、装うの斜め上を軽やかに超えている「チアフルーツ」が陽菜野市や大多喜町を救うのか・・・ワクワクが止まりません。



<追記>

グッチーさんのブログからお越しの皆さま・・・申し訳ありません。加計問題を取り上げようと思ったのですが、オタクの血がアニメ記事を書かずにはいられませんでした・・・。



<追記2>

『チアフルーツ』なんてとれも見れないよ・・・と思われる方たちも多いと思いますが、実は千葉県大多喜町は全共闘世代にも縁がある場所。

不条理漫画で一世を風靡した「つけ義春」が滞在した寿恵比楼は大多喜にあります。ここでの経験から「紅い花」(1967年10月)「西部田村事件」(1967年12月)などが生まれています。

私も知らずに訪れたのですが、バスのターミナルの横に確かに寿恵比楼(営業していませんが)の様な建物が建っていました。知っていれば写真を取ったのですが・・・。

千葉はつげ義春の作品の舞台が多く、「ねじ式」は安房鴨川の次の駅の小さな漁港の集落の「太海」が舞台ですね。私、「太海」大好きな所で良くいきます。画家の宿の「江澤館」と、源頼朝が地元豪族にプレゼントした「仁右衛門島」がおススメ。

つげ義春のファンは現在シルバー世代になられているでしょうから、バスツアーでも企画したら応募する方も多いのでは。シルバー世代の聖地巡礼ツアーって地域振興にどうだろう?

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